誹謗中傷の裏にある心理を知る――傷ついた心を守るために

オンライン上で
誰かに心ない言葉をぶつけられ、
傷ついた経験はありませんか?

SNSの投稿に
ひどいコメントがついたり、
匿名のメッセージで
傷つくようなことを言われたり――
そのような出来事があると、
嫌な気分になり、
気持ちが沈んでしまうでしょう。

この記事では、
誹謗中傷をする人の心理について
掘り下げてみたいと思います。

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こんな経験はありませんか?

こちらはまったく悪気がないのに、
オンラインで発信をしたあと、
見知らぬ誰かから攻撃的なコメントが
届いたことはないでしょうか?

外見のことや意見のこと、
生き方のこと、
ときには自分の存在そのものを
否定するような言葉を
浴びせられてしまうことも
あります。

そんなコメントを目にすると、
その言葉が頭から離れなくなることも
あるでしょう。

夜も眠れなくなり、食欲が落ち、
外に出ることさえ怖くなってしまう――
そこまで追い詰められてしまうことも
あるかもしれません。

こうした経験は、
心に大きなダメージを与えます。

オンライン上の誹謗中傷は、
現実の場で受ける暴言やいじめと同じように、
あるいはそれ以上に
強い苦痛をもたらすことがある
と指摘されています。

「たかがネットの言葉」
と軽く扱われることもありますが、
受け取った側の痛みは、
けっして軽いものではないでしょう。

ただ、その痛みの原因を、
すべて「自分に問題がある」
と受け止める必要はありません。

誹謗中傷をする側の心理に
目を向けてみると、
その言葉は
あなたへの正確な評価というよりも、
相手の心の状態や、そのときの状況が
映し出されたものである場合が
少なくないからです。

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「匿名」がブレーキを弱める――オンライン脱抑制効果

心理学には、
「オンライン脱抑制効果」
と呼ばれる考え方があります。

これは、
オンライン上でのやり取りでは、
対面のときよりも
気持ちの抑えが
外れやすくなることがある、
というものです。

とくに、匿名性が高く、
相手の顔が見えず、
その場の空気も伝わりにくい環境では、
その傾向が強まりやすい
とされています。

現実の場では、
誰かを傷つけるようなことを言えば、
相手の表情が見えたり、
周囲の反応が気になったり、
自分の評判への不安が
働いたりするでしょう。

そうした要素が、
言葉のブレーキになるのです。

しかし、オンラインでは、
そのブレーキが弱まりやすいです。

そのため、
普段なら口にしないような
強い言葉を書き込んで
相手をひどく傷つけてしまうことも
珍しくありません。

もちろん、匿名だからといって、
すべての人が
攻撃的になるわけではありません。

ただ、匿名性のある環境が、
人の中にある衝動的な側面や攻撃性を
表に出しやすくすることは
否定できないでしょう。

だからこそ、
あなたに向けられたひどい言葉を、
真に受ける必要はないのです。

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他者を下げることで、自分を支えようとする

誹謗中傷の背景には、
劣等感や自信のなさが
隠れている場合も少なくありません。

人は、
自分に価値を感じられないときや
強い劣等感を抱えているとき、
他者を下げることで、
相対的に自分を保とう
とすることがあるからです。

誰かを「ダメな人だ」とバカにしたり、
「自分のほうが正しい」
と主張したりすることで、
一時的に優位に立ったような感覚を
得ようとするのです。

これは、自分の心の不安定さを
うまく扱えないときに
起こりやすい反応の一つ
といえるでしょう。

とくに、
自分自身に満足できていないときや、
認められていないという思いが強いとき、
人は目立っている人や、
自分の意見を発信している人に対して、
強く反応しやすくなります。

その反応の中には、
羨ましさや焦りが
混ざっていることもあるのです。

もしあなたが
誰かに攻撃されたとしても、
それはあなたに問題があるからだとは
限りません。

相手が強い劣等感を抱えていたり、
無価値感に悩んでいたりする
可能性もあります。

そう考えると、向けられた言葉を
必要以上に自分の内側へ
取り込まなくてもよいでしょう。

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フラストレーションが攻撃に結びつくことも

心理学では、
強いフラストレーションやストレスが
攻撃的な反応につながることがある
と考えられています。

もちろん、ストレスを抱えた人が
みな攻撃的になるわけではありません。

ただ、怒りや不満をうまく扱えないとき、
その感情を別の相手にぶつけてしまうことは、
現実の中でもよく見られることです。

仕事がうまくいかない、
人間関係に疲れている、
家庭のことで気持ちが塞いでいる、
毎日の生活に余裕がない――
そうした状態が続くと、
心の中にたまったいら立ちが、
関係のない相手へ
向かってしまうこともあるのです。

SNSや掲示板は、
そうした感情のはけ口として
使われやすい場でもあります。

何かを投稿している人や発信している人、
少し目立っている人は、
ストレスを抱えた見知らぬ誰かの
標的になってしまうことも
少なくありません。

それは、あなたが
特別悪いことをしたからではなく、
たまたま相手の目に
留まりやすい場所にいたから、
と捉えてもよいでしょう。

このような場合、
相手は本当は
あなたという人そのものに
怒っているのではなく、
自分の中にある別の不満や怒りを
どこかに向けたいだけなのです。

その場にいたあなたが、
たまたま受け止める側に
なってしまったのでしょう。

そうだとすれば、その言葉を
「自分という人間への正しい評価」
と受け止める必要はありません。

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集団になると、攻撃が強まりやすい

誰かへの批判や中傷が
「炎上」という形で広がるとき、
集団の心理も関わっています。

人は、一人でいるときよりも、
集団の中にいるときのほうが、
周囲の流れに
のみ込まれやすくなる傾向があります。

「みんなが批判しているのだから、
自分も言ってよいだろう」
「これだけ言われているのなら、
きっと悪い人なのだろう」――
そのように考えてしまうと、
自分で十分確かめたり、
立ち止まって考えたりすることなく、
攻撃に加わってしまうことがあるのです。

さらに、大勢の中にいると、
自分一人の責任を
感じにくくなることもあるでしょう。

「自分がひとこと書いたくらいで
大したことはない」と思ってしまい、
言葉の重さに鈍くなってしまうのです。

その結果、
一人ひとりの小さな攻撃が積み重なり、
受け取る側には、必要以上に
大きな苦痛を与えてしまいます。

炎上の渦中にいると、
まるで世界中が
自分の敵になったかのように
感じるかもしれません。

しかし実際には、その多くは
事情を十分に知らないまま、
流れに引っぱられて
反応しているにすぎない場合もあるのです。

そうした言葉の集まりが、
あなたの本当の姿を
正しく表しているとは
言えないでしょう。

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「自分は正しい」という思いが攻撃を正当化する

誹謗中傷をする人の中には、
自分では「悪いことをしている」という
自覚が乏しい場合もあります。

むしろ、
「自分は間違ったことを正している」
「これは正当な批判だ」
と思い込んでいることさえあるのです。

人は、自分が正しいと信じていると、
ふだんなら抑えられるはずの
厳しい言葉や攻撃的な態度を、
自分の中で正当化しやすくなります。

そのとき、
「相手のために言っている」
「社会のために必要なことだ」
といった理由づけが加わることで、
自分の行動に疑いを持ちにくく
なってしまうのです。

SNSでは、断片的な情報だけをもとに
相手を判断しやすく、
その傾向がさらに強まりやすい
といわれています。

本来なら、相手の事情や背景、
発言の前後の文脈まで見なければ
分からないことが、
たくさんあるはずです。

けれども、短い投稿や一部だけ
切り取られた情報を見て、
「この人は悪い」と早々に決めつけ、
そのまま強い言葉を
ぶつけてしまう人もいます。

さらに、人は一度
「この人は間違っている」と思い込むと、
その考えに合う情報ばかりを集めてしまい、
反対の情報を
見落としやすくなることもあります。

その結果、
思い込みがますます強まり、
言葉がエスカレートしていくことも
あるのです。

私たち人間は、それぞれ
異なる価値観や考え方を持っています。

一つの出来事に対しても、
感じ方や受け取り方が
同じになるとは限りません。

それは自然なことであり、
むしろ当然のことといえるでしょう。

だからこそ、
相手が自分とは異なる意見を
持っていたとしても、
その違いを理由に、
深く傷つけるような言葉を
投げかけてよいことにはなりません。

どうか、あなたは
あなた自身の考え方や価値観を
大切にしてください。

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おわりに

この記事では、
誹謗中傷をする人の心理について
掘り下げてみました。

誹謗中傷の言葉の背景には、
相手の不安や怒り、劣等感、ストレス、
そしてその場の集団の空気など、
さまざまな要因が考えられます。

匿名性によって、抑えが
弱くなっていたのかもしれませんし、
自分の不満をどこかにぶつけたかった
のかもしれません。

あるいは、正しさを振りかざすうちに、
自分の言葉がどれほど人を傷つけるのか
見えなくなっていた可能性もあるでしょう。

まずは、そのことを理解したうえで、
心に留めておいていただきたいのは、
「自分に問題がある」と
そのまま受け止めてしまわないことです。

向けられた言葉を、
そのまま自分の価値と
結びつけないことが重要です。

もし今、誹謗中傷の言葉によって
深く傷ついているのであれば、
どうか一人で抱え込まないでください。

信頼できる人に話すことも大切ですし、
必要であれば
専門家に相談することも一つの方法です。

法的な対処を考えることや、
しばらくSNSから距離を置くことも、
自分を守るための
大切な選択といえるでしょう。

一日も早く
心が穏やかさを取り戻し、
落ち着きを感じられる時間が
訪れることを、願っています。