自分自身が幸せであり、
さらに相手も幸せになるためには、
心得ておくとよいことがあります。
それは、幸せだと感じることは
人それぞれ異なることを
認識することです。
この認識を持った上で、
まず自分にとって何が幸せなのか
を考える必要があります。
そして、相手にとっても
何が幸せであるかを知り、
それらを尊重することが大切です。
では、なぜこのようなことが
重要なのかを解説しましょう。
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選択理論心理学によれば、
人間は生まれつき
5つの基本的な欲求を
持っています。
まず最初は「愛と所属」
という欲求です。
人は愛されたいと感じ、
仲間と一緒にいたいと望みます。
次に、承認の欲求があります。
人は他者から認められたい、
承認されたいと願います。
そして、自由の欲求です。
人は独自に行動し、自分で選択したい
という欲求を持っています。
楽しみの欲求もあります。
人は好奇心や探求心を
満たしたいと思います。
最後に、生存の欲求です。
人は安全に生きたい、食べたい、
寝たいという欲求があります。
これら5つの欲求は
すべての人が持っていますが、
その中でどの欲求が強いのか、
どの欲求がそうでもないのかは、
個人によって異なります。
生存の欲求が強い人は、
安全や健康を重視し、
自分の体に害のないものや
健康に良い食品に
関心を持ちます。
彼らは健康について
熱心に取り組む姿勢があります。
一方、楽しみの欲求が
生存の欲求よりも強い場合、
体に良いものにはあまり関心を持たず、
自分が食べたいものを選びます。
また、危険を伴う
アクティビティーにも
楽しさを感じる場合、
ためらわずに挑戦するでしょう。
自分にとって最も重要な欲求が
何かを明確にすると、
自分がどのような行動をすれば
幸せになれるかがわかります。
さらに、他人が自分とは
異なる欲求を強く持っている場合も
多々あります。
それを理解することで、
自分が重要だと思うことを
相手に押し付けることも
なくなります。
相手と自分の満足するものについて
議論がかみ合わなくても、
それが相手の欲求だと
納得できるでしょう。
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人間のパーソナリティや
心理的な特徴を分類する
「エニアグラム」によれば、
私たちは生まれつき
特定の特徴や傾向を持ち、
それによって心理的な動機や
欲求が生まれるとされています。
エニアグラムは、以下のように
人間の性格を
9つのタイプに分けています。
タイプ1:改革する人
タイプ2:助ける人
タイプ3:達成する人
タイプ4:個性を求める人
タイプ5:観察する人
タイプ6:信じられるものを求める人
タイプ7:熱中する人
タイプ8:挑戦する人
タイプ9:平和を好む人
これらの9つのタイプは、
どれが優れていて
どれが劣っている
というものではありません。
すべてが対等な存在であり、
それぞれが独自の性格特徴、
世界観、動機、行動スタイルを
持っています。
一つのタイプに
ぴったりと当てはまる人もいれば、
そうではなく、複数のタイプが
他のタイプよりも強い人も
多く見られます。
エニアグラムのタイプは
生まれながらの気質であり、
後天的な経験によって
理解が難しい場合もありますが、
その個人の本質的な特徴を
示すものです。
自分にとって最も強いタイプが
何かによって、
何が重要なのかも
個人によって異なります。
人助けが大好きな人は、
自分が挑戦するよりも、
他人がチャレンジする際に
協力することで
幸せを感じることがしばしばです。
観察するのが好きなタイプは、
物事を観察し分析することで
充実感を感じることができます。
自分と同じタイプが強い人は、
自分にとって何が重要なのかに
似た感じ方をすることが多いですが、
タイプが異なる場合、
全く異なるものを
重要視することがほとんどです。
このことを知っていれば、
自分と相手が
全く違うものを幸せだ
と感じることも
当然のことと理解できるでしょう。
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エニアグラムは
生まれつきの気質に
焦点を当てていますが、
人間の性格や特徴は
後天的な要素も含まれてきます。
具体的には、
個人の文化や育った環境、
社会的な要因などが
大きく影響します。
たとえば、ある文化では
家族や親族との絆が
幸福の重要な要素とされています。
そのような文化に育った場合、
結婚や子供の成長、
家族の結束などが
幸せの尺度となることが
よくあります。
また、特定の社会や文化では
個人の社会的地位や成功が
幸せとみなされる傾向が強いです。
そのような社会で生きる場合、
高い地位や名声、
経済的な成功が幸せの指標とされ、
それを追求することが
重要視されます。
特定の宗教や哲学的な伝統を
重んじる家庭に生まれた人は、
内なる平穏や精神的な満足感を
幸福の条件として
定義することも珍しくありません。
文化や社会は多様であり、
個人の経験や状況によって
何が幸せなのか、
幸せの定義が人それぞれ異なることが
普通なのです。
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このように人間は、
先天的な要素と後天的な要素により、
それぞれ幸せのスイッチのある場所が
異なるものです。
自分が幸せだと感じることが、
相手も同様に感じると
考えがちですが、
これは適切な考え方ではありません。
他人と関わる際には、
自分の幸せのスイッチがどこにあり、
相手の幸せのスイッチは
どこにあるのかを知ることは、
コミュニケーションにおいても
役立ちます。
物事を一緒に達成する場合も、
相手の重要視することが分かれば、
相手との向き合い方も
明らかになるでしょう。
自分と似たような人は
理解しやすい一方、
そうではない人は
理解しにくい存在です。
しかし、人は皆、
大切に感じることが異なる事実を
心得ておけば、
自分とはかなり違う人に出会っても
驚くことなく、
自分にとって大事なことを
相手に押し付けることも
なくなるでしょう。
お互いの幸せを尊重して、
阻害せずに済む方法を
考えて行動することで、
自分も相手も同時に
満たせることが可能になります。
すると自然と
人間関係も健全で
良好なものになるでしょう。
自分と相手の大切に思うことは
基本的には異なるものと認識して、
自分が満足できるよう、
同時に相手も満足できるよう
工夫しましょう。
そうすることで、
自分も相手も
同時に幸せになれるからです。