正義の味方が悪者を打ち倒し、
幸せな結末を迎える物語には、
心が躍るものがあります。
私たちは映画や小説で
勧善懲悪の物語を
楽しむことも多いでしょう。
しかし、現実世界では
社会や人間は、非常に複雑で、
善と悪をはっきりと
分けることはできません。
このようなストーリーに
傾倒しすぎると、
歪んだ認識が
植え付けられることがあるため、
注意が必要です。
今回は、
現実の社会や人間が、
勧善懲悪のストーリーほど
単純ではないという内容です。
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勧善懲悪のストーリーには、
二つの基本的な考え方が
存在します。
一つは、「善」と「悪」
という対立する二元性を
はっきりと分けることです。
そして、もう一つは、
正義は最終的には報われ、
悪行は罰せられるという
考え方です。
これらの考え方は、
理論的には成り立っている
と言えますが、
現実世界においては、
当てはまらない場合も
多々あります。
この視点に固執しすぎると、
本質を見逃し、物事の真相を
理解することができません。
そのため、私たちは注意深く、
物事の本質を見極めるように
努める必要があります。
勧善懲悪のストーリーは、
あくまでも物語であり、
現実世界における
複雑な人間や社会を
理解するには相応しくないことを
念頭に置いた方が賢明です。
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「善」と「悪」を
二分法的に考えることは、
単純化された思考に
つながります。
これは、白と黒の選択や、
ゼロか百かの決断と同じです。
正しいか誤っているかの
判断とも似ています。
世の中には、善人か悪人かのように、
どちらかに分けられるものが
あるように思われますが、
実際にはそうではありません。
例えば、
「この人は良い人だ」と思っても、
その人は全ての面で
完全に良いとは限りません。
その人が持つ良い性格や
素晴らしい才能が
目立っている場合でも、
見えないところには
だらしなさや腹黒い部分が
あるものです。
逆に、
殺人犯のような悪事を犯す人でも、
常に悪事を犯すわけでは
ありません。
彼らには、他人を助ける行動や
優しい行為をすることも
あります。
普段は善人であっても、
何らかの事情により、
嘘をついたり、犯罪を犯したり
することもあるのです。
結局のところ、
100%善人や100%悪人は
存在しません。
したがって、「この人は良い人である」
「あの人は悪い人である」
というような
人間を単純に良いか悪いかに
分けるような見方では、
本当の姿を見失うことになります。
このような認識は歪んでおり、
現実の本質を
逃してしまう危険があるため、
注意が必要です。
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良い行いをする人は、
最終的には報われ、
悪いことをする人は
最終的には罰せられるというのが、
私たちの望むところです。
しかし、現実世界では、
これが常に当てはまるとは
限りません。
私たちは、
人間の行いに対して
公正な結果が返ってくると
信じたくなりますが、
これも認知バイアスに
すぎないのです。
実際、悪事を働く人が
必ずしも酷い目に
遭うわけではなく、
善行を積む人が
やった分だけ報われる
ということも保証されません。
このような話をすると、
仏教の信者は
反論することでしょう。
彼らは、良い種を蒔けば
いつかは必ず良いことが起こり、
悪い種を蒔けば
罰せられることが
いつかは起きると
信じているからです。
しかし、仏教の教えは、
今世だけで見れば、
良い種まきが必ずしも
良い結果をもたらすわけではなく、
悪い種まきが必ずしも
罰せられるわけではないと考えます。
なぜなら、
未来世に過去世の行いの結果を
見ることも多いからです。
つまり、今世だけで考えると、
悪いことをした分、罰せられ、
良いことをした分、報われる
というのは現実とは異なります。
今世だけを視野に入れた場合、
行いに対して
公平な結果が返ってくるというのは
正しくありません。
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たくさんの勧善懲悪のドラマや映画を
観れば観るほど、私たちは
「善悪の二元論」を
正しいものだと信じがちです。
しかし、現実は
それほど単純ではありません。
自分がドラマや映画に
ハマりすぎていると感じたら、
このことをしっかり思い出すことが
重要です。
さもないと、物事の本質を
見失ってしまう
危険があるからです。
この世の中や人間を、
「良いもの」か「悪いもの」、
「善人」か「悪人」という
明確な区別をつけて考えることは、
非常に偏った視点であり、
真の姿ではないことを
理解しましょう。
勧善懲悪の映画や小説は
魅力的ですが、
現実とは大きくかけ離れていること
を心得て、単なる娯楽として
楽しみましょう!
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今回の話をまとめると、
物事の本質を見逃さず、
ありのままを理解するためには、
以下の点に
留意する必要があります。
1)この世には完全な善人も
完全な悪人も存在しないこと。
2)人間の行動に対して
必ずしも公正な結果が
返ってくるわけではないこと。
3)勧善懲悪のストーリーが
必ずしも現実を
正確に描いているわけでは
ないこと。
この種のストーリーは、
現実とは異なるものであり、
純粋に娯楽として
楽しむことを心がけましょう。