なぜ私たちは物事を続けることができないのでしょうか?

新しいことに挑戦して、
今後ずっと続けていこう!
と気合を入れたものの、
三日坊主で終わってしまった経験は、
多くの人にあるのではないでしょうか?

そのような場合、
「自分は意志が弱いからダメなんだ」
と自己嫌悪に陥ってしまい、
根気がない自分を
責めることもあるかもしれません。

しかしながら、実際には
長続きしない理由は、
意志の弱さではなく、
別の要因があることが多いのです。

今回の話題は、
物事を継続することができない
本当の理由についてです。

====

最初の理由は、
継続するためのコストと
そこから得られるリターンの
釣り合いがとれていないことです。

もしコストの方が
リターンよりも大きい場合、
最初は良くても
継続することはできません。

例えば、会社勤めを続けられる人は、
毎日会社に行って働くことのコストよりも、
それ以上のリターンが得られるため、
継続することができます。

リターンの具体例は、ほとんどの場合、
会社から支払われる報酬でしょう。

定期的な収入によって得られる
精神的な安心感や、
会社に所属することによって得られる
社会への所属感といったリターンも、
会社勤めをすることのメリットに
含まれます。

毎晩歯を磨くことを
続けられる人は、
歯を磨くという
面倒な行為のコストよりも、
歯磨きによるメリットの方が大きいため、
その行為を継続できます。

この場合のメリットは、
歯磨きにより虫歯を予防し、
口腔内の健康を維持できることです。

スポーツクラブに入会しても、
すぐにやめてしまう場合は、
コストの方が大きくて、
ベネフィットが小さいからです。

コストと言えば、
まず最初に思い浮かぶのは、
入会金や月会費などの経済的負担です。

しかし、
これ以外にもコストはあります。

スポーツクラブに行くためにかかる時間、
着替えやシャワーを浴びる
必要があることなども、
コストに含まれます。

もしスポーツに興味がなければ、
「面倒だな~」と感じることも
コストの一つです。

支払うコストに対して、
どのくらいのベネフィットが
得られるのでしょうか?

もしクラブでのエクササイズによって、
健康増進を強く実感できるなら、
リターンも大きいため、
継続する気持ちになるでしょう。

しかし、行っても行かなくても
さほど変わらない場合、
「もうやめてしまおう」
と思ってしまっても、
不思議ではありません。

得られるメリットが、
それをやるために必要なコストよりも
少ない場合には、
続けることは難しいでしょう。

====

物事が続かない2つ目の理由は、
エネルギー切れだということです。

何かをするには、
時間とエネルギーが必要です。

これに加えて、
必要なものがある場合もありますが、
時間とエネルギーは最低限必要なものです。

時間がなければ、何もできません。
同様に、エネルギーがない場合も、
やる気を出すことができません。

時間が不足していることは、
理解しやすいですが、
エネルギー不足は
理解しづらいものです。

例えば、朝から晩まで忙しい会社員が、
1日1時間だけでも副業をしよう
と思った場合を考えてみましょう。

その人は、朝9時から仕事を始めて、
夜8時まで残業しています。

夕食を食べた後、夜10時半になると、
1時間だけ副業をする時間があります。

最初の内には、何とか1時間を
副業に充てることができました。

しかし、次第に疲れがたまってきて、
やめてしまいました。

夕食後にソファーにゴロンと寝転がり、
テレビを見るほうが快適だ
と感じたからです。

こういった話を聞くと、
「意志が弱い奴だ」
と思ってしまう人もいるでしょう。

しかしながら、これは意志の弱さ
というよりも
エネルギー切れが問題の主因です。

時間的な余裕はあっても、
自分に十分なエネルギーがないと、
実際に行動することは困難です。

会社で一日忙しく働き、
心身ともに疲れている場合、
自宅に帰った後のエネルギーレベルは
低くなっているものです。

時間はあっても、
エネルギーが十分でなければ、
更なる仕事をすることは
できないのが当然です。

疲れている場合は、
エネルギーを補充するために、
休息が必要になりますが、
このことを軽視してしまっていることが
問題なのです。

副業の計画を立てる際には、
時間的な配慮だけでなく、
エネルギー的なことも
考慮する必要があります。

これを無視してしまうと、
継続可能なプランを
作り出せないことになるからです。

====

エネルギー量について、
さらに言えば、
あることを遂行するために必要な
エネルギー量よりも
少し余裕があることが
望ましいと言えます。

例えば、ある仕事をするのに
40のエネルギー量が必要な場合、
自分のエネルギー量が40あれば、
その仕事ができると考えがちですが、
実際には45くらいはないと、
できなくなることもしばしばです。

なぜなら、その仕事には
準備や後片付けなどの
小さな作業も含まれることが
多いからです。

例えば、料理をする場合を
考えてみましょう。

料理の作業自体には
30程度のエネルギーが
必要であるとします。

これは、野菜や肉を切ったり、
炒めたりする「料理する」という
メインの作業に費やされます。

しかし、実際には、料理をする際には
調理器具などを取り出して
準備する作業も必要になります。

棚の上に置かれたものを
椅子の上に乗って取り、
キッチンボードに下ろす作業は、
料理のメインの作業には
含まれていませんが、
意外に面倒だったりします。

もしも、目の前に調理器具が
すでに揃っていて
準備ができているのなら、
料理をしようという気になりますが、
そうでない場合は、「面倒だからやめよう」
と思うこともよくあることです。

たったのちょっとした
準備作業ですら
小さなエネルギーが必要だからです。

その小さなエネルギーもすべて含めた
料理のために必要な
全エネルギーがなければ、
料理をする気持ちには
なれないものです。

====

今回このような話をするのは、
物事が続かないときに、
「自分は意志が弱い、ダメだ」
と落ち込んだり、
自分を責めたりする必要がないことを
強調したいからです。

物事が続かないのは
それなりの理由があります。

一つ目の理由は、
そのことをするためのコストが
得られるメリットよりも
大きいということです。

実際に何かをするには、
どの程度のコストがかかるかを
よく考える必要があるでしょう。

目に見えるコストだけでなく、
目に見えにくいコストも含めて
考慮することが重要です。

もしコストが大きく、
メリットが小さい場合は、
続かなくても当然のことです。

自分を責めたり、
自己否定する必要はありません。

二つ目の理由は、
そのことに必要なエネルギーが
不足しているということです。

多くのことは労力が必要であり、
そのことに必要なエネルギーを
考えることも大切です。

メインの活動に要するエネルギー
だけではなく、
その活動を始める前にする準備や、
後片付けに必要なエネルギーをも含めて、
総合的なエネルギー量を
考慮する必要があります。

何かを計画する際は、
時間的な配慮だけでなく、
エネルギー的なこともしっかりと考え、
計画を練ることで
継続可能なものが作れます。

何かを始めて、長続きさせたい
と思った場合には、
「コスト対メリット」や
エネルギーの観点から、
計画を立ててみましょう。

そうすることで、
長期的な継続が可能になり、
目標を達成する可能性も
高くなるでしょう。