今回は、
科学的根拠は重要でも、
それに捉われすぎるのは
よくないという話。
様々な場面で
科学的根拠を確認することは、
必要であり、大切なことだ。
しかし、
科学的根拠があるものを
「絶対的に正しいもの」として、
それ以外を否定する姿勢は
望ましくない。
なぜそうなのか?
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最初の理由は、
おおよその場合は有効でも、
100%のケースには
当てはまらないことも多いからだ。
たとえば、
「良薬」といわれるもの。
研究により、
ある薬が70%の人に効果的だ
という結果が出れば、
「エビデンスはある」
と言えるだろう。
過半数の人たちには、
症状の改善が見られたり、
病気そのものが治ったりしたからだ。
しかし、別の見方をすれば、
残りの30%の人たちには
効き目がなかったということ。
服用したことにより、
かえって症状が悪化したり、
望まない副作用が出たりして、
苦痛しかなかった
という場合もあるだろう。
私たち人間の性格や資質が
多種多様であるのと同様に、
身体の体質や遺伝的なもの、
身体の状態も個人差が大きいので、
効き目がある人もいれば、
ない人がいても、不思議ではない。
科学的根拠を
重要視するあまりに
自分の身体に合わない薬を
ムリに服用させられるのも
困りものだ。
薬に限らず、他のことでも、
「概ね~だ」というものでも、
すべてのケースに
同じように当てはまる
わけではない。
Aさんにも、Bさんにも、
Cさんにも有効であっても、
自分にはそうでない場合も
あるからだ。
大体の傾向を把握して、
参考にすることは
適切なアプローチだが、
絶対的に
それが正しいと思い込み、
そのことに捉われすぎるのは
問題だ。
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科学的根拠を絶対的なものだ
と捉えない方がよい理由は
他にもある。
常識的に考えれば、
科学的根拠など一切ない
と思われるものでも、
ある目的を果たすのに
効果的なこともあるからだ。
たとえば、
快眠アクセサリーが良い例。
枕元に置いて寝れば、
よく眠れるようになる
というグッズだ。
快眠アクセサリーは効果がある
と信じる人は、
本当にその効果を得ることが多い。
しかし、
快眠アクセサリーに懐疑的で、
「科学的根拠がないのだから、
効き目があるわけはない!」
と冷ややかな目で見る人は、
効果を感じることはないだろう。
睡眠アクセサリー自体が
効果を発揮するか?、しないか?
という問題ではなく、
それを信じるか?、信じないか?
の方が重要だからだ。
実際に効き目のある成分が
全く含まれてない偽薬を
患者が服用したところ、
病気の症状が改善されることも
しばしばある。
「これを飲めば良くなる」
と信じ込んでいるから、
プラセボ効果を得られるのだ。
病気を良くする成分は
入っていないと知れば、
同じものを飲んだところで
効き目も出ないことだろう。
人は信じていれば、
本当にその効果を
確認できることが多い。
逆に、信じていなければ、
効果を感じられないものだ。
快眠アクセサリーを使用するのは、
良く眠れるようになるため。
そして、薬を使用するのも、
病気の症状を改善させるため。
たとえ偽薬でも、
その効果が確認されるのなら、
目的は果たされたことになる。
科学的根拠云々よりも、
目的が果たされることが
一番のポイントだ。
快眠の手助けをしてくれるもの、
また、症状を軽減させるのに
役立つものであれば、
科学的根拠がなくても、
頭ごなしに否定しなくてもよいはず。
ここで重要なのは、
自分にとって何らかの利益を
もたらしてくれるかどうか
という点だ。
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科学技術が凄ましい勢いで
進歩している現在でも、
科学では未だ分からない
未知の部分もたくさんある。
今は未だ分からないけれど、
10年後に科学的に正しい
と証明されることは、
多数あるだろう。
科学的に解明されたことは
正しくて、
そうでないことは正しくない
と考える人もいるが、
科学的に証明されていないから
と言って、否定するのは
オカシナ話だ。
たとえば、
地球外生命体の存在を
認めない人もいる。
彼らの言い分は、
科学で証明されていないから。
でも、それは適切ではない。
今のところ
地球外生命体の知識が乏しい段階で
分からない部分が多くても、
今後、その分野で
新たな発見がされれば、
考えが変わる可能性も大だ。
今の段階で
分かっていることだけで
正否を決めるのは、感心できない。
昔と今では、
正しいか、正しくないか
が変わってしまうこともある。
たとえば、
卵は身体に良いか悪いか?
「卵は美味しいけれど、
コレステロール値に影響するから
毎日食べるのはNG」
と言われた時代もある。
しかし、最近の研究では、
卵を毎日食べても、
コレステロール値への影響はほぼなく、
心血管疾患のリスクも上がらない
と判明した。
同じ食品でも、
身体に良いのか悪いのか?
コロコロ変わってゆくことも
珍しくないのだ。
そう考えれば、
今の時点で分かっていることだけで
結論付けるのは
理にかなっていないことだ。
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科学的根拠があるかないか?
を確認することは
ある程度は重要でも、
エビデンスだけを
絶対的なものと捉えるのは
望ましくない。
なぜなら、
エビデンスがあると言っても、
すべての場合に有効だ
とは限らないから。
また、科学的根拠は一切なくても、
それを使用すれば、
目的が達成されることも
しばしばあるから。
現在の科学では
「正しい」とされないことでも、
10年後には「それが正しい」
と判明する場合もある。
現在の科学で証明されることだけを
正しいとみなし、
その他のものを否定する姿勢は
適切ではない。
科学的根拠は参考程度にして、
絶対的なものだ
と捉えない方が賢明だ。