他人の言動に敵意を感じやすい方へのメッセージ

今回の話は、
他人の言動に対して
頻繁に敵意を感じやすい方々に
向けられたものです。

日常生活の中で、
他人の些細な言葉や態度によって
イライラを感じたり、
怒りが湧き上がることが
ないでしょうか?

そのようなことが
しばしば起きる場合、
あることに気づくだけで、
そうしたイライラや怒りの感情を
和らげることができます。

では、そのあることとは
どのようなことでしょうか?

さっそく詳しく見ていきましょう!

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私たちは事実をありのまま見ることができない

私たちは誰もが、自分特有の
物の見方で世界を見ていて、
出来事に対しても
自分特有の解釈をして
その出来事を捉えています。

人間である以上、事実を完全に
客観的に捉えることは不可能です。

実際に起きている出来事の事実は
ただ一つですが、
個々の人がその事実を
自分のフィルターを通して見るため、
見えてくる真実は人それぞれ異なります。

これは、
誰にでも当てはまることであり、
完全にニュートラルに
出来事を見れる人は存在しません。

私たちの見ている世界は、
各自のフィルターによって
歪んで見えているものです。

この歪みを「バイアス」と呼びます。

人には様々なバイアスがあり、
その一つに「確証バイアス」
というものがあります。

これは、自分の信じるものに
合致する情報はより強く認識し、
印象に残る一方で、
自分の信念に反する情報は
無意識のうちに避けがちで、
印象に残りにくくなります。

そのため、自分の考えが正しい
と信じやすくなるのです。

確証バイアスは
多くの人が持つ共通の傾向で、
よく「人は見たいものしか見ない」
と言われますが、
これは確証バイアスを表しています。

個々人が持つバイアスは、
その人固有のものであり、
個性とも言えるでしょう。

バイアスの種類や
その影響の度合いも
人によってさまざまです。

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敵意帰属バイアスとは?

バイアスの一つに
敵意帰属バイアス
というものがあります。

これは、
他人の行動や発言に対して
過剰に敵意を感じたり、
攻撃的な意図を読み取ってしまう
心理傾向のことを指します。

過去にいじめられた経験、孤立感、
あるいは幼い頃に受けた虐待など、
辛い体験をした人ほど、
このバイアスの影響を受けやすい
と考えられています。

たとえば、
敵意帰属バイアスが強い人は、
人混みで偶然肩が触れ合っただけで、
その相手が自分に対して
敵意を持っている
と感じることがあります。

また、他人の無意識の視線を
敵意の表れと捉えたり、
自分の意見に賛同を得られなかった場合に、
「相手は自分に対して悪意を持っている」
と捉えてしまうこともあります。

しかしながら、これらの状況で
常に相手に悪意が
あるわけではありません。

人混みでの接触は、単純に
多くの人が狭いスペースにいるために起こる
物理的な現象であり、
人の視線が自分に向くのも、
意図的なものではなく
たまたまであることが多いです。

また、自分の意見に
同意してもらえないのは、
相手が悪意を持っているからではなく、
単に異なる見解を
持っているからでしょう。

敵意帰属バイアスを持つ人は、
他者の行動を見て、
「これは自分に対する敵意の表れだ」
と誤解してしまう傾向があります。

実際には敵意がない場合でも、
そのように解釈してしまうため、
感情的な反応を示しやすくなります。

そして、それが相手との人間関係に
ネガティブな影響を及ぼし、
健康的な関わり合いを構築することも
難しくしてしまうのです。

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敵意帰属バイアスとの上手な付き合い方

敵意帰属バイアスが強い人には、
それなりの背景があるため、
仕方がないことですが、
このバイアスに支配されてしまうと、
生きづらさを感じてしまうでしょう。

そのため、敵意帰属バイアスと
うまく付き合うことが大切です。

では、どのようにすれば、
敵意帰属バイアスと
上手く付き合えるのでしょうか?

まず、誰かの言動に対して怒りを感じたり、
敵意を感じたりしたときは、
自分が敵意帰属バイアスを持っていることを
思い出すことが役立ちます。

これにより、実際の出来事を
歪めて捉えてしまっている可能性があると自覚し、
自分自身を一歩離れたところから
観察することが可能になるでしょう。

すると、怒りに支配されることも少なくなり、
より冷静に行動できるようになります。

次に、別の可能性を
考えてみるとよいでしょう。

もし、相手の言動が
敵意から来るものではないとしたら、
どのような可能性があるのか?
を考えてみます。

その可能性は1つだけでなく、
できれば幾つか挙げてみることです。

たとえば、運転中に後続車に
クラクションを鳴らされたとき、
いつもは「相手は自分に敵意がある」
と考えてしまいますが、
もし敵意帰属バイアスを意識して
他の理由を考えてみたらどうでしょうか?

後続車の人はもしかすると、
緊急を要する事情が
あるのかもしれませんし、
単に知人の車を見かけて
挨拶の意味でクラクションを
鳴らしたのかもしれません。

実際に相手がどのような理由で
クラクションを鳴らしたのかは
分かりませんが、異なる解釈を
試みることが大切です。

最後に、自分がこの状況で
どのような結果を望むのかを
自分で決めてみるとよいでしょう。

たとえば、
クラクションを鳴らされても、
「自分は冷静を保ち、
安全運転を続けたい」
と決めることができるかもしれません。

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自己肯定感を高めることの重要性

このように、その時々で
敵意帰属バイアスと
上手に付き合うことは可能ですが、
根本的にこのバイアスを
軽減するためには、
自己肯定感を高めることが効果的です。

敵意帰属バイアスが強い人は、
過去にいじめや仲間外れ、
虐待などの経験をしたことがあり、
その結果自己否定的な思考に慣れ、
自己肯定感が低下している可能性が高いです。

自己肯定感を向上させることで、
敵意帰属バイアスも
徐々に薄れていくことでしょう。

自己肯定感を高めるためには、
自己受容の練習を繰り返すことが
効果的です。

自己受容とは、
自分のありのままを受け入れ、
許すことです。

具体的な練習としては、
自分がどんな感情を抱いていても、
その感情をあるがままに
受け入れてあげることです。

たとえネガティブな感情であっても、
その感情自体を否定せずに感じてあげ、
その感情に流されて
何かを行動することはしません。

自分の感情を静かに
感じてあげることを練習すれば、
自己受容が進み、
やがてはどのような自分であっても、
自分を許容できるようになります。

それにより、自己肯定感が育ち、
敵意帰属バイアスも自然と
弱まっていくでしょう。

自己受容の練習を
一人で行うのが難しい場合は、
専門家のサポートを受けるのも
一つの手段です。

心理療法士やカウンセラーなどの専門家は、
過去の辛い経験を乗り越え、
自己受容へと進むためのサポートを
提供してくれます。

専門家の支援を受けることで、
自分自身と向き合い、
心の平和を取り戻すことも
可能になるでしょう。

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まとめ:心穏やかに豊かな人生を送るために

今回は、認知バイアスの中でも
特に敵意帰属バイアスに焦点を当てて
お話ししました。

敵意帰属バイアスとは、
他人の言動に対して
不必要に敵意を感じ取り、
攻撃的な意図を読み取ってしまう
心理的傾向のことです。

過去にいじめられたり
仲間外れにされた経験、
あるいは
虐待を受けた経験がある人は、
敵意帰属バイアスを持ちやすい
と言われています。

敵意帰属バイアスが強い人が、
このバイアスと上手に向き合うには、
次の3ステップが有効です。

1)自分が敵意帰属バイアスによって
認知が歪んでいる可能性がある
と自覚すること。

2)相手の言動が
敵意から来るものではない場合、
どのような可能性があるのか?
を考えてみること。

3)今この状況で
自分が望む結末を決めることです。

さらに、敵意帰属バイアスを
軽減するために有効な方法として、
自己肯定感を強化する練習があります。

そのためには
自分自身のありのままの感情を
素直に認め、感じることから
始めるとよいでしょう。

この練習を繰り返すことで、
自己受容が進み、
自己肯定感が徐々に養われていきます。

そして、自己肯定感が高まるにつれて、
自然と敵意帰属バイアスも
緩和されていくでしょう。

このプロセスが
一人では難しい場合は、
カウンセラーや専門家の支援を
求めるのも良い選択です。

このプロセスは、
簡単なことではないかもしれませんが、
この努力により、
自分を肯定する力も高まり、
穏やかでポジティブな人間関係を築き、
より充実した人生を送ることも
可能になるでしょう。

この努力は、
豊かな人生への投資であり、
挑戦する価値があるでしょう。