考えるべきことと、考えないほうがよいことを、はっきり区別する

私たちの人生の中では
考えるべきこともあるし、
考えてもどうにもならないので、
考えないほうがよいこともある。

今回の話は、
考えるべきか否かをはっきりさせ、
考えるべきことには
きちんと向き合ったほうがよい
ということ。

なぜ、そうなのか?

色々考えて、思い悩んでも
どうにもならないことは、
どうしょうもないので、仕方ない。

そんなことに
貴重な時間やエネルギーを費やしても、
あまり建設的ではない。

例えば、
もう済んだ過去のことを
「あの時にああしておけばよかった」
「こうしておけばよかった」と後悔して、
いつまでもくよくよ悩んでいても
どうにもならない。

「こんな失敗をしたので、
次回は、これが起きないよう
気をつけよう」と学び、
それ以上は、考えないほうが賢明だ。

未だ起きてもない未来のことに
色々と必要以上に心配して、
勝手に恐怖の妄想を膨れ上がらせ、
苦しんでしまうこともある。

でも、これもやめたほうがいい。

起きたら困ることが、起きないよう
防げることは、防ぐ準備をする。
それは望ましいことだ。

しかし、単に心配だけして
自分を怖がらせて、
くよくよ思い悩むことは
幸せな人生のためには、役立たない。

どうにもならない過去のことや
未だ分からない未来のことを
考えすぎてしまうことは
あまりよろしくないことだ。

その一方で、
考えたほうがよいこともある。

自分自身の人生の課題について、
自分がコントロールできることは
積極的に向き合ったほうがよい。

何らかの問題が起きた時、
自分でどうにかできること、
改善できる点があれば、
今のうちにやっておくほうが賢明だ。

なぜなら、やるべきことを
先送りにしていれば、
その問題が徐々に大きくなり、
いつかドカーンと大きな打撃を
食らうことになるから。

自分と向き合って、
色々考えるプロセスには
時間もエネルギーも必要だ。

ある意味、大変なプロセスだが、
考えるべきことは、
問題が大きくなる前に、
処理しておいたほうが、
後々のためになる。

本当は考えるべきことなのに、
それをせず、先送りする人が多いのは、
どうしてなのだろうか?

それは、おそらく、
間違った「ポジティブシンキング」
をしているからだろう。

現在の社会風潮では、
一般的には、ポジティブは良いことだ
とされている。

ポジティブシンキングは
非常にポピュラーな思考法だ。

でも、残念なことに、
ポジティブシンキングの意味を
取り違えている人もいる。

間違ったポジティブシンキングは
問題が起きた時に、考えるべきことを
思い悩むことも、考えることもせず、
「考えても仕方ない」と言い、
とにかく明るく楽しく振る舞うこと。

問題や悩みをなかったことにして、
気にしない、考えない、悩まない
という姿勢だ。

もちろん、
悩んだり考えたりしないほうが
よいものもあるが、
いつもいつもそうではない。

考えたほうがよい問題も
私たちの人生には沢山ある

今ある問題や
考えなければならないことに
蓋をして見ないことにする。
なかったことにする。

「ポジティブ」を掲げて
テンションを揚げて、とにかく、
明るく、楽しくやり過ごそうとする。

自分の中に感じたくない
ネガティブ感情があるが、
それに触れるのは怖いので、
「考えても仕方ないよ」と言って、
何もなかったことにしてしまう。

しかし、これは非常に問題だ。

なぜなら、このような間違った
ポジティブシンキングの人は、
ある日、突然、ガタがきて、
動けなくなってしまうことも
よく起きるから。

考えるべきことを、考えず
ずっと先送りしていたため、
問題が徐々に膨れ上がり、
そのうちに
コントロールができなくなるほど
大きなサイズになる。

「あんなに明るく前向きだった人が
突然、自殺しちゃた?!」
と周囲を惑わすことにもなる。

真の意味でのポジティブシンキングは
考えるべき問題を考えないで
蓋して見ないようにすることではない。

自分の心のどこかに
触れたくないネガティブ感情があるのに、
それを見ないようにして、
なかったことにすることでもない。

この世の中には、陰も陽もある。
ポジティブもネガティブもある。

それが自然な状態だ。

両方がバランスを取り合いながら、
すべてのことが動いている。

明るく生きることは、
思い悩まないことではない。

考えたほうがよいこと、
悩んだほうがよいことに
真摯に向き合える人が
本当の意味での
ポジティブ思考ができる人。

思い悩むことにより、
自分が学べることもある。

悩んだり考えたりすることで
今後の人間関係が
改善される場合もある。

生産的に悩んだり、考えたりするのは
有意義なことであり、大事なことだ。

負の感情を悪いことだと捉え、
抑え込むのは感心できない。

ネガティブ感情も
ポジティブ感情も同等に重要だ。

なぜなら、両方とも
自然な人間の感情だから。

ネガティブなことを考えるのは
ツライことなので、
なかったことにして、
ポジティブを装って、明るく振る舞うのは、
一時的にはよいかもしれない。

しかし、それを長期間やっていれば、
必ずいつかガタがくる。

日常生活をポジティブで
ムリに埋めようとする必要はない。

それよりも、ポジティブも
ネガティブも両方ともありのまま
受け入れたほうがよい。

時には、感じたくはなくても、
ネガティブを感じることも重要だ。

ネガティブ感情に
長期間、浸れということではなく、
ポジティブとネガティブの
バランスを取ったほうがいいということ。

考えるべきことを
一生懸命考えている時、
もし、誰かが
「そんなことは、考えなくてもいいでしょ」
と言ってきても、気にしなくてよい。

「思い悩んでいる自分は
良くないことをしている」
と思わせるような他人の発言があっても、
それを正しいと受け取らないほうがいい。

悩むこと自体に悩んでしまい、
罪悪感を抱くのは、不当なことだ。

悩むべきことは、
それに向き合って、
きちんと悩んで考えたほうがいい。

考えるべきことを
考える自分は悪い人間でもないし、
情けない存在でもない。

考えるべきことは
積極的に考えるべき。

考えても仕方ないことは、
積極的に避けるべきだ。

そのためには、
考えるべきことと
考えないほうがよいことを
はっきり区別する必要がある。