今回は、
受け入れがたい感情から
自分の心を守る方法として、
また、ストレス発散の手段として、
高揚感を求めることは
避けたほうが無難だ
というお話をします。
その理由について
説明するとともに、
高揚感を追求する代わりに
どのようなことをするのが
望ましいかについても
考えてみたいと思います。
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心の防衛機制と「躁的防衛」の役割
私たちの心は、
不快な感情や葛藤、
ストレスに直面した際、
それらを避けることによって
自分自身を保護しようとする
繊細で複雑な働きを持っています。
このような心の自己保護の機能を
一般に「防衛機制」と呼びます。
防衛機制には、
様々な形態が存在しますが、
その中の一つに「躁的防衛」
というものがあります。
躁的防衛とは、自分自身の心を
意図的に高揚状態や躁状態に
導くことによって、
一時的な高揚感や万能感を得る行為です。
このような高揚感や万能感を
経験することで、
辛い現実や自分の弱さや未熟さ、
また内面の悲しみや不安といった
否定的な感情に直面することから
逃れることが可能になります。
つまり、躁的防衛は、
心理的な不快からの逃避として機能し、
心の平穏を保つための
一つの手段となるわけです。
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躁的防衛に潜む依存症への危険性
しかし、躁的防衛は、
防衛機制の中でも
不健康なものとして
問題視されています。
躁的防衛のリスクの一つとして
特に指摘されるのが、
高揚感を生み出す対象への依存症です。
たとえば、
過剰なアルコール摂取は
アルコール依存症のリスクを
高めることになり、
ギャンブルに没頭することは
ギャンブル依存症へと
導くリスクがあります。
浮気や不倫に依存することで
恋愛依存症になるケースや、
無駄遣いを繰り返すことで
買い物依存症に陥る
可能性もあるのです。
さらに、薬物の乱用による快楽に
依存することで、
薬物依存症になるリスクも
否定できません。
これらの依存症は、
個人の身体的、精神的健康を
害するだけでなく、
経済的にも大きなダメージをもたらし、
他者との関係性にも
悪影響を与えることになり得ます。
依存症に陥ることで、
自分自身を不健康で
望ましくない状態に
追い込む結果となり、
最終的には生活全般にわたって
多大な悪影響を受けることになるのです。
躁的防衛によって
一時的な逃避を図ることは、
短期的には心の平安を得る手段
となるかもしれませんが、
長期的には多くの問題を
招き入れる原因となり得るため、
このことを認識することはとても重要です。
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躁的防衛と気分の悪循環
躁的防衛が不健康な理由は
他にもあります。
それは、
ハイテンション状態の反動で、
過度な落ち込み状態に陥りやすくなり、
感情の起伏が激しくなることです。
躁的防衛に頼ることで
一時的には気分が高揚し、
楽観的でエネルギッシュになり、
さまざまなアイデアに溢れ、
仕事も効率よくこなすことが
できるかもしれません。
このとき、人は自分が
非常に望ましい状態にある
と錯覚することが多いです。
しかし、
このような高揚感の後には、
しばしば強烈な落ち込みが訪れます。
この落ち込みから
抜け出そうとするとき、
再び高揚感を引き起こす
強い刺激を求めがちになり、結果として、
ハイテンションとローテンションの間を
繰り返す悪循環に陥るのです。
この状態は双極性障害の症状に
似ており、心理的なバランスを
大きく崩す危険があります。
何が本当の自分なのか
わからなくなるような
自我不安定状態になる人もいるのです。
精神状態が不安定になり、
健康を害することにも
つながりかねません。
したがって、
躁的防衛のこのようなリスクを
理解することも大切です。
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健康的な心の守り方とは?
躁的防衛は、一時的には
苦痛からの逃避として
役立つかもしれませんが、
長期的には心身の健康を損ねたり、
経済的なダメージを引き起こしたり、
人間関係に悪影響を及ぼすリスクが高いため、
意識して避けたほうが無難でしょう。
その代わりとなる、
より健康的で望ましい
心の守り方を模索することが推奨されます。
では、具体的には
どのような方法があるのでしょうか?
音楽を心の支えとして聞くことは、
とても有効な手段です。
好きな音楽により
心を落ち着かせたり、
メランコリックな曲を聞きながら
涙を流して心をスッキリさせることは、
心理的な浄化作用をもたらします。
泣くことはしばしば
否定的に捉えられがちですが、
実際には心の中の
ネガティブな感情を外に出し、
清々しい気持ちになれる有益な方法です。
思い切り泣いた後には、
心が落ち着きを取り戻し、
精神的なエネルギーが
回復することも珍しくありません。
お気に入りの本や
座右の書を持つことも、
心を守るための一つの手段です。
愛読する物語や詩に没頭することで、
日常のストレスや悩みから
一時的に逃れ、
心の休息を得ることが可能です。
座右の書は、自分にとって
意味のある言葉や教訓が書かれており、
常にそばに置くことで、
困難なときにも前向きな姿勢を
保つ力を与えてくれます。
尊敬する人物やロールモデル、
師匠の存在も
心のサポートとなるでしょう。
彼らの言葉や教えを思い出すことで、
自分自身を励まし、
心を癒す手助けとなるからです。
感情を紙に書き出したり、
誰かに話をすることで、
ネガティブな感情を外に出し、
内面の圧力を和らげ、
ストレスを軽減することも可能です。
個人的な空間を持つことも、
心を守る上で有効です。
たとえば、気分が沈んだときには、
お気に入りのカフェで
一人の時間を過ごしてもよいでしょう。
普段から自分だけの空間を
確保しておくことで、
必要なときに一人でいることができ、
心を落ち着かせるのに役立ちます。
今この瞬間に集中し、
ジャッジメントなしで
自分の感情や体の感覚に意識を向ける
マインドフルネスの実践も、
ストレスや不安を軽減する手段の一つです。
好きなスポーツをすることや、
興味や趣味に時間を割くことも、
ストレスを和らげ、
困難な状況から自分を救うのに
役立つでしょう。
日頃から自分が楽しめる活動に
意識的に時間を費やすことにより、
ストレスを軽減し、
生活に対する満足度を高めることも
可能になるでしょう。
これらの方法は、躁的防衛に頼らずに、
感情やストレスを
健康的に処理するための代替手段として
推奨されています。
個々の事情や状況に応じて、
これらの手段を試すことで、
心の健康を維持し、
躁的防衛を避けることが賢明です。
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まとめ:より賢く健全に生きるために
今回は、心を守る手段として
高揚感の追求は
望ましくないという内容を
お伝えしました。
私たちの心には、
不快な感情や葛藤、ストレスに直面した際、
これらを避けることで
自己を保護しようとする本能が
備わっています。
躁的防衛も
心を守る一つの方法ではありますが、
これは非常に不健康な選択である
と言えます。
躁的防衛は依存症を
引き起こすリスクが高く、
自己の健康に害を及ぼしたり、
経済的に大きな損失を招いたり、
他人との関係を損ねるリスクが
あるからです。
さらに、躁的防衛に頼ることで、
ハイテンションの反動として
過度な落ち込みに陥りやすくなり、
感情の起伏が激しくなって
精神的に不安定になることも
少なくありません。
そのため、躁的防衛に頼らず、
より健康的かつ望ましい方法で
心を守る方法を見つけ出すことが
重要です。
健康的な心の保護策には
多くの選択肢があります。
たとえば、
心を落ち着かせる音楽を聴くこと、
感情を解放するために
思いっきり泣くこと、
愛読書や座右の書を持つこと、
尊敬する人物や師匠を模範とすること、
書くことや話すことによって
ネガティブな感情を外に出すこと、
自分だけの
プライベートな空間を持つこと、
趣味やスポーツに没頭すること、
マインドフルネスや瞑想を
実践することなど、
感情やストレスを
健康的に処理する方法は
たくさんあります。
躁的防衛は一見、短期的には
解決策のように思えるかもしれませんが、
長期的に見ると
自己破壊につながる危険性が高いです。
そのため、自分の状況に合わせて、
より健康的な心の保護策を
意識的に選択し、
実践することが大切です。
躁的防衛を避けて、
賢く健全に生きるために
普段から自分にとって最適な
心の守り方を見つけておきましょう!