「諦める」と「手放す」は似ているけれど、別物。

「諦める」と「手放す」って
いったい何が違うのだろうか?
今までやってきたことを「止める」、
今まで持っていたものを「捨てる」
という点では同じだけれど、
「諦める」と「手放す」の背景には、
全く違う意味がある。

今回は、私が考える
「諦める」と「手放す」の違いについて
お話したい。
今の自分の状況が、
「諦める」のか、「手放す」のか、
はっきり分からない時に、
どちらなのかを知る方法も紹介したい。
単なる一個人の意見として
聞いて頂ければ、幸いだ。

「これが叶えば、ステキだな」
と思うような夢や目標に向かって、
一生懸命活動していても、
なかなか叶わないことがある。

「やり方が良くないのだろうか?」、
「自分に向いていないのだろうか?」、
色々考えた結果、ある時点で、
「もう、止めてしまおうか?」
と迷うこともあるだろう。
こんな時に、同じ「止める」でも、
「諦める」のか、「手放す」のかで、
全く違う選択になる。

とあるスピリチュアルトークでは、
「思い切って手放したほうがいいですよ。
なぜなら、手放さなければ、
新しいものが入ってこないからです。
手放すべきものを手放すことなく、
それにずっと執着していれば、
あなたにとって、素晴らしいチャンスを
逃してしまうこともあります」
なんて感じのことを言っている。

その一方で、自分の夢を叶えて
成功した人の話を聞けば、
「成功の秘訣は、諦めなかったことです。
最初のうちには、
全然上手く行かなかったけれど、
僕は絶対に諦めませんでした」と言う。

こんな話を同時に聞けば、
「いったいどちらが本当なの?」
と迷ってしまうだろう。

私の考えでは、
両方とも正しいと思う。
手放すほうがよいものは、
手放したほうが、良い方向へ導かれる。
諦めないほうがよいものは、
諦めないほうが、幸せになれるからだ。

私が考える「諦める」ということは、
自分の心の底から、
そのことに情熱を感じているのに、
達成するのが難しいからと言って、
止めてしまうことだ。

それに対して、「手放す」ということは、
何らかの理由で、魅力的に感じることだが、
それを追い求めても、
本当の意味で幸せになれないものに
見切りをつけて、止めることだ。

人間は欲深いから、できれば、
あれも、これも、それも、多くのことを
手に入れたいと思うし、
やり遂げたいと願っている。
しかし、現実的には、
自分の時間やエネルギーは有限だ。
やりたいと思うことを
すべてやることは不可能だ。

自分にとって、最高のものだけを選び、
あとはやらない選択をしたほうが賢明だ。
自分にとって最高のものは、
自分が心の底から本当にやりたい
と望んでいることだ。

問題は、顕在的には、
「僕はこれがしたい」と思っていても、
潜在的にはしたくないこともあること。
なぜ、そのようなことが起きるのか?
それは、周囲の影響を受けるから。
子供の頃から、親が言っていることや、
学校の教師が教えること、
また、社会一般的に言われていることで、
「こうできれば素晴らしい」
と自分が思い込んでしまうことがある。
本当は違うのに、
自分はずっとそれを聞いて育ったから、
「自分もこれをやりたいんだ」
と単に思い込んでしまう。
心の底から情熱を持てなくても、
「自分はこれがしたいに違いない」
と確信までしている場合もある。

こんな状態では、
自分が何かを止めようと迷う時、
「諦め」なのか、「手放すこと」なのか、
分からなくなってしまう。

では、どうすれば、「諦め」か
「手放すこと」か分かりやすくなるか?
それは、そのことを暫くお休みしてみること。
今までそれをずっとやってきたなら、
ちょっと休憩して、お休みすることだ。
この段階では、一旦止めることであり、
永久的に止めることではない。

どのくらいお休み期間を取るのかは、
ケースバイケースだ。
例えば、一カ月くらいそのことを
やらないで休憩してみる。
そして、一か月後に、
自分はどう感じるだろうか?

そのことをやらない分、
他のことに興味が出てきて、
「もう、それを続けなくてもいいかな?」
という気になれれば、
手放してしまうほうがよい。

逆に、1カ月はお休みしたけれど、
やはり、自分はこのことに
とても情熱を感じている。
「どうしてもやり続けたいな」
という気持ちが強ければ、
諦めないほうがよい。

短気な人は、
早くに結果が出ることを期待する。
しかし、大きなことは、
それなりに時間とエネルギーが必要だ。
気長に構えて、
諦めないで継続する姿勢が大切。
心底情熱を感じることは、
やはり、諦めないほうがよい。

「これを成し遂げたい」
と信じていても、
自分がそう思い込んでいただけで、
本当はそうでなかったことは、
分かった時点で、サッサと手放せばよい。

手放したほうがよいものを
手放すことも、
諦めないほうがよいものを
諦めないことも、
両方とも、将来的には
自分を幸せにしてくれるものだ。

同じ「止める」という選択でも、
その「止める」が「諦める」になるのか、
「手放す」になるのかを
自分自身がしっかり知ることは重要だ。

知るための手掛かりは、
自分が心底それを望んでいるかどうか
はっきりさせること。
分からない場合も多いが、
その場合には、いったん止めて
お休みしてみるとよい。
暫く休憩してみて、
そのことに対して、自分がどのように感じるか
が決め手になる。