断ることに苦手意識を持ち、
心から望まないことでも
「ノー」と言えない人は
日本には数多くいることでしょう。
そんな人たちが
どのようにしたら、
「ノー」と自信を持って言えるように
なれるのでしょうか?
今回の記事では、
「ノー」と言うことが
ずっと気軽にできるようになるための
有効な方法をご紹介します。
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「ノー」と言えないのは、あなただけではありません
日本とニュージーランドの両国で
長年生活してきた私の実感として、
日本人は嫌なことに対して
「ノー」と言いにくい傾向が
あるようです。
これに対し、ニュージーランドでは
多くの人が、
自分にとって嫌なことを
躊躇なく断ることができると
感じています。
嫌だけれども我慢してやっていること、
気が進まないけれども相手を思いやって
相手に合わせてしまうこと、
できれば断りたいのに、断ると
相手が不機嫌になるかもしれないため
仕方なく行ってしまうことは、
日本人なら経験のある方も
少なくないでしょう。
この傾向は、
日本の文化や価値観の影響を
受けていると思われます。
日本では、
周囲と調和することが重要視され、
多数に合わせない場合は
非難されることも珍しくありません。
そのため、無理をしてでも
周囲に合わせることが
選ばれがちです。
さらに、我慢や自己犠牲が
美徳とされる日本社会では、
相手に合わせるために
自分を犠牲にすることが
賞賛される傾向にあります。
このような文化背景の中で
育った私たちは、ノーと言うことを
避けがちになり、
本当はノーと言いたくても、
罪悪感を感じてしまい、
言えない人も多いのです。
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自分を苦しめないためにできること
文化的背景があるといえど、
「ノー」と言えないことで
自分に無用な負担やプレッシャーをかけ、
心身を疲弊させたり、心を苦しめるのは
不合理なことです。
嫌なことを断れずに
自分をつらい状況に追い込む日本人は、
ニュージーランドの人々を少し見習い、
もっと自分を楽にしてあげても
よいのではないでしょうか?
実は、「ノー」と言えるようになるために
役立つ方法があります。
それは、「ここまでは受け入れるが、
それ以上はノー」という基準を
あらかじめ自分の中で
設定しておくことです。
たとえば、自分の携帯電話番号は
親しい人にのみ教える、
夜10時以降の電話には応答しない、
気乗りしない誘いは
その場では返答せず、あとでメールで断る、
特定の人からの依頼は受けないなど、
自分にとっての許容範囲を定めるのです。
これらは単なる例であり、自分にとって
「これは受け入れ可能だが、これ以上は不快」
と感じる点に基づき、自分に適したルールを
作ることが重要です。
つまり、
自分が受け入れられる基準と
断る基準を事前に決めておくのです。
このような基準がない場合、
相手からのアプローチに際して
迷いを感じやすく、
断ることが難しくなります。
しかし、明確なルールが心にあれば、
誘いや依頼に対して迷うことなく、
「ノー」と言いやすくなるのです。
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最初はハードルを下げるとよい
とはいえ、
これまで「ノー」と言うことに
慣れていない人が、
自分で決めたルールに従って
「ノー」と言うのは、
簡単ではないかもしれません。
そうした場合には、最初は
ハードルを低く設定すると
よいでしょう。
はじめは、
自分にとって難しいと感じるルールは避け、
無理なく、少し頑張れば
「ノー」と言えるような
小さなルールから始めることが大切です。
そして、小さな「ノー」が
言えるようになってから
徐々にハードルを上げてゆきます。
ルールは一度決めたからといって
変更してはいけないと
思わないでください。
最初は自分に実行しやすい、
小さな「ノー」のルールを設定し、
それに慣れてきたら、
少し挑戦的な「ノー」にも
取り組んでみましょう。
このように意識的に
続けていくことで、だんだんと
「ノー」と言うことに慣れ、
やがては大きな「ノー」も
言えるようになるでしょう。
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ルールに縛られ過ぎないことも大切です!
自分で設定したルールが心にあれば、
迷いが少なくなり、受け入れること、
受け入れられないことを素早く判断し、
ルールに従って断ることも
できるようになるでしょう。
しかし、重要な点として、
ルールに縛られ過ぎないことがあります。
「Aは受けない」
と自分の中でルールを決めていても、
ときには断り切れない場面も
あるかもしれません。
断ることによって不安が生じ、
自分が望ましくない状態に
陥ることが明らかな場合も
あるからです。
そうしたときは、一度決めたルールを
厳格に守る必要はなく、
柔軟に対応することも大切です。
ルールを守らなかった自分を
情けなく思う必要はありません。
「そうだよね、
あの人にはノーと言いにくいよね」
と自分自身に共感して、
ルールを守れなかった自分を
受け入れる姿勢も重要です。
また、「Aは受けない」と決めていても、
依頼されたときに
自分がAをやってもよいと
感じることもあるでしょう。
そのようなときも、ルールに固執せず、
ときには例外として
受け入れることも
考慮に入れてみてください。
つまり、ルールを設定したとしても、
柔軟性を持って
ルールと付き合うことが大切なのです。
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まとめ:楽に「ノー」と言えるようになるために
今回は、「ノー」となかなか言えない人が、
どのようにすれば
「ノー」と言いやすくなるかについて
お話ししました。
それは、自分自身の中で
「ここまでは受け入れるが、
これ以上は受け入れない」という
明確な線引きを行い、
あらかじめ受け入れるものと断るものの基準を
設定しておくことです。
この基準は、自分にとって
最適なものであるとよいでしょう。
最初は、ハードルを低く設定して、
無理なく「ノー」と言えるルールを
作ることが効果的です。
そして、小さな「ノー」を
言えるようになったら、
徐々にハードルを高めてゆくのです。
もちろん、ときにはルールに縛られず、
例外を許容する姿勢も大切です。
たったこれだけのことですが、
自分の中にあらかじめ
設定したルールがあれば、
誘いや依頼を受けた際に
慌てることなく、迷いなく
「ノー」と言いやすくなります。
自分自身にとっての基準を設け、
少しずつでもよいので、
小さな「ノー」から始めてみましょう!