相手に行動を変えてもらいたいときの効果的なコミュニケーション方法

相手に行動を変えてもらいたい場合の
効果的なコミュニケーション方法について、
今回は深掘りしてみたいと思います。

自分が望むような行動の変化を
相手に期待する際、
どのようにコミュニケーションを取るべきか
は非常に重要です。

不適切な方法で相手に働きかけると、
逆効果となることも少なくありません。

効果的なアプローチを採用することで、
相手の行動を
自分の期待に沿って変えてもらう可能性を
高められるでしょう。

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逆効果になりやすいアプローチの仕方とは?

効果的な方法を述べる前に、
逆効果になりがちな
アプローチの仕方について、
夫婦間の一例を挙げて
見ていきましょう。

夫が毎晩のように帰宅が遅く、
これが妻の大きな不満の原因
となっているケースを想定します。

夫の帰宅が遅いのは、
夫が会社の同僚と
夜な夜な居酒屋で
過ごしているからです。

この状況は、
家計にも悪影響を及ぼし、
妻は夫に居酒屋通いを
控えてほしいと切に願っています。

さらに、
夫が遅くまで帰宅しないために、
子育ての負担も
妻一人にのしかかります。

このような背景から、
妻の夫に対する不満が
増大しているわけです。

この状況で逆効果となるのは、
望ましくない行動を取る夫を
妻が非難したり、責め立てることです。

人は非難されたり責められたりすると、
防御的になりがちで、
さらに頑なになるものです。

結果的に、夫はより頻繁に
居酒屋へ行くようになるかもしれませんし、
責められたことへの反発として、
妻を責め返すことも考えられます。

もうひとつのアプローチとして、
妻が自分の正しいと思うことを
夫に訴える場合もあるでしょう。

「あなたは父親なのよ。
家に早く帰ってくるのが
父親の大事な仕事でしょ。
今のあなたは
それができていないと思うよ」とか、

「我が家の家計は
こんなに苦しいのよ。
あなたが居酒屋に行っている余裕など
ないのよ」などと
夫に伝えるかもしれません。

しかし、たとえ妻が冷静に
これらを伝えたとしても、
この方法が効果を発揮することは
少ないでしょう。

なぜなら、それは単に
妻側の正義を主張することに
なるからです。

妻は自分が正しいと信じていますが、
夫にも夫なりの事情があり、
夫は自分の正義を持っています。

人それぞれに正義があり、
妻の正義が全ての人に
受け入れられるわけではありません。

両者が互いの正義に固執し、
歩み寄りが見られない場合、
最終的には正義・対・正義の
不毛な争いに終わってしまうでしょう。

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IメッセージとYouメッセージ

それでは、どうしたら
夫は妻の願いを
聞き入れやすくなるでしょうか?

効果的な手法の一つが、
「Iメッセージ」という
コミュニケーション方法です。

「Iメッセージ」とは、
自分(I)の感情や考え、ニーズを
「私は」と始める形で表現する方法です。

「Iメッセージ」とは対照的な
「Youメッセージ」という方法もあります。

「Youメッセージ」は、
相手の責任や過ちを指摘する際に
用いられがちで、
「あなたがいつも遅く帰るから
問題が生じる」といった表現が該当します。

「Youメッセージ」と
「Iメッセージ」の最大の違いは、
相手へのアプローチの仕方にあります。

「Youメッセージ」は、
相手を非難することが多く、
その結果、相手が防御的になったり、
攻撃的な態度を取ったりすることが
多いのです。

一方で、「Iメッセージ」は、
自分の感情やニーズを中心に伝えるため、
相手を非難することなく、
より建設的な対話が期待でき、
相互理解や問題の解決に
つながりやすいとされています。

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第一感情と第二感情の違い

Iメッセージを活用する際に
抑えておくべきポイントがあります。

その理解のためには、まず
感情には第一感情と第二感情が
存在することをご説明しましょう。

心理学では、第二感情として
怒りやイライラ、嫉妬、恨み、憎しみなどの
攻撃的な感情があるとされています。

これらが第二感情と称されるのは、
これらよりも先に、
第一感情が生じているためです。

第一感情とは、不安や悲しみ、
恐れ、寂しさなど、
人が直面する脅威やストレスへの
直接的な反応を指し、
これらは私たちにとって自然な反応です。

しかしながら、これらの感情は
しばしば苦痛を伴い、
本人にとっては
受け入れがたいものです。

そのため、
人はこれらの第一感情から目を背け、
自己を防衛するために、
怒りのような第二感情にすり替えて、
辛いと感じる第一感情に
向き合わなくても済むようにするのです。

多くの場合、私たちは
このことを自覚せずにいますが、
第二感情の背後には、
実際には第一感情が存在しています。

例を挙げると、あなたが
ブティックで服を選んでいるときに、
店員が近づいてきて
「それはあなたに似合わないですよ」
と発言した場合、
あなたは店員に対して
怒りを感じることでしょう。

このシナリオでは、
怒りという第二感情の前に、
第一感情が潜んでいます。

「そんな言われ方をされて
自分は情けない」と感じるような、
「情けなさ」や「惨めさ」が
その第一感情だと言えるでしょう。

この情けなさや惨めな気持ちを
内心で抱えきれず、
怒りという第二感情に
すり替えてしまうのです。

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Iメッセージを用いるときの注意点

第一感情と第二感情を
理解した上で、
Iメッセージを使う際の、
注意すべきポイントを
お話ししましょう。

「私は」と始めることで、
自分の感情や考え、ニーズを伝えるのが
Iメッセージの基本ですが、
この際、第二感情を伝えることは、
逆効果になる場合が多いです。

なぜなら、第二感情は
攻撃的な感情であるため、
相手にとっては
受け入れがたいものだからです。

そのため、怒りという
第二感情の背後にある
第一感情を見つけ出し、
それをIメッセージで伝えることが
大切です。

たとえば、前述の夫婦間のケースを、
考えてみましょう。

「今まで私はあなたに
父親として失格とか、
あなたを非難するようなことを
言ってしまったけれど、ごめんね。

これは実は私の問題だったの。
私の中に
抱えきれないほどの不安があって…。

子育てしてると、
いろんなことがあるのよね。
そんなとき、私、自分が
ちゃんとやってるのかな? って、
不安になることもあるし、

子どもたちが問題を起こしたとき、
ちゃんと育ってくれるのかなって、
すごく心配になってしまうの。

私の不安や心配を
あなたにも相談したかったし、
一緒に考えて欲しいと思っていたの。

でも、そのときには
自分の気持ちに
あまり気づいていなくて、
結局あなたのせいにしちゃった。
本当にごめんね」というふうに
言うこともできるでしょう。

または、
「毎晩あなたの帰りが遅いので、
私は、自分が大切に
されていないんじゃないかなと思って、
すごく寂しい気持ちになっていたの。

その寂しさを
自分自身で抱えきれなくって、
あなたを責めるように
あなたにぶつけていたの。
ごめんなさいね。」という言い方も
考えられるでしょう。

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Iメッセージで伝えられた立場で考えてみよう!

Iメッセージを通じて伝えた場合、
相手はどのような感情を
持つでしょうか?

謙虚な態度で妻が夫に
自分の感情をIメッセージで伝えたら、
夫も決して悪い気はしないでしょう。

むしろ、妻の本心を知らずに、
妻をサポートできなかった自分に気づき、
夫は反省するかもしれません。

自分の正直な感情を率直に表現し、
協力を求める様子を見せた場合、
相手は防御的になる必要がなくなります。

「そうか、君はそのように
不安を感じていたんだね。
僕が君のことをどうでもよいと
思っているとまで感じていたのか。

僕は君のことを
決してそうは思っていないよ。
わかった、僕にできることを考えてみよう。
一緒に解決策を探そう」
という反応が返ってくるかもしれません。

Iメッセージを使って
伝えることで、
相手はさまざまな対応策を
考える余地が生まれます。

「こんなことなら僕にもできるよ」とか、
「これは難しいけれど、
あれなら協力できるよ」といった
妥協案を提示しやすくなるでしょう。

すぐに相手が
期待通りに変わるとは限りませんが、
このようなアプローチを
続けていけば、徐々に相手も
協力的になっていくことが多いです。

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まとめ:賢く効果的に相手にお願いしよう!

今回は、相手に
行動を変えてもらいたいときに
最も効果的なアプローチ方法について
考えてみました。

相手の望ましくない行動を
非難することや、
自分が正しいと思うことを
相手に主張することは、
逆効果になる場合が多いです。

より効果的なアプローチは、
Iメッセージを用いて依頼することです。

Iメッセージとは、
「私は」と始めることで、
自分の感情や考え、ニーズを
伝える方法です。

ただし、Iメッセージを使う際には、
怒りやイライラ、嫉妬、恨み、憎しみ
といった第二感情ではなく、
これらの感情の背後にある
第一感情を伝えることが大切です。

たとえば、「寂しい」「悲しい」
「不安だ」などといった感情に気づき、
それを相手に伝えることで
効果を発揮する場合が多いのです。

それには自分自身の心と
向き合う必要があり、
容易なことではないかもしれませんが、
相手の反応が大きく変わる可能性は
高くなるでしょう。

Iメッセージを受け取った相手は、
防御的になることなく、
妥協や協力の姿勢を
見せやすくなるものです。

すぐに相手が
期待通りに動いてくれない場合も
あるかもしれませんが、
Iメッセージで根気強く
アプローチを続けることで、
相手も徐々に協力的な態度を
示してくれるようになるでしょう。

賢く伝えることで、相手に
効果的に協力を求めましょう!