他人を喜ばせるために、
無理をして
相手に合わせたり、
過剰に相手に気遣いする自分に
気づいたとき、ちょっと立ち止まり、
自分は本当に相手を喜ばせるために、
無理をしたいのかを
自分自身に問い直してみるとよいでしょう。
もし、嫌だな~
と感じる気持ちが少しでもあれば、
無理して他人を喜ばせることは
やめるべきだというのが、
今回の話の主旨です。
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自分と他人の利害が対立するのは日常茶飯事
普段の生活の中で、
自分と他人の利害が
対立することは珍しくありません。
相手は自分にこうしてほしい
と願っていても、
自分としては
そうしたくないと感じるときも
あるでしょう。
人にはさまざまな事情があり、
ときには自己犠牲を払ってまで
他人に尽くしたい
と思うこともあります。
そのようなときは、
それも一つの選択です。
しかし、そうしたくない
という気持ちが少しでもあるのなら、
無理をして相手に合わせるよりも、
自分の正直な気持ちを
率直かつ誠実に伝えるとよいでしょう。
たとえば、
友人から「温泉旅行に一緒に行こう」
と誘われました。
相手はどうしても
あなたと二人で旅行をしたい
と言ってきます。
もしあなたも気乗りするなら、
一緒に旅行を楽しむとよいでしょう。
しかし、どうしても
行きたくないと思うことも
あるでしょう。
本心では断りたいが、
断ることで相手を失望させ、
不機嫌にさせるのではないか、
または嫌われてしまい、
相手が自分から離れていくのではないか
と心配することもあります。
そんなとき、
自分の気持ちを抑えて
相手の希望にそって、
気乗りしない旅行に行くことを
考えるかもしれません。
このような場合、
相手の欲求に応えれば、
自分の欲求は犠牲になります。
逆に、自分の欲求を優先すれば、
相手を満足させられない
かもしれません。
こうしたどちらかが我慢する状況は、
日々の生活でよくあることです。
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相手の機嫌を取る行為が望ましくない理由
このような場合、できれば
自分の正直な気持ちを率直に伝えて、
自分の気持ちや状況を
相手に理解してもらえることが
ベストです。
しかし、それができず、
無理をして
相手に合わせてしまう人も
少なくないでしょう。
なぜなら、断ったら
相手はがっかりして
不機嫌になるかもしれないと心配したり、
嫌われてしまい
相手が自分から離れていくことを
不安に思うからです。
気持ち的にはよくわかるのですが、
相手から嫌われたり、
離れられたりする事態は、
あなたが思うほど
悪いことではないかもしれません。
無理をしてでも
他人を喜ばせるために
自己犠牲を払う人は、
一つの大きな誤解をしています。
それは、自分の行動により
他人の気分を良くしたり、
感情をコントロールできる
という考えです。
残念ながら
これは正しいことではありません。
他人の気分や感情は
その人自身のものであり、
外部の誰かが
コントロールできるものではないからです。
自分の気分や感情は
自分自身がコントロールし、
それに対して責任を持つべきですが、
他人の気分や感情は
その人自身の管轄下にあるのです。
自分の行動により
相手の気分をコントロールできると信じ、
自分が我慢すれば
相手を喜ばせられると考えるのは、
自分が相手の感情の責任を
負うことを意味します。
これはある意味、
傲慢な考えかもしれません。
相手が自分の感情を
コントロールする能力がない
と見なすことになるからです。
自分が相手の意向に沿うことで
一時的に相手を喜ばせることが
できるかもしれませんが、
常に自分が努力するだけで
相手の気分を良く保つことは不可能です。
相手の気分の良し悪しは
その本人の問題であり、
外部の人間のコントロール外に
あることだからです。
理想は、他人のことはさておき、
自分自身の気分を良くし、
自分が心地良いと感じるために、
自分の欲求や願望を満たすことです。
つまり、私たちは
自分のコントロールできることに集中し、
コントロールできないものには
関与しないほうがよいのです。
自分以外の人の感情や気分を
コントロールしようとすることは、
自分の管理できないことの一つです。
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コントロールできないことをコントロールしようとすればどうなるか?
ではなぜ、
コントロールできないものには
関与しないほうがよいのでしょうか?
その理由は、
コントロールできないことを
無理にコントロールしようとすると、
どのような弊害が生じるかを考えれば、
明らかです。
自分のコントロール下にないことに
一生懸命になっても、
思い通りに物事が進まないことが
多いです。
自分の期待と現実のギャップにより、
フラストレーションが溜まります。
すると、ストレスが増してきて、
心身の健康にも悪影響を
及ぼすでしょう。
この状態では
充実感や満足感を得ることが難しく、
幸福感も低下するでしょう。
自分のコントロール下にない
他人の状態をコントロールしようとすると、
精神エネルギーの消耗が激しく、
自分自身を疲弊させてしまいます。
そうなれば、
自分の生産性や創造性も
低下するでしょう。
本来自分自身に向けるべき
エネルギーや時間を、
自分のコントロール下にないことに
費やすことは、
自己実現や目標達成の妨げになるのです。
自分の管理下にないことに
時間とエネルギーを割く行為は、
長期的に見て
自己効力感の低下や失望感を招き、
人生の質を下げてしまうことになるでしょう。
したがって、
自分のコントロールが効く
自分自身のエリアに専念し、
相手の領域には
立ち入らないほうが望ましいのです。
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嫌われることを受け入れよう!
人間は承認欲求があるので、
できれば相手から好かれたい
と願うのは、自然のことです。
しかし、無理をしてまで
相手を喜ばせて、
自分を受け入れてもらおうとする努力を
常にやらねばならない状況は、
自分自身を望ましくない方向へ
導く可能性が高いです。
なぜなら、
自分の機嫌や感情を
自分以外の人に依存する人との関係は
不健全であり、
相手に尽くすことにより、
貴重な時間やエネルギーが
奪われてしまうからです。
それよりも、
自分自身の感情を大切にし、
自分のコントロール下にある
自分の気分を良くすることに
力を注ぐほうが、より建設的です。
たとえ相手があなたに
何かを強く望んでいたとしても、
それがあなたにとって
不都合なのであれば、
正直に感じていることを相手に伝え、
理解を求めるのが望ましいです。
その場合、
相手があなたの気持ちを理解し、
尊重してくれることもあれば、
残念ながら、そうではないときも
あるでしょう。
相手が失望し、相手はあなたから
離れていくかもしれませんが、
それを受け入れることは
必ずしも悪いことではありません。
自分の感情を尊重することで、
自分を嫌う人がいれば、
その人は自分から
離れたほうがよいと考えられます。
そうすることで、
自分自身をさらに尊重し、
大切にすることが可能になるからです。
無理をして関係を続けることは、
自分の感情や欲求を
抑圧することにつながり、
自己犠牲を伴う非対等な関係に陥ります。
このような関係は避けるべきです。
自己犠牲を伴う
不健全な関係に
あなたは苦しむ必要がないのです。
自分の正直な気持ちを伝え、
嫌われてしまったり、
相手から離れられてしまっても、
仕方がないと受け入れるほうが、
最終的には自分のプラスになるでしょう。
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負の感情を味わうことも有意義なこと
相手に嫌われたり、
今まで一緒にいた人が
自分から離れていくと、
悲しみや寂しさ、孤独を感じるのは
当然のことです。
こうしたネガティブな感情は
不快なものなので、
多くの人はできることならば
感じたくないと思うでしょう。
確かに、耐え難いほどのつらい感情には、
自己防衛のために
シャットアウトすることも必要です。
ただ、その負の感情に耐えられそうなら、
それを受け入れて
感じることも
決して悪いことではありません。
感情は、
じっくりと感じて向き合うことで、
次第に和らいでいくものです。
さらに、ネガティブな感情を
深く受け止めることで、
自分の心の器を広げることが
可能になります。
これらの感情を通じて、
自分自身としっかりつながり、
自己確立への力となるのです。
したがって、自分の心を壊すことなく
その感情を受け止められるなら、
ネガティブな感情であっても、
それをじっくりと味わうことは
有意義なことなのです。
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まとめ:幸せに生きるために
自分と相手の利害が
対立することは
珍しくありません。
ときには
相手を喜ばせるために自己犠牲を払い、
無理に尽くしたいと
強く思うこともあるでしょう。
しかし、そうではないときには
勇気を持って
相手を喜ばせることをやめましょう。
もし相手からの依頼や誘いがあっても、
それが自分の意に沿わなければ、
自分の気持ちを
率直かつ誠実に伝えることが、
結局は自分のためになります。
それにより自分自身を尊重して、
自分の気分や感情を
良い状態に保ちやすくなるからです。
どれだけ努力しても、
相手の気分や感情は
あなたのコントロール下にはありません。
相手に合わせれば、
一時的に相手は
満足するかもしれませんが、
これは短期的なものです。
長期的には、
常に相手をコントロールすることは
不可能だと言えるでしょう。
自分のコントロールできないことに
時間やエネルギーを使っても、
望む結果が得られないことも多く、
フラストレーションが増し、
自分自身を疲弊させるだけです。
相手の気分や感情はその本人に任せ、
自分は関わらないほうが無難です。
自分は自分の管轄下にある
自分自身の気分や感情に
集中したほうが賢明です。
そうした場合、
相手が不機嫌になったり、
あなたから離れていく可能性はありますが、
それも一つの自然な結果かもしれません。
私たちは他人の期待に応えるために
生きているわけではありません。
お互いの心が触れ合えるときは
共に楽しみ、そうでないときは
仕方ないと受け入れる柔軟性が大切です。
相手から嫌われたり
離れられたりするのは
決して快い経験ではありませんが、
可能であれば、悲しみや寂しさ、
孤独の感情を深く感じてみることは
価値のあることです。
感情を深く感じることで、
やがてはその感情は落ち着き、
そのプロセスを通じて
自分の内面も成熟してゆけるからです。
もし自分が無理に
自己犠牲を払って
相手を喜ばせていると気づいたら、
一度立ち止まり、
本当にそうする必要があるか?
考えてみることをおすすめします。
それが、幸せに生きるための
一歩になるでしょう。