幸せって何だろう?心と人間関係の深い関係

幸せに生きるためには、
自分の心を
安定させることに加えて、
周囲の人たちと良い関係を
保つことが欠かせません。

そして、心の安定(内面)と
人間関係の良好さ(外面)は、
互いに影響を及ぼす関係にあります。

この記事では、心と人間関係の間に、
よい循環を生み出すために、
意識したいポイントをお伝えします。

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内面と外面が互いに影響し合う仕組み

私たちの心のありようは、
周囲との人間関係に
大きな影響を与えます。

たとえば、心が安定し、
余裕を感じられているときには、
他者にも寛容になりやすく、
良好な関係を築きやすくなります。

心にゆとりがあると、
ちょっとしたトラブルにも冷静に対応でき、
人間関係が悪化するのを
防ぐこともできます。

さらに、関係が良好であれば、
お互いに信頼や安心感が生まれ、
心も安定し、
幸せを感じやすくなるのです。

一方で、心が不安定な状態では、
何気ない会話や
些細な行き違いが誤解につながり、
人間関係がぎくしゃくしがちです。

疑い深くなって相手の言葉を
悪いほうに受け取ってしまったり、
感情的に反応しすぎることで、
関係がこじれてしまうことも
あるでしょう。

その結果、人間関係がうまくいかず、
悩みを抱え、
さらに心が不安定になっていく
という悪循環に陥ることも
少なくありません。

このように、
内面と外面は一方通行ではなく、
互いに影響を与え合う関係にあります。

心が整えば
対人関係にもよい影響が生まれ、
やりとりがスムーズになります。

そして、
そこから得られる安心感や承認が、
私たちの心を
さらに豊かにしてくれるでしょう。

ここに、よい循環が生まれるのです。

この好循環を目指すことこそが、
幸せで豊かな人生を歩むための
鍵になるのです。

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レジリエンスと人間関係の深い結びつき

レジリエンスは、
私たちが幸せに生きていくうえで
欠かせない力です。

レジリエンスとは、
困難に直面しても心が折れず、
しなやかに立ち直る
精神的な回復力のことを指します。

「逆境に負けない力」
と表現されることもありますが、
その要素は内面だけにとどまりません。

「自分の感情を調整する力」や
「柔軟な思考力」などに加えて、
「身近な人と
良好な関係を築いているかどうか」も、
大きな役割を果たすのです。

人は、孤立しているときよりも、
信頼できる人がそばにいるほうが、
困難に立ち向かうエネルギーを
得やすくなるものです。

たとえ悩みや葛藤を抱えていたとしても、
自分を理解し、
支えてくれる存在がいることで、
より早く立ち直ることができるでしょう。

これこそが、
レジリエンスの重要な一面です。

つまり、人とのつながりが
内面に良い影響をもたらし、
逆境でも折れずに
踏ん張る力を育んでくれるのです。

また、レジリエンスの高い人は、
対人関係を「心を支えるネットワーク」として
上手に活用しています。

悩みを打ち明けられる相手がいたり、
必要なときには意見をくれる
尊敬できる人がいたりすることで、
心のゆとりが大きく変わってくるのです。

つまり、困難な状況でも
前を向いて進んでいける人は、
「内なる強さ」と「外からのサポート」の
両方をしっかり整えている
と言えるでしょう。

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親との関係が人間関係の基礎となる

ここまでお読みいただいて、
心を安定させ、
幸せに生きるためには、
良好な人間関係を築き、
レジリエンスを高めることが大切だ
という点を
ご理解いただけたのではないでしょうか。

もし今、
人間関係の悩みを抱えていて、
「なんとかしたい」と願っているのなら、
まずは自分の「人間関係のパターン」を
見つめ直すことが必要です。

「職場の上司とうまくいかない」
「配偶者との関係がギクシャクしている」
「友人と揉めてしまった」など、
人それぞれ抱える問題は
異なるでしょう。

ですが、
その相手との関係をどうこうする前に、
一度立ち止まって、
自分と親との関係を
振り返ってみることが、
とても役立ちます。

なぜなら、今抱えている
人間関係のトラブルの根本は、
親との関係が
深く関わっているからです。

私たちが他者とどう関わるか、
その土台には
「親との関係から学んだパターン」
があると言われています。

子どもだった頃、親と
どのようなやりとりを重ねてきたのか。

その体験の積み重ねが、
大人になってからの人間関係の
「ひな形」になっているのです。

たとえば、子どものころに
過干渉な親に振り回されていた人は、
境界線をうまく引けず、
大人になってからも
他人に自分の領域を
踏み込まれやすくなる傾向があります。

また、親の顔色をうかがいながら
生きていた人は、
他人の期待に応えることを優先し、
自分の本当の気持ちを
抑え込むクセがついている人が多いです。

今まさにトラブルを感じている相手が
職場の上司であっても、
その根本には、
子ども時代の親子関係の影響が
潜んでいるのです。

だからこそ、まずは、自分が親と
どんな関係を築いてきたのかを知ること。

そして、その関係が自分にとって
望ましくないものと気づけたなら、
そこを丁寧に修正していくことが、
今の問題の改善につながるでしょう。

さらに、これから先に起こり得る
人間関係の悪化を
未然に防ぐことも可能になるでしょう。

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「見つめる自分」と「見つめられる自分」

ここで、少し興味深いお話を
したいと思います。

子どものころの親との関係は、
自分の心の中にある「見つめる自分」と
「見つめられる自分」、
つまり、内なる自分同士の関係にも
深く影響しているのです。

たとえば、幼い頃に
「おまえはダメだ」
「どうしてできないの!」といった
否定的な言葉を
親から繰り返し浴びせられていた人は、
自分を責める内なる声を
育てやすくなります。

それはまるで、親の視線が
そのまま自分の中に入り込み、
自分で自分を非難する声に
なってしまったのです。

その結果、「見つめる自分」が
「見つめられる自分」に対して、
厳しい目を向け、容赦なく
ダメ出しをし続けるようになります。

また、親から過剰な理想を
押しつけられて育った場合には、
「あなたは何でもできる人でいなさい」
といった無言のプレッシャーを内面化し、
「もっとできるはず」
「これくらいできない自分は情けない」と、
自分を追い立てるようになるでしょう。

やがてその思いは、他人との比較による
劣等感や嫉妬心へとつながり、
自分自身を素直に認められなくなり、
自分を苦しめる結果となるのです。

こうした心の状態では、当然ながら
他者と健やかな関係を築くのは
難しくなるでしょう。

なぜなら、自分との関係が
うまくいっていないままでは、
他者との関係もうまくいかないからです。

言い換えれば、他者と良好な関係を築き、
心を安定させ、豊かに幸せに生きるためには、
「見つめる自分」と「見つめられる自分」が
仲良しになり、自分自身と
よい関係を築いていくことが、
まず何よりも大切なのです。

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自分自身と仲良しになるために

自分との関係を
良くしていくための第一歩は、
「見つめる自分」が
「見つめられる自分」に優しくなることです。

これまで「見つめる自分」が
「見つめられる自分」を責め続けてきたのなら、
まずはその非難を
意識的に手放していくことが大切です。

自分を大切に思う気持ちを込めて、
「見つめる自分」が「見つめられる自分」に
労わりの言葉をかけてあげましょう。

そのときに役立つのは、
大切な親友に接するときの自分を
思い出すことです。

親友が落ち込んでいるとき、
あなたはどんな言葉で
元気づけていますか? 

親友が悲しみに沈んでいるとき、
どんなふうに寄り添い、
共感していますか?

そのように、大切な人にかけている
優しい言葉や態度を、
自分自身にも向けてみるのです。

もし、これまで心の中に
厳しい「見つめる自分」が根強くあったのなら、
最初は違和感や抵抗を
覚えるかもしれません。

でも、無理のない範囲で意識して、
自分にやさしく接してみてください。

ときには、以前のように
厳しい「見つめる自分」が
顔を出すこともあるでしょう。

そんなときも、
自分を責めるのではなく、
「またやさしい見つめ方に戻ろう」と
思い出せば大丈夫です。

このような意識を
持ち続けていくことで、
親子関係の中で築かれた
人間関係のパターンも
少しずつ変化していきます。

そして、自分自身が
もっとラクに生きられるような、
健やかな関わり方へと
自然に変わっていくでしょう。

そうなれば、心に余裕が生まれ、
他者との良好な関係を築くための
土台にもなっていくでしょう。

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人間関係を変えるための「内からのアプローチ」と「外からのアプローチ」

内面が整ってくると、
その変化は自然と人間関係にも表れ、
少しずつ良い方向へと進んでいくでしょう。

そして、人間関係が良くなってくると、
私たちの内面もさらにあたたかく、
豊かになっていくものです。

こうした双方向の循環を
うまく活かすためには、
「内からのアプローチ」と
「外からのアプローチ」を
同時に進めていくのが理想的です。

まずは、自分の人間関係のパターンや、
親との関係から受け継いだ思い込みを
見つめ直し、自分自身との関係を
少しずつ整えていきましょう。

そして同時に、
現実の人間関係の中でも、
ほんの少し勇気を出して、
これまでとは違う接し方を
試してみることをお勧めします。

たとえば、これまでは
挨拶されなければ黙っていたという人も、
自分から「おはよう」と声をかけてみても
よいでしょう。

そんな小さなことでも、
思いがけず相手から
好意的な反応が返ってきて、
驚くことがあるかもしれません。

このように、「内」と「外」
両方からの働きかけを
同時に行うことで、
心の内面はより豊かになり、
それが自然と周囲の人との関係にも
よい影響を与えていくでしょう。

大切なのは
自分にとって無理のない範囲で
少しずつ挑戦してゆくことです。

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おわりに

この記事では、
「心のあり方」と「人間関係」が
互いに影響し合う仕組みについて
お伝えしてきました。

私たちの心の状態は、
そのまま対人関係に映し出されます。

そして、良好な人間関係は、
私たちの心を
しっかりと支えてくれるものです。

こうした好循環を築いていくためには、
まず自分の内面と丁寧に向き合い、
それを整えていくことが欠かせません。

とくに、幼少期の親との関係が、
大人になってからの人間関係に
大きく影響していることを理解するのは、
とても大切な一歩です。

その影響を見つめ直し、
自分自身との関係を見直すことで、
内面からの変化が始まるでしょう。

もし今、
人間関係の悩みを抱えているなら、
まずは心のあり方と人間関係が
どのように関係しているのかを理解して、
自分の心と向き合ってみましょう。

そして、心の状態を
少しずつ望ましいものへと
整えていくのです。

そのためには、
親子関係を通じて身につけた
人間関係のパターンに気づき、
それを自分に合う形に
修正していくことが役立ちます。

具体的には、自分にやさしく接し、
自分との関係を大切に育てていくこと。

それが整ってくると、自然と
他者との関係にも
変化が現れてくるでしょう。

そして、
少し心に余裕が生まれたときには、
相手に対して、少し違った関わり方を
試してみるのもよいでしょう。

大切なのは、自分に無理のない範囲で、
自分の内面を整え、外側の世界にも
優しく働きかけていくことです。

そうすることで、
心のあり方と人間関係の相互作用が、
少しずつ好循環へと
変わっていくでしょう。

あなたが心穏やかに、
豊かな毎日を過ごしていけますように。
心から願っています。