愛着問題

カズ姐さんの深くて面白い心理学」ユーチューブチャンネルのカズ姐さんは、実践的な心理学の話を分かり易く解説してくれている。最近、私は「愛着」に関する、彼女の動画を何本か観た。そして、「これは、私自身が抱える心の問題の原因の一つだ」と思った。興味深いお話なので、今日はカズ姐さんのトークの一部を要約してみたい。

心理的問題の多くには、裏に愛着問題が隠れている。

カズ姐さんによれば、様々な心理的問題は、愛着の問題が陰に潜んでいる場合が多いと言う。鬱、自傷行為、パニック、依存症、摂食障害、自殺、パーソナリティー障害、虐待、子育て問題、夫婦問題、DV、犯罪行為など、これらの背景には、愛着の問題がある場合が多いということだ。

愛着問題を抱える人は、自己否定感が強く、自分のことを大切にできない。そのため、人間関係、家庭、恋愛、結婚、子育て、健康面において、上手く行かないことが多い。常に生き辛さを感じたり、幸せな人生を生きられなくなるという、深刻な問題を抱えて生きることになるのだ。

愛着はどのように形成されるか?

子供の心と身体の発達には、愛情を通じた人との絆、つながり感、安心感がとても重要である。これがなければ、自己肯定感や安心感は育たない。子供の発達には、たった一人でいいから、愛着対象の人がいることが必要だ。この人から肯定され、愛されるという経験をするうちに、愛着が形成される。不安で心配な時には、「大丈夫だよ」と優しく自分のことを包んでくれる人、精神的になだめてくれる人がいるからこそ、安心・安全基地が作られ、心身両面での子供の発達が可能になるのだ。

愛着が上手く形成されない原因

子供の頃、愛着形成がきちんとされず、愛着問題を引きずって生きている人には、様々な原因があるそうだ。カズ姐さんは、その中でも主なものを5つ選び解説している。

1)対象喪失
愛着対象の人が、ある日突然、いなくなってしまうことをいう。病気や事故のため、親が亡くなってしまった場合や、何らかの事情により、親が育児を放棄してしまった時も、これに該当する。対象喪失は、子供にとっては、かなり受け入れ難い状況だ。カズ姐さんによれば、対象喪失は、愛着問題の原因のうち、一番ショックが大きく、それによる悪影響もかなり大きいと言う。

対象喪失によるショックがあまりにも酷すぎれば、子供はそれを対処しきれず、感情をシャットアウトしてしまうこともある。こうなれば、何を見ても、何が起きても、何も感じなくなると言った深刻な状態に陥るのだ。

2)否定的な養育、虐待、無視(ネグレクト)、毒親育ち
親から常に否定的な言葉をかけられて育った子供、暴力を振るわれて育った子供、親に関わって貰えなく孤独で寂しく生きている子供が、これに当てはまる。こういう子供にとっては、家庭は暖かい場所ではなく、常に恐怖や孤独を感じて生きている。これでは、安心・安全基地が築かれるわけはない。

カズ姐さんが言った興味深いことは、身体的な暴力よりも、言葉による否定の方が、脳への悪影響が大きいということ。聴覚から入る情報は、ストレスホルモンを過剰に分泌させ、脳を委縮させるそうだ。

3)主体性を奪う教育、親のコントロールが大きい場合
親が自分の都合の良いように、子供をコントロールしようとする場合。親が子供のやる事に過干渉して、子供が主体的に考えたり、選択したり、自己決定する芽を摘んでしまうケースだ。

例えば、子供の進路や、結婚相手に関して、子供は自分の意思が尊重されず、親が「こうしなさい」と言った道に進むことになる。もし、子供が親に背くことがあれば、「お前は家の子ではない」と拒否される。子供にとって、親は重要な存在なので、親に受け入れられるために、子供は自分の思い通りのことを言えなくなり、親からコントロールされるようになる。親自身が叶わぬ夢を持っていた場合、それを子供に叶えてもらおうとする親がいる。子供を親の自己実現のための道具として使ってしまうということだ。こうなれば、子供は自分の人生を生きれなくなり、非常に不幸になる。

4)親自身が愛着問題を持っている
親自身が愛着問題を抱えているので、精神的に常に不安定である。親の感情のアップ・ダウンが激しいので、家庭内は不穏な空気に包まれている。そんな親の姿を見て、子供は親を心配して、親の面倒を見ようと頑張る場合もある。本当は子供らしく振舞いたいのに、それを我慢して、親のご機嫌を取ったりする。そうするうちに、親と子供の役割が逆転してしまうのだ。

子供が一生懸命頑張った時、親に褒められたい、認められたいという願望があるのに、こういう親は子供の頑張りを見てあげることができない。そうなれば、子供も悲しくなり、満たされない感が強くなってゆく。

5)親自身が精神的に未熟である
実年齢は親でも、精神的には未熟なので、親としての責任を果たすことができない。自分で子供を産んだのに、子育てが面倒である。子供のことが嫌いで、子供を愛することができない。自分の自己実現のために、子供が邪魔だと思ったりしてしまう。こういう親の元で育てば、子供は精神的に満たされることはない。もちろん、安心・安全基地を築くことも不可能だ。

以上が、カズ姐さんが説明してくれた5つの原因だ。

私自身、上記5つの原因のうち、(2)(3)(4)(5)が当てはまっていると感じている。自分の心の問題に向き合うときに、どうしてそのようになったか?を知ることは大切だと思う。自分が親の立場で、自分の子供に接する時、自分の親と同じ過ちを犯さないためにも、これらの原因を正しく理解することは重要だろう。

もし、あなたが、人生生き辛いと感じているのなら、カズ姐さんのこの動画を視聴することをオススメする。カズ姐さん、役立つ情報を、有難うございました。

参考動画:「愛着の問題はどのようにして起きるのか?」(ユーチューブ カズ姐さんの深くて面白い心理学)