子どもが
自己肯定感を高く持ち続け、
のびのびと自分らしく
幸せな大人へと成長していくためには、
親としてどのような点に
気を配ればよいのでしょうか?
この記事では、
その答えを一緒に考えていきます。
まず、自己肯定感が
なぜ大切なのかを解説し、続いて、
親が日常で実践できる
具体的なアプローチをご紹介します。
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なぜ自己肯定感が大切なのか?
自己肯定感とは、
自分の長所も短所もすべて認め、
ありのままの自分を受け入れ、
「自分には価値がある」
と感じられる感覚のことです。
これは自信とは違い、
失敗や困難に出会っても
「それでも自分は大丈夫」と思える、
心の安定感を指します。
自己肯定感が高い子どもは、
新しいことに挑戦する勇気を持ち、
失敗を恐れずに成長していけます。
困難な状況に直面しても
前向きな気持ちを失わず、
自分なりの方法で
解決しようと試みるからです。
そうして挑戦を重ねることで、
自分の可能性をどんどん広げ、
大きく成長していけるのです。
さらに、自己肯定感の高い人は、
自分の欠点や弱点も含めて
自分自身を受け入れ、
大切にすることができます。
自分を認められる人は、
同じように
他人の欠点や弱点にも寛容になれるため、
相手を尊重し、健やかな人間関係を
築いていけるのです。
良好な人間関係は、
人生の幸福感に
大きな影響を与えるものですから、
自己肯定感が高い人は、
周囲と支え合いながら
幸せに生きることができるのです。
一方で、自己肯定感が低いと
さまざまな問題が起きやすくなります。
自分を認められないため、
他人の評価を気にして
行動するようになり、
本来の自分を見失ってしまうことも
少なくありません。
失敗を恐れるあまり
新しい挑戦を避ける傾向もあり、
可能性を狭めてしまうのです。
また、ときには
「自分には価値がない」と感じ、
将来に希望を見いだせなくなることさえ
あるでしょう。
学校生活では
友達との関係に悩んだり、
学ぶ意欲を失ったりする原因にも
なりかねません。
このように、自己肯定感は
子どもの今と未来の幸せを支える
重要な要素といえるでしょう。
そして、その自己肯定感は、
親の日常的な関わり方によって
大きく変わってくるものです。
だからこそ、親として意識的に、
子どもが自己肯定感を
高められるような接し方をすることが、
とても大切なのです。
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まずは、親自身が自分を受け入れよう!
子どもの自己肯定感を
育てたいと願うなら、
まずは親自身の在り方を
見つめ直すことが大切です。
子どもは親の背中を見て育ち、
親が自分をどう扱っているかを
敏感に感じ取るものです。
もし親が自己否定的で、
自分に価値を見いだせなければ、
子どももその影響を受け、
同じように
感じるようになるでしょう。
子育ての中で、
不安や迷いを感じる親は
決して少なくありません。
他の家庭と比べて
落ち込んでしまったり、
育児書やインターネットの情報に
振り回されて、自分のやり方に
自信をなくしてしまうことも
あるでしょう。
ときには、
子どもに良かれと思い、
自分の価値観を
押しつけてしまうことも
あるかもしれません。
けれど、
こうした悩みや迷いは、
すべて子どもへの深い愛情から
生まれたものです。
立派な親になろうと努力し、
子どもの幸せを心から願い、
その未来を思って悩む気持ちは、
まぎれもなく愛の証といえるでしょう。
まずは、そのことに気づき、
自分が注いでいる愛情に
自信を持つことから
始めてみましょう。
親自身が
「できない自分」も含めて受け入れ、
「それでも大丈夫」と思える姿を
子どもに見せることで、
子どもも安心して
自分を受け入れられるように
なるでしょう。
「普通」や「常識」
という枠にとらわれず、
自分らしさを大切にして生きる親の姿こそが、
子どもにとって
かけがえのない学びになるからです。
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具体的に愛情を伝えよう!
子どもの自己肯定感を育てるうえで、
愛情を伝えることは
欠かせない基本の要素です。
どれだけ愛情を抱いていても、
心の中にあるだけでは
相手には伝わりにくいです。
具体的な行動にして、
子どもがしっかり感じ取れる形で
表現することが必要なのです。
スキンシップは、愛情を伝える
シンプルで直接的な方法です。
特に子どもが小さいうちは、
ハグをする、手をつなぐといった
身体の触れ合いが、
言葉以上の安心感をもたらすでしょう。
ただし、
子どもの気持ちや性格に配慮し、
嫌がるときは
無理に触れないことも大切です。
また、
日常の挨拶やちょっとした会話も、
愛情を届ける良い機会となります。
朝の「おはよう」や
帰宅時の「おかえり」を、
目を合わせて心を込めて伝えるだけで、
子どもは「自分は大切にされている」
と実感できるでしょう。
会話のときにも、
子どもの目を見て話すことを
意識してみてください。
アイコンタクトは、
「あなたの話をちゃんと聞いている」
「あなたを大切に思っている」
というメッセージになるからです。
忙しいときでも、
子どもが話しかけてきたら
手を止めて耳を傾けてあげると、
子どもは「自分は尊重されている」
と感じるでしょう。
さらに、
子どもの小さな変化に気づいて
言葉にするのも効果的です。
「今日は髪型がいいね」
「素敵な笑顔だね」
といった何気ない一言が、
子どもの心を温めます。
そして、子どもが悲しいときや、
つらいときには、
まずは気持ちに
寄り添ってあげましょう。
「つらかったね」「くやしかったね」
という共感の言葉は、
大きな心の支えになるでしょう。
このとき、すぐに
アドバイスをしたり
解決策を押し付けたりするのは
避けたほうが賢明です。
まずは、子どもの気持ちを
そのまま受けとめてあげましょう。
子どもから
助言を求められたときに、
初めて適切なアドバイスを
伝えるようにするのです。
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プロセスを認めてあげよう!
子どもと向き合うとき、
つい結果に注目してしまいがちですが、
自己肯定感を育てるには、
結果よりも
そこに至るまでのプロセスに
目を向けることが重要です。
結果だけに注目されると、
子どもは
「成功したときだけ価値がある」
と感じやすくなり、
失敗を避けるために
挑戦しなくなることがあるからです。
「よくできたね」「上手だね」
といった結果を褒めるのではなく、
「最後まであきらめずにやっていたね」
「難しいことに挑戦していたね」と、
努力や挑戦している姿を
そのまま言葉にして伝えましょう。
こうすることで、結果にかかわらず
「一生懸命やることに意味がある」
と感じられるようになり、
挑戦する意欲を保てます。
特に、思うように進まないときや、
時間をかけて練習しているときこそ、
プロセスを認める良い機会です。
「毎日少しずつ取り組んでいるね」
「前よりも集中していたね」
と声をかけると、
子どもは自分の努力に
気づきやすくなるでしょう。
失敗したときの声かけも同じです。
「今日はうまくいかなかったけど、
もう一度やろうとしているね」
「別の方法を探しているんだね」と、
そのときの行動や気持ちを
言葉にして伝えてあげます。
こうした声かけが、
失敗を恐れずに
再び挑戦しようとする力に
つながるでしょう。
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長所を具体的に認めてあげよう!
子どもの自己肯定感を育てるには、
その子らしい良さを
具体的に言葉にして
伝えてあげるとよいでしょう。
たとえば、子どもが
友達に優しくしている場面を見たときは、
「友達が困っているのに気づいて
声をかけていたね」と、
行動をそのまま言葉にします。
性格的な特徴についても、
評価ではなく、
認める言葉で伝えることが大切です。
短所と長所は表裏一体です。
弱点に見えることも、
見方を変えれば強みにもなります。
子どもの性質を伝えるときは、
その良い面を意識して
言葉にしましょう。
たとえば、慎重な子には
「よく考えてから動いていたね」と、
活発な子には
「いろいろなことに挑戦していたね」
と伝えることで、その子自身が
自分の個性を
受け入れられるようになるでしょう。
日常の小さな行動にも
目を向けて言葉にしましょう。
「時間を見ながら自分で行動していたね」
「困ったときに
きちんと助けを求められたね」
「家族のことを気にかけていたね」
といった声かけが、
子どもに自分の行動への気づきを与えます。
大切なのは、
ほかの子どもと比べるのではなく、
その子だけの特徴や行動に焦点を当てて、
具体的に言葉で伝えてあげることです。
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子どもへの「ありがとう」を声にしよう!
子どもが親のために
何かしてくれたときは、
小さなことでも
感謝の気持ちを言葉で伝えましょう。
親はつい
「手伝うのは当たり前」
と思いがちですが、
感謝を伝えることで、子どもは
「自分は家族の中で大切な存在だ」
と実感できます。
単に「ありがとう」と言うだけでなく、
「何が助かったのか」を具体的に言葉にすると、
子どもは自分の行動が
誰かの役に立ったと理解できます。
家族を気遣ってくれたときや、
きょうだいの面倒を見てくれたときも
感謝を伝える良い機会です。
「弟の面倒を見てくれてありがとう。
あなたがいてくれて心強いよ」
といった言葉は、
子どもに自分の存在価値を
より強く感じさせてくれるでしょう。
また、「○○より上手にできたね」
と他の子と比べるのも避けましょう。
比べられることで、
感謝が競争心や不安に
つながることがあるからです。
大切なのは、
「あなたがしてくれたことが嬉しかった」
「助かった」という親自身の気持ちを、
そのまま素直に伝えることです。
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子どもを否定しないよう努めよう!
子どもが自分の思いや考えを
自由に表現できる環境を整えることは、
自己肯定感を育てるうえで欠かせません。
親の考えと違う意見や、
一見突拍子もないアイデアであっても、
まずは子どもの言葉を受け止め、
否定から入らないことが大切です。
子どもが
親の価値観と異なる発言をしたとき、
つい「そんなことはダメ」「それは違う」
と言いたくなるものです。
しかし、そのとき
その気持ちをぐっと抑えて、
頭ごなしに否定するのは
避けたほうがよいでしょう。
代わりに、
「どうしてそう思ったの?」
「もう少し教えて」と質問して、
子どもの考えの背景に耳を傾けましょう。
子どもの感情が
大きく揺れているときも同じです。
怒りや悲しみ、不安といった感情は、
一見良くないものに
思えるかもしれませんが、
どれも自然で大切な感情です。
「そんなことで怒るなんて」
と否定するのではなく、
「怒っているんだね」
「くやしかったんだね」と
子どもの気持ちを
そのまま受け止めてあげましょう。
感情を認めてもらうことで、
子どもは「どんな感情の自分でも大丈夫」
と安心でき、自己受容が深まり、
自己肯定感が育まれます。
失敗や困難について
話しているときも、
「たいしたことないよ」
「気にしなくていい」と軽く流さず、
子どもにとって
どれほど大きな出来事なのかに
目を向けてあげましょう。
大人から見れば小さなことでも、
子どもにとっては
深刻な悩みである場合があるからです。
子どもの話を聞くときは、
表情やしぐさにも注意を向けます。
言葉以外のサインからも、
本当の気持ちを
感じ取れることがあるからです。
そして、子どもが話しているときは
スマートフォンやテレビから目を離し、
しっかりと子どもと向き合う時間を
作りましょう。
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おわりに
この記事では、
子どもの自己肯定感を育てるために、
親が日常でできる関わり方を
考えてみました。
まず、自己肯定感が
なぜ大切なのかを確認し、そのうえで
「親自身が自分を受け入れる姿勢」
「愛情を行動で伝えること」
「結果ではなくプロセスを認めること」
「その子らしい長所を具体的に言葉にすること」
「感謝の気持ちを伝えること」
「子どもの考えや気持ちを否定しないこと」
を取り上げました。
どれも特別な準備はいらず、
今日からすぐに始められるものです。
親も人間ですから、
常に理想的な行動をするのは
現実的ではありません。
完璧を目指すのではなく、
無理のない範囲で
できることから
少しずつ試してみてください。
親の小さな変化でも、続けていけば、
親子のあいだに
しっかりとした信頼関係が築かれ、
子どもの自己肯定感も
徐々に育っていくでしょう。
あなたとお子さんが、
自分らしく幸せな気持ちで
毎日を過ごせることを
心から願っています。