NZ在住30年の私が海外移住をスムーズに進めるコツを話す

先日、日本に住む人から
「海外移住をスムーズに進めるコツは何?」
と質問された。
今回は、この質問に対して、
NZ在住30年の私が
自分の考えを述べてみたい。
単なる一個人の意見として
聞いて頂ければ、幸いだ。

海外移住を計画するとき、
私が大切だと思うポイントは次の3つだ。
1)小さなステップを踏むこと。
2)バックアッププランを持つこと。
3)当局者から直接情報を得る習慣をつけること。
それぞれ詳しく説明したい。

1)小さなステップを踏むこと。

海外移住に限らず、
大きな目標を達成する時に、
私が一番ラクだと思う方法は、
小さなステップを踏むことだ。
いきなり大きなことをやろうとはせず、
その目標までのステップを
小さなものに分けること。
そして、一つひとつのステップを
丁寧に踏んでいくことだ。
小さなステップならば、
急な階段を上がる必要もないので、
割とラクに昇ってゆけるからだ。

もし、本気で海外移住を考えるのなら、
いきなり移住するのではなく、
まずは一旦、3~6カ月くらいの期間、
移住を考える国に住んでみることだ。
その理由は、10日間くらいの旅行で、
「ああ、この国いいな。住んでみたいな」
と思ったとしても、
旅行で訪問するのと、実際に住むのとでは、
全く違うからだ。

旅行の時には、お客さんとして来るから、
ちやほやされて、その国の良いところしか見えない。
旅行中に経験した非日常は、
豪華でリッチな体験になるから、
すごく楽しいけれど、
実際に住むとなれば、
いつもそのような豪華でリッチな体験が
できるとは限らない。

その国の食事が自分に合うかも、
かなり重要なポイントだ。
短期間の旅行では楽しめても、
長期間、ずっと現地の食事をするとなれば、
大分ツラくなってしまう。
その国では日本食が簡単に調達できるのか?
値段はどのくらいなのか?
自分のお財布と相談して、
満足いく頻度で日本食が食べられるのか
確認しておくことも必要だ。

住居に関しても、
どんなところに住めるのか
きちんと調べてみるとよい。
ニュージーランドの場合には、
住む地域により、住居費が大分違う。
残念ながら、安く住める地域を選べば、
安全面で妥協しなければならない。
NZは割と安全な国ではあるが、
それでも盗難やバンダリズム、性的犯罪が
多発する地域もある。
特に家賃が安い場所は、その傾向が強い。

気候面や衛生面でも自分は耐えられるのか?
その国の言葉を喋れるのか?
車の運転は必要なのか?
万が一病気になった場合には、
医療面でも大丈夫なのか?などなど
実際に生活してみて、
本当に自分はここに住みたいのか?
自問自答するとよい。

日本人の移住者が集まるような場所に行き、
そこで実際に移住した人から
色々なアドバイスを聞くことも役に立つ。
日本食レストランに行けば、
日本人の移住者に会えたり、
日本人コミュニティーに関する情報があるので、
そこから必要なことを探すとよい。

3~6カ月でも住んでみれば、
「これなら自分にも行けそうだ」
と感覚的に分かるようになる。
その時点で、初めて、
本格的な移住を考えるとよいだろう。

2)バックアッププランを持つこと。

何をする時にも
プランBと言われるバックアッププランを
用意していれば、安心だ。
最初から、上手く行かない時のことを考えるのは、
ちょっと悲観的では?と思うかもしれない。

しかし、プランBがあるのとないのとでは、
自分の心の余裕も大分違ってくる。
バックアッププランがあれば、
万が一失敗してしまっても、
自分は大丈夫だと安心できる。
だから、チャレンジ中にも
「上手く行かなかったらどうしよう」
などと心配する必要もなく、安心して
そのチャレンジに集中できる。

移住の場合のバックアッププランは、
もし、期待通りには行かず、
日本に帰国することになっても、
ラクにそれができる体制を整えることだ。

例えば、何らかのサービスを受けている場合。
もう日本には住まないので、
必要ないからキャンセルしようと思った時、
一度キャンセルすれば、
再開が不利になってしまうものは、
キャンセルしないでおくほうがよい。
多少お金がかかることでも、
暫くはそのままにしておいて、
1年後に、「やはり自分は
ずっと海外で生活する」と確信した時に、
キャンセルするとよい。

これは単なる一例で、
どんなことでも、移住はやめて
日本に帰ることになっても、
その時に不都合が起きないように、
準備しておくことは大事だ。

私がNZで出会った日本人は、2パターンいる。
私のようにこの国を気に入り、
永久的にここに住もうと考える人もいるが、
そうではない人たちも大勢いる。
実際に生活してみて、
やはり日本の方がずっと良い
と感じている人も、けっこう数が多い。
そういう人たちも、この国に来る前には、
移住に対してワクワク感が大きく、
大きな夢と期待でいっぱいだった。
しかし、住んでみてから
「自分には合わないな」
と感じるようになったのだ。

もし、移住が上手く行かなくても、
バックアップのプランがあれば、
何も心配することなく、
心穏やかに生活できるものだ。
そういう意味ではプランBを持つことは、
意義あることだと思う。

3)当局者から直接情報を得る習慣をつける。

既に海外移住をした人たちや、
身近な人で、その国について
よく知っている人がいれば、
そういう人たちに
疑問点を質問すればいいだろう。

しかし、いつもいつも
身近にいる誰かに頼るのではなく、
重要な情報は、自ら直接得る習慣をつけたほうが
自分のためにもなる。
例えば、外国に住む場合には、
どの国でも滞在許可証のビザが必要だ。
ビザ取得の条件は国によって大分違う。
また、同じ国でも、ビザに関する規定が
どんどん変わってゆく場合もある。
2年前の規定と今の規定とでは
全然違う場合もある。

ビザのような重要な情報は、
詳しい人を頼りにするよりも、
自分がその国の入国管理当局機関より、
正しい情報を直接得たほうが賢明だ。
ビザ取得を専門業者にお願いできても、
たいていは多額な料金がかかってしまう。
それよりも、自分で実際に調べて、
自分で手続きを行うほうが望ましい。

移住をするということは、
その国で生活中に起きる様々な事態に
自分で対処しなければならないことだ。
ちょっと厳しい響きになるけれど、
将来、何か不都合が起きた時に、
自分でもきちんと対処できるように、
今から練習しておいたほうがよい。
他人にすべてを頼ってしまったり、
任せてしまったりするのではなく、
自分で当局者のサイトに行き、
最新の情報を得て、納得したほうが
のちのちのためにも役に立つ。

ということで、今回は、
どうすれば、海外移住のプロセスを
ムリなくできるのかについて、
私が考えることを述べてみた。