ペーパーレス時代

久しぶりにメディカルセンターへ行った。
GP(かかりつけ医)に診て貰うのは
1年3カ月ぶりだ。
体調を崩しやすい私が
こんなに長い間、
医者にかからないのは、とても珍しい。
この期間に医療事務のやり方が
すっかり変っていて、驚いた。
以前は紙を使用していたものが
すべてデジタル化されていたのだ。
たったの1年3カ月の間に
ここまで変わるとは、スゴイ!
と感心した。

まずは、処方箋の紙。
今までは、医者が薬品名とその分量を
紙に印刷して、自筆でサインしていた。
患者は処方箋の紙を薬局に持って行き
薬を購入するシステムだった。

昨日も処方箋の紙を貰うものだと
思っていたら、ドクター曰く
「あなたの携帯電話に
処方箋のテキストを送ったから」と。
早速、携帯をチェックしてみたら
リンク付きのテキストメッセージが
入っていた。そのリンクをタップ
すると、スマホのブラウザーが開き
「どこの薬局で薬を受け取りたいか?」
の質問とともに、近隣の薬局名のリストがある。
リストの中で、自分が行きたい
薬局名をタップすると、
「いつ薬を取りに来るか?」の質問が続いた。
「今日中に」というチョイスをタップして
すべて手続き完了。
あとは、薬局に薬を取りに行くだけだ。

「血液検査をしてみましょう」と言われて
検査用紙をくれるものだと
思っていたら、これも自動化されていた。
ニュージーランドでは、血液検査の
採血はメディカルラボといわれる検査機関で
行われる場合が多い。
メディカルセンター内に、メディカルラボの
職員がいれば、その場で採血して貰えるが、
そうでない場合には、検査機関まで出向いて
採血して貰うことになる。
私のかかりつけ医の場合は
別の場所にある検査機関まで
行かなければならない。

従来は、ドクターが検査用紙
(可能な検査項目がすべて記載されている)
の必要な項目にペンでティックを入れて
その紙を患者が検査機関に持参する
というやり方だった。
昨日、ドクターから指示されたのは
検査用紙を持たずに、検査機関に行くこと。
検査機関にはデジタルで必要な
検査項目のリストが送付されたそうだ。
検査機関へは未だ行ってないが、
おそらく、名前、生年月日を言うだけで
本人確認ができ、検査して貰えるのだろう。

診察を終えて、会計をする方法も
以前とは大分違う。
今まではドクターが診察の紙をくれて
患者はその紙を会計に持って行き
お金を支払って帰るという方法だった。
今では、診察の紙もなくなり、
会計で自分の名前を伝えるだけでOKだ。

更に、医療保険に加入している場合は
メディカルセンターが患者に代わって
保険会社に請求してくれるようになった。
今までのシステムでは、患者が
メディカルセンターに支払いをして
患者がレシートを保険会社に送り
医療費を返金して貰えるものだった。
でも、その必要もなくなった。
医療保険で全額負担して貰える場合は
キャッシュレスで医者にかかれる
ということになる。
便利になったものだ。

メディカルセンターに行くたびに
処方箋の紙、検査のための用紙、
会計に手渡す紙など、何枚も
ハードコピーの紙を貰うことは
もう昔の話となったのだ。

正直言って、私にとって
ニュージーランドは原始的な印象がある。
日本では乗らなくなった
中古の自動車を輸入して
乗っている人は多い。
日本のようなハイテクトイレや
ハイテクキッチンシステムは
この国にはない。
古いビルの中には
手動のエレベーターを
今でも見ることがある。
そんなわけで、日本に比べれば
大分遅れているな、と感じる。

でも、昨日のドクター訪問では
すべてがデジタル化していて
私は驚いたとともに、感心した。
ペーパーレスの時代に
突入したんだな、と感じたのだ。