ニュージーランドに暮らして
34年が経ちました。
長年この国で生活を続ける中で、
日本との違いを強く意識することが
しばしばあります。
その中でも特に、
あっさりとした人間関係がとても心地よく、
気楽に過ごせると感じています。
この記事では、具体的に
どんな点で日本と異なるのか、
私の体験を交えてお話しします。
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アドバイスに囲まれた日本、自由を感じるニュージーランド
ニュージーランドで
生活するようになってから、
他人からアドバイスを受ける機会が
少なくなったと感じています。
そのおかげで、
プレッシャーを感じることも減り、
嫌な気持ちになることも
あまりないです。
その結果、
穏やかな気持ちで過ごせる時間が
増えたように思います。
それとは対照的に、日本にいたころは、
さまざまな人から
アドバイスをいただくことが
多くありました。
アドバイスの中には、
教えていただいたことで
助けられた経験もあり、
そのようなアドバイスには
心から感謝しています。
ただ、すべてのアドバイスが
有益だったわけではありません。
たとえば、「あなたのそのやり方、
あまりよくないと思うよ。
こうしたほうがいいわよ」といった、
求めてもいないタイミングでのアドバイスです。
私は、自分のやり方で
何も困っていないと感じているときや、
周囲に迷惑をかけていないと
確信している場合には、
そのままで良いと思っています。
それにもかかわらず、
「もっとこうしたほうがいい」
「そのやり方はよくない」
などと言われることもあったのです。
もちろん、そのようなアドバイスにも
一理ある場合があります。
しかし、人それぞれ
自分に合ったやり方があるものです。
他人に迷惑をかけない範囲であれば、
自分のやり方を
大切にしてもいいのではないか、
と私は思いました。
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私の反発を招いたアドバイス
昔、友人から
こんなことを言われたことがあります。
その友人は節約術に長けていて、
買い物の際に
さまざまなポイントカードを活用することで、
かなりの節約ができると教えてくれました。
「ポイントカードを作れば、
こんなにお得になるんだよ」
と熱心に説明してくれ、
その意気込みには感心したのを覚えています。
確かに便利そうだと感じましたし、
友人のアドバイスには感謝していました。
ところが、それだけで
話が終わりませんでした。
数日後、その友人から
「ポイントカード、もう応募した?」
と確認のメッセージが届いたのです。
その時点で少し驚きましたが、
「まだしてないよ」と答えると、今度は
「思い立ったらすぐ行動しないとダメでしょ」
と言われてしまったのです。
その言葉には
どこか急かされているような、
押し付けられているような印象を受け、
内心少し嫌な気持ちになったのを
覚えています。
そもそも私は、
ポイントカードを作るために
個人情報を企業に渡すことには
慎重な姿勢を持っていました。
そのため、「そこまでして
ポイントカードを作る価値があるのだろうか」
と迷っていたのです。
そんな中で
「さっさとやらなきゃダメ」
という言い方をされると、
どこか強引さを感じてしまい、
心に引っかかるものがありました。
友人の言葉は、きっと
私を思ってのことだったのでしょう。
しかし、そのときの私は、
それが「アドバイス」というよりも
「命令」に近いものだと
感じてしまいました。
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心の負担となったアドバイス
昔、職場の先輩から
親切心で勧められたことが、
大きなプレッシャーとなった経験があります。
私は子どものころから
手の指に湿疹ができることが
よくありました。
アトピー性皮膚炎が原因だ
と医師から診断されていたため、
「仕方がない」と思いながら
過ごしていました。
ところが、あるとき
職場の先輩が私の手を見て、
「きちんと治したほうがいい」と感じたようで、
自分が通った皮膚科を熱心に勧めてきたのです。
その先輩も過去に
皮膚のトラブルを抱えており、
その皮膚科で治療を受けて
すっかり良くなった経験があるからです。
正直なところ、
私はあまり気乗りしませんでした。
これまで国立病院の皮膚科で薬をもらい、
一時的に改善しても
再び悪化を繰り返していたことから、
別の皮膚科に行っても
同じだろうと思っていたのです。
しかし、
先輩の熱心な勧めを断るのは、
その当時の私にはできませんでした。
「断ったら先輩の気分を
損ねるのではないか」と心配し、
その不安から
結局断れなかったのです。
仕方なく先輩に紹介された皮膚科に行き、
治療を受けましたが、
私の予想通り湿疹は改善しませんでした。
さらに困ったことに、
治療で注射されたホルモン剤が体に合わず、
体調を崩してしまったのです。
このときには本当に後悔しました。
「先輩の勧めを断れなかった自分が悪い」
と思いながらも、当時の私にとっては
お世話になっていた大先輩の勧めを断るのは、
とても難しいことでした。
先輩からの勧めを受け入れるまでの間も、
「どうしよう」と悩み続け、
心に大きな負担を感じていました。
その経験から、
どれほど親切心からのアドバイスであっても、
受け取る側にとっては
プレッシャーになることがある
と実感しました。
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善意からのアドバイスでも、有難迷惑になり得る!
アドバイスをしてくださる方は、
私が良い方向へ進めるよう
親切心から、
助言をしているのだと思います。
そのお気持ちは十分理解していますし、
感謝すべきことだとも感じています。
しかし、いくら善意であっても、
アドバイスを受ける側にとって
必ずしも助けになるとは限りません。
むしろ、そのアドバイスが原因で
悩みが増えたり、
精神的に追い詰められたりすることも
あるからです。
日本では、
年上の人や経験豊富な人の意見を
尊重する文化があります。
そのため、
特に年上の方からのアドバイスに対して
「聞き流す」という選択が
難しいと感じる場面が少なくありません。
「せっかく言ってくれたのだから」と考え、
無理にでも従わなければならないような
プレッシャーを感じることもあるのです。
さらに、
アドバイスを受け取る側にとっては、
その内容が自分の生き方や価値観を
否定するものに感じられる場合もあります。
「こうすべき」「こうしたほうがいい」
という言葉は、ときに
自分が大切にしているやり方や信念を
傷つけられたような気持ちにさせます。
そのため、善意であったとしても、
アドバイスが逆に
嫌な気持ちやストレスの原因に
なってしまうことも少なくありません。
もちろん、すべてのアドバイスが
迷惑だと言っているわけではありません。
中には本当に参考になり、
助けられるものもあります。
ただし、
相手の事情や心情を十分に理解せずに
自分の視点だけで与えられるアドバイスは、
たとえ善意であっても
受け取る側にとって
負担となる可能性があるということを、
もっと多くの人に知ってほしいと思います。
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日本とニュージーランドの文化の違い
ニュージーランドでの暮らしの中では、
求めてもいないアドバイスを
されることがほとんどないと感じます。
もちろん、
何かを教えてもらいたいときには、
誰かに質問して
教えてもらうことはあります。
しかし、
聞いてもいないのに相手のほうから
「こうしたほうがよい」とか
「こうするべき」などと言われることは、
まずありません。
そのおかげで、
不必要に不快な思いをしたり、
余計なプレッシャーを感じたりすることも
なくなりました。
日本では、
さまざまなアドバイスを
受けた経験がある私ですが、
ニュージーランドでは
そのようなアドバイスを受ける機会が
少ないという点が、
両国の違いの一つだと感じています。
親切心からのアドバイスには
感謝しているものの、
時にはそれが負担に感じることもあります。
そうなると、
やはりつらくなってしまいます。
ニュージーランドでは、
相手が求めていないことを
積極的にしてくれることは
あまりありません。
この点について、
日本の親切さに慣れている人には
少し冷たく感じられるかもしれませんが、
私は個人的にそのほうが負担が少なく、
居心地が良いと感じています。
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おわりに
この記事では、
日本とニュージーランドの人間関係において、
「アドバイス」という側面から
両国の違いについてお話ししました。
日本では
頻繁にアドバイスを受けることがあり、
それが不快に感じられたり、
心の負担になることもありました。
一方で、ニュージーランドでは
不要なアドバイスを
受けることが少なくなり、
そのおかげで心が軽くなった
と感じた体験をお伝えしました。
このテーマについては、
YouTubeでもトーク動画を投稿しています。
ぜひこちらもご覧いただければ嬉しいです。
リンクはこちらです:
https://youtu.be/fJ_PL-DJL5Q?si=PkAfWdqqQQ-3coB_
このYouTubeチャンネルでは、
日本とニュージーランドの文化の違いに
驚いたこと、
日本の外から見た日本の印象、
異文化体験を通じて学んだことなどを、
私の実体験を交えながら
さまざまなテーマでお話ししています。
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