日本とニュージーランド:失敗に対する捉え方の違い

この記事では、
日本とニュージーランドの
失敗に対する捉え方の違いについて、
私の個人的な見解をお話しします。

日本では、多くの人が
失敗に対して
厳しい目を向けがちですが、
ニュージーランドでは
失敗を寛容に受け止める人が
多いように感じます。

これは善悪の問題ではなく、
文化の違いとして
理解することができると
思います。

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個人よりも集団を重視する日本の文化

日本の文化では、
失敗は「恥」として
捉えられることが多いようです。

そのため、失敗を避けるために
事前に徹底した準備を行ったり、
失敗の可能性が
少しでもあるときには
計画を見直すことも
珍しくありません。

ニュージーランドでも
失敗を望む人はいませんが、
日本人ほど失敗に対して
恥じる感情を持たない
傾向があります。

日本では、個人よりも
その人が属する集団を
重視する文化があります。

そのため、個人が失敗すると、
その集団全体が
恥ずかしい思いをすることも
少なくありません。

たとえば、私自身の経験ですが、
日本の実家で両親と生活していたとき、
私は周囲の人々と
同じように振る舞うこと、また
他の人があまりやらないことは
控えるべきだと教えられてきました。

これは
「皆と同じことをするのがよい」
という日本特有の
文化観から来るものですが、
それだけではありません。

あるとき、父から
「そんなことをして
上手くいかなかったらみっともない。
だからやめなさい」と言われました。

何もしなければ失敗もなく、
恥をかくことも
避けられるという考えです。

そして、もし私が失敗すると、
私だけでなく
私の家族全体が
恥をかくことになるため、
慎重に行動するよう促されました。

日本では「私」という個人よりも、
「私の家族」という集団が
重要視されるため、個人の失敗が
より多くの人々に
影響を及ぼすのです。

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完璧主義的傾向の日本社会

日本では多くの人々が
完璧を求める傾向があります。

細部にわたって
高い品質と精度を重視する文化が
根付いており、これが日本製品の
高い品質に反映されています。

この文化は一面では
素晴らしいものですが、一方で、
失敗が許容されにくい環境を
生み出しているとも言えるでしょう。

私は日本とニュージーランドの企業で
働いた経験がありますが、
日本の職場文化では「前例」が
非常に重要であると感じました。

これまでに成功した事例があれば、
同じ方法を採用することが
奨励されます。

しかし、前例のないことに対しては
消極的な姿勢が目立ち、
上司も前例のない提案には
許可を出しにくい傾向があります。

前例のないことは
失敗のリスクを伴うため、
そのリスクを避けたいと
考えるからでしょう。

一方、ニュージーランドの職場では、
前例がなくても
提案が合理的であれば
上司を説得しやすく、
承認を得ることもあります。

私も、前例のない提案を行い、
承認された経験があります。

もちろん、前例のないことには
失敗もつきものですが、
ニュージーランドでは
新しい発見のためには
一定の失敗リスクを受け入れる風潮が
あると感じています。

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日本の受験教育も失敗を恐れさせる原因

日本とニュージーランドの
教育システムの違いは、
失敗に対する姿勢に
大きな影響を与えていると思います。

日本では、一度の試験結果が
人生に大きな影響を与えることも
少なくありません。

特に日本の受験制度は
この点で顕著です。

複数の学校を受験できたとしても、
特定の学校への入学を強く望む場合、
受験日に体調不良などで
実力を発揮できなければ、
その学校への進学が
難しくなることもあります。

そのため、受験日には
最高のコンディションで臨むことに
神経を尖らせる人も多いのです。

この日にうまくいかなければ、
自分の将来に大きな影響が出るため、
精神的なプレッシャーが大きく、
失敗への恐れも強まります。

一方で、ニュージーランドには
日本のような受験システムは
ありません。

高等学校の高学年の生徒は全員、
全国統一試験を受け、
大学進学に必要な基準を
満たす必要がありますが、
この基準はさほど高くありません。

普通に勉強していれば、
合格できるレベルです。

日本とは異なり、
大学間のランキングも
あまり明確ではなく、
特定のコースを除けば、
大学進学は比較的容易です。

そのため、
ニュージーランドの高校生は
日本の高校生よりも
リラックスしているように見えます。

ニュージーランドでは
大学進学は容易ですが、在学中は
しっかり勉強しなければ
合格が難しい場合もあります。

そのため、卒業を目指す学生は
真面目に勉強に取り組んでいます。

コースを始めても
授業についていけずに
脱落する生徒も少なくありませんが、
日本のように一度の試験結果で
人生が大きく左右されることは
ありません。

大学のコースに
合格できなかった場合でも、
一時的に大学を離れて職歴を積んだ後、
再び大学に戻って勉強する人も
珍しくありません。

このように、一度の失敗で
大きなダメージを受けることが
少ないのはニュージーランドの特徴です。

そのため、
学生たちは失敗を過度に恐れず、
リラックスして
勉強に取り組めるのでしょう。

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新しいアイデアにもオープンなニュージーランド人

ニュージーランドの人々は
新しいアイデアやアプローチに対して
オープンな姿勢を持つことが多く、
新しいことを試すことを
奨励する文化があります。

たとえば、
私が参加した料理教室では、
生徒一人ひとりが
指定された材料リストに基づいて
自分で材料を準備するのですが、
多くの生徒がリストと異なる材料を
持参していました。

材料が高価であったり、
売り切れていたり、
買い物に行けなかったために
代替品を使うのです。

料理の講師も「それで大丈夫、
その材料でもよいでしょう」と柔軟に対応し、
うまくいかなくても
「実験してみるのも面白い」という
スタンスを取っていました。

また、ホストファミリーとの経験も
印象深いです。

私が病気で具合が悪かったとき、
ホストファミリーは私のために
日本食を作ってくれました。

その料理はインゲン豆を
ご飯に入れて炊いたもので、
味付けもなく、インゲン豆も
そのままの大きさで入っていました。

ホストファミリーは
私がグリーンピースご飯を
よく作って食べていたのを知っていて、
私を元気づけようとしてくれたのです。

たまたまグリーンピースが
なかったために
インゲン豆で代用したそうです。

正直に言えば
インゲン豆のご飯は
美味しいものではありませんでしたが、
彼らの優しい気持ちには
とても感動しました。

異なる食材で試すことも
新しい発見につながる可能性があり、
悪いことではないと思います。

このような姿勢があるからこそ、
ニュージーランド人は
イノベーションを
起こしやすいのかもしれません。

ニュージーランドは、
多くの国からの移民が集まる
多文化社会です。

多様な背景を持つ人々が
共存しているため、
多様性に対して
寛容な社会と言えます。

そのため、
異なる視点やアプローチにも
寛容であり、失敗も一つの経験として
受け止める風土が
形成されたのではないかと思います。

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失敗を恐れることのメリットとデメリット

失敗に対する姿勢が
厳しいか寛容かには、
それぞれメリットとデメリットが
あるのでしょう。

たとえば、失敗に厳しい日本では、
その結果として
高品質な日本製品が生まれています。

これは素晴らしい点だと
考えられます。

一方、失敗を恐れずに
新しいアイデアや方法に取り組む
ニュージーランドには、
イノベーションの可能性が高いという
利点があります。

しかし、ニュージーランドの場合、
失敗に寛容なせいで、
不良品が日本よりも多く出ることがある
というデメリットも存在します。

また、日本では失敗を過度に恐れるあまり、
イノベーションが起きにくい
傾向にあります。

どちらの社会も
良い面と悪い面が存在するため、
一概にどちらが優れているかを
判断するのは控えるべきでしょう。

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まとめ

この記事では、
日本とニュージーランドの
「失敗」に対する捉え方が
大きく異なることについて
お話ししました。

日本では、多くの人が
失敗に厳しい目を向ける
傾向がありますが、
ニュージーランドでは
失敗を寛容に受け止める人が
多いと感じています。

この違いは
文化的な背景から
くるものなのでしょう。

具体的には、日本は個人よりも
集団を重視する文化であり、
個人が失敗すると
集団全体に迷惑がかかる
恐れがあります。

また、日本社会は完璧主義的であり、
失敗を良くないとみなす風潮があります。

さらに、日本の受験教育も
失敗を恐れさせる原因となっています。

一方で、ニュージーランドは移民が多く、
多文化社会であるため、
新しいアイデアに対して
オープンな姿勢を持つ人が多いです。

失敗を恐れずに
イノベーションの可能性を
高く評価する社会です。

失敗を恐れることには
デメリットもありますが、
日本製品の高品質という
メリットもあります。

そのため、
どちらが良い悪いという判断は
適切ではなく、
単なる文化の違いとして
捉えるべきでしょう。

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