ヘッドライス(毛じらみ)は
頭の髪の毛に住みつく寄生虫。
頭皮から血を吸って
卵を産みつけ、増殖してゆく。
日本では戦時中に
多くの子供が感染した
と日本の祖母は言っていた。
自分が子供の頃は
自分を含め、周囲で
ヘッドライスに感染した
人はいなかった。
衛生状態が悪かった
昔の話だと思っていたが、
子供たちがニュージーランドの
小学校へ行き出してから、
「ヘッドライスにご注意を」
というお知らせを
頻繁に受け取るようになった。
娘の親しい友人が
ヘッドライスに感染した
と聞いた。
娘はきちんとシャンプー
しているので、大丈夫だろう
と呑気に構えていたが、
それからすぐ、
娘も頭を掻きむしり出した。
娘の頭をよく見ると、
肉眼で虫が見えるではないか。
びっくりして、慌てて娘を
ドクターへ連れて行った。
すると、看護婦さんから
「なんで、こんなことで
いちいち病院へ来るんですか!
ヘッドライスは自分で
対処できるはずですよ!」
と叱られた。
この国では、ヘッドライスに
感染する子供がたくさんいる。
あまりにも普通のことなので、
自分で薬局へ行き、
ヘッドライス専用のシャンプー
を買って、自分で駆除するのが
常識、ということだ。
薬局のお姐さんが
丁寧に説明してくれたので、
アドバイスに従い
早速、娘の髪を
専用シャンプーで
洗うことにした。
シャンプーの蓋を開けたら
鼻にツーンとくる匂いがする。
「なんかこれ、人間にも
有害そうなシャンプーだな」
と心配になったが、
仕方ないので、
説明書通りにシャンプー
することに。
シャンプー後は、
ヘッドライス専用のクシで
髪の毛についた卵を
取り除く作業が待っている。
これが、実に大変で、
じっとして座ってられない
子供と、忍耐強く
卵を一つづつ除去する親の
戦いが始まる。
シャンプー後には
多くの虫の死骸だけでなく、
まだ、動いている虫も
見つかった。
念のため、再度シャンプーする
ことなるが、
駆除作業はかなりの
時間と労力がかかる。
この作業があまりにも
大変だったので、
息子にうつらないよう、
息子の頭を坊主刈りに
してしまった。
これなら、さすがに
ヘッドライスも
住みつかないだろう
と思って。
女の子も髪の毛が
長い場合は、
三つ編みにしたり、
髪を束ねて縛っておくと
感染しづらいそうだ。
美容師さんの話だと
不潔だからヘッドライスに
感染するわけではない。
清潔な髪の毛は
サラサラしているので、
逆に危ないとのこと。
ヘッドライスが髪の毛を
掴みやすく、寄生しやすいのだ。
髪の毛に油分があれば
ツルツル滑るので、
ヘッドライスも毛を
掴みにくくなり、
感染予防の効果があるそうだ。
ヘッドライスは子供だけが
感染するものではない。
子供のために駆除する
親が、子供からうつされる
場合もあるので、
十分注意した方がよい。