この記事では、
日本では普通にやることだけど、
ニュージーランドでは
避けたほうがよいこと。
また、逆にニュージーランドでは
普通に行うことだけど、
日本ではあまり歓迎されないこと。
さらに、
日本ではマナーとされていても
ニュージーランドではそうではないこと、
またその逆のケースについても、
いくつかお話ししたいと思います。
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トイレのマナー:ノックはNG?
最初にご紹介するのは、
トイレに関するマナーの違いです。
日本では、
トイレが使用中かどうかを
確認するために
ドアをノックすることが
あるでしょう。
中に人がいれば、
ノックし返して「使っていますよ」
という合図を送ることが一般的です。
しかし、この行為は
ニュージーランドでは
NGとされています。
トイレのドアをノックして
確認することは、
失礼だと見なされることが
あるからです。
では、どうやって
トイレの使用状況を
確認するのでしょうか?
ニュージーランドでは、
使用後のトイレのドアは
開けっ放しにしておくのが
一般的です。
ドアが閉まっていれば使用中、
開いていれば空いている、
というのが
ニュージーランド流のサインです。
私がニュージーランドに
来たばかりのころ、
この習慣を知らずに、
ホームステイ先でトイレの使用後に
ドアを閉めていました。
ある日、ホストマザーから
「ドアを開けておくように」と注意を受け、
驚いたものです。
日本とは違うこの習慣に、
最初は戸惑いましたが、
今ではこれにも
すっかり慣れました。
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鼻をかむこと、すすること:日本と逆のマナー
次に紹介するのは、
鼻をかむことに関する
マナーの違いです。
日本では、
人前で鼻をかむのは
マナーが悪いとされるでしょう。
鼻をかみたくなったら、
トイレや人目のつかない場所に
移動するのが一般的です。
一方、ニュージーランドでは、
目の前に人がいても、
気にせず鼻をかむ人が多く、
しかもかなり大きな音を立てて
鼻をかむことさえあります。
でも、周囲の人は
全然気にしていない様子です。
反対に、ニュージーランドでは
人前で鼻をすすることは
NGとされています。
日本では、風邪や花粉症などで
鼻水が出そうなとき、
公衆の面前でも鼻をすすることは
よく見られる光景です。
むしろ、鼻をすする音を聞くと
「風邪をひいたのかな?」と
心配されることもあります。
ところが、ニュージーランドでは
人前で鼻をすすること自体が
マナー違反なんです。
大きな音で鼻をかむのはOKでも、
鼻をすするのはダメという
この違いには、私も最初は驚き、
面白いなと感じました。
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フレンドリーさの違い
ニュージーランドには、
フレンドリーな人が多いです。
たとえば、電車やバスの中、
駅やバス停で待っている間に、
知らない人同士でも
たわいのない会話を
することがあります。
こうした光景を見て、
ニュージーランド人は
とてもフレンドリーだと感じます。
ただ、ニュージーランドの
フレンドリーさには、
日本人が感じるものとは
ちょっと違うと思うときもあります。
日本では、たとえば
相手の年齢や体形について
話題にすることが、
普通に行われるでしょう。
「ちょっとやせたんじゃない?」とか、
「最近太った?」なんて言葉を、
日本ではよく耳にします。
しかし、ニュージーランドでは
このような会話は
ほとんど聞かれません。
体形や年齢に関する話題は、
とてもデリケートなものとされており、
たとえ親しい間柄でも
避けたほうが無難です。
ニュージーランドでは、
個人的な質問は
慎重に扱われているようです。
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会話のマナー:相槌とアイコンタクト
日本人にとって
少し戸惑うかもしれないのが、
会話中の「相槌」と
「アイコンタクト」です。
日本では、
会話の流れをスムーズにするために
「そうですね」「なるほど」といった相槌を
頻繁に打つのが一般的です。
でも、ニュージーランドでは、
日本と同じ感覚で相槌を打つと、
「相槌が多すぎる」と感じられてしまい、
相手に不快感を与えることも
少なくありません。
私もニュージーランドに
来たばかりのころ、
日本の感覚で
英語でも相槌をうっていましたが、
英語のネイティブスピーカーの何人かから
「相槌が多すぎるよ」
と指摘された経験があります。
もう一つの重要なポイントが
「アイコンタクト」です。
日本では、
目上の人や親しくない人と話すときに、
相手の目を避けることが多いですが、
ニュージーランドでは逆に、
アイコンタクトを避けることが
悪い印象を与えることもあるのです。
会話中に
適度なアイコンタクトを取ることが、
相手に対する敬意の表れ
とされているからです。
ただし、相手の目を
じっと見続けるのも不自然です。
見すぎず、見なさすぎず、
適切にアイコンタクトを取りながら、
重要な場面で相槌を打つのが
理想とされているようです。
私にとっては今でも
このバランスを取るのが
難しいと感じることがあります。
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食事のマナーの違い
日本とニュージーランドの
食事マナーには、
いくつか異なる点があります。
日本では、そばやラーメン、
うどんなどの麺類を
「すする」ことが一般的です。
むしろ、それが
美味しさを表現する一つの方法として
受け入れられています。
すすりながら食べることで、
味だけでなく
香りも楽しめるからでしょう。
しかし、ニュージーランドでは、
麺類でも音を立てて食べることは
マナー違反とされており、
麺をすする行為は
好ましくないとされています。
ニュージーランドでは、
麺類に限らず、
食事中に音を立てることは
全般的に
お行儀が悪いとされています。
また、食卓でのマナーにも
違いがあります。
ニュージーランドでは、食卓で
自分の手の届かない場所にあるものが
欲しいとき、近くに座っている人に
「取ってくれませんか?」
とお願いするのが一般的です。
一方で、日本では、
相手に頼むことを避け、
自分で手を伸ばして
取ることが多いでしょう。
「迷惑をかけたくない」
という気持ちが
あるからだと思われますが、
ニュージーランドでは、
手を伸ばして自分で取ることが
マナー違反とされ、
周囲の人に頼むことが
良いマナーとされています。
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「断っているのに繰り返すこと」はNG?
日本では、
相手への気遣いや遠慮から、
自分の意向をはっきりと
言わないことがよくあります。
そのため、
食べ物をすすめられたり、
誘われたりしたときに
「私はいいです」と一度断ったとしても、
本心では遠慮しているだけ
かもしれないと解釈され、
繰り返しすすめられることも
あるでしょう。
日本では、これは
相手を気遣う優しさの一環として
受け取られると思います。
しかし、ニュージーランドでは
断った人に再度すすめる行為は
あまり歓迎されません。
ニュージーランドでは、
多くの人が自分の意向を
はっきりと伝える文化があります。
何かをすすめられた際に
興味がなければ、最初から
「ノーサンキュー」
ときっぱり断ります。
この「断る」という行為は、
相手がそれを望んでいない
という明確なサインとみなされるため、
繰り返しすすめたり誘ったりすると、
しつこいと感じられてしまう
リスクがあるのです。
日本の慎ましさや遠慮の文化は、
ニュージーランドでは
必ずしも理解されないことがあるため、
注意が必要です。
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ギフトやお土産の違い
次は、プレゼントやギフト、
お土産に関する
日本とニュージーランドの違い
についてです。
日本では、感謝の気持ちや
お世話になったことへのお礼として、
何かしらの贈り物をするのが
一般的です。
ギフト文化が深く根付いていて、
感謝の表現として
贈り物をすることが
当たり前とされています。
一方、ニュージーランドでは、
クリスマスや誕生日などの
特別な日を除けば、
ギフトを贈る機会は少なく、
感謝の気持ちは
言葉で伝えることが主流です。
少しお世話になった程度であれば、
わざわざ贈り物を用意するのではなく、
「ありがとう」と言葉で伝えるだけで
十分と考える人も多いです。
友人宅に招かれた際も、
日本のように
手土産を持参するのが
常識とは限りません。
ニュージーランドでは、
夕食に招かれたときには
ワインやデザート、おつまみなどを
持参するのが普通ですが、
お茶に招かれた程度なら、
手ぶらで訪れるのが一般的です。
招待する側も、
日本ほど手の込んだもてなしを
することは少なく、
シンプルにお茶とビスケットで
お迎えするのが普通です。
さらに、病院に入院した際や
医師にお世話になった場合、
日本では感謝の気持ちを
ギフトやお金で表すことがありますが、
ニュージーランドでは
そのような習慣は一切ありません。
医療従事者に対する感謝も、
言葉での「ありがとう」だけで
十分とされています。
お土産を渡すタイミングにも
違いがあります。
たとえば、ホームステイをする際、
日本では最初にお土産を渡すのが
一般的です。
しかし、ニュージーランドでは、
むしろ滞在の最後、帰国の直前に
感謝の気持ちを込めて
お土産を渡すのが普通です。
もちろん、
日持ちしない食品などの場合は別ですが、
そうでない限り、滞在の最後に
お礼として渡すことが通例です。
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誰がお礼を言う?
ニュージーランドでは、
バスを降りるときに
運転手さんに「ありがとう」と言ったり、
カフェやレストランで
食事や飲み物を運んでくれた
スタッフに対して「ありがとう」
と声に出して感謝を伝えるのが、
日常的な習慣です。
多くの人が、自然に
感謝の言葉を口にしています。
一方で、日本では、
サービス提供者が
「ありがとうございます」と
お客さんに感謝の言葉をかける光景が
一般的です。
日本には「お客さまは神様」
という文化が長く根付いており、
サービスを提供する側が
「サービスを利用してくれてありがとう」
と感謝を示すのが
当然と考えられています。
もちろん、日本でも
カフェやレストランで
スタッフにお礼を言う人はいますが、
ニュージーランドと比べれば少なく、
どちらかといえば
サービス提供者から感謝の言葉を
かけられることが多いでしょう。
この違いは、両国に根付いた
文化や価値観の違いに
由来しているのかもしれません。
日本では、お客さんが上位、
サービス提供者が下位という
ヒエラルキーが存在するのに対し、
ニュージーランドでは、
サービス提供者とお客さんの関係が
フラットで、サービスを受けた側が
その場で感謝の意を示すことが
普通であると考えられています。
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おわりに
今回は、日本とニュージーランドの
マナーの違いについて、
いくつか例を挙げて
お話ししました。
国が違えば、日常のマナーも
大きく異なることを
改めて実感します。
異文化の中で生活することで、
一つの文化圏で
「当たり前」とされることが、
別の場所では全く違うものとして
受け取られることを知る機会となり、
視野を広げるきっかけにもなります。
また、「こうするべきだ」
と思っていたことが、
別の文化圏では
必ずしも通用しないという経験は、
柔軟な心を育てるための
良いトレーニングともなるでしょう。
そういう意味で、
異文化に触れることは
意義深い体験だと言えます。
これから
ニュージーランドを訪れる予定の方や、
留学、ワーキングホリデーで
ホームステイを考えている方に、
今回の内容が
少しでも参考になれば幸いです。