日本とニュージーランドのヒエラルキーの違い

私が肌感覚で感じた
日本とニュージーランドの
ヒエラルキーの違いをお話したい。
あくまでも、私の主観的な意見なので、
もしかしたら、他の人は
違う風に感じているかもしれない。
そのことを最初にお断りしておく。

ヒエラルキーとは
階層性や階級制の意味で、
身分や地位の上下関係のこと。

私がニュージーランドで生活を始めて、
まず最初に感じたことは、
お客様とサービス提供者間の
ヒエラルキーが両国ではかなり違うこと。

日本では、小売店の店員さんと
お買い物をするお客さんとの間に
上下関係を感じられる。
お客様が上の立場で、
店員さんが下の立場だ。
昔よく言われた「お客様は神様」という言葉通り、
日本では、お店の人たちは
お客様に丁寧に応対している。

でも、ニュージーランドでは、
全くそれはない。
お客さんもお店の人も同等の立場
という印象を受けた。
時には、お店の人の方が偉そうに
振舞う姿も見られる。
スーパーマーケットのレジで、
お会計が終わった時には、
日本ではお店の人が
「ご利用ありがとうございました」
とお礼を言うだろう。
でも、ニュージーランドでは逆だ。
お店の人が品物を
袋に入れてくれたりするので、
お客さんの方が「有難う」と言っている。
それに対して、お店の人は
「どういたしまして」と返す。

公共のバスを利用した場合、
運転手さんが「ご利用頂き
有難うございます」と言うことはない。
乗客が運転手さんに、
「有難う!」と声に出してお礼を言う。
それに対して、運転手さんは
「どういたしまして」と返している。
乗客のほとんどが、降りる時には
大きな声でお礼を言うので、
これを見ると、「素晴らしいな」と思い、
いつも、感心している。

ニュージーランドに暫く住んでから、
久しぶりに日本に里帰りをした時、
感じたことがある。
銀行へ行った時、入った途端、
銀行員の人々が一斉に声を揃えて
「いらっしゃいませ」
と明るく声をかけてくれた。
そして、銀行から去る時には、
従業員のすべてが次々と
「ご利用有難うございました」
と言ってくれるのだ。

ニュージーランドでは、
こういうことはないので、
正直、違和感を覚えたくらいだ。
お客様に丁寧に応対する姿が、
ちょっと行き過ぎたようにも感じられて、
異様な感じがした。

お医者さんと患者さんの関係も
両国では違うように思える。
日本ではお医者さんが偉くて、
患者さんは下の立場だという雰囲気が
ひしひしと感じられる。
もちろん、ニュージーランドでも
お医者さんは尊敬されるべき存在だが、
あまり偉そうにしているお医者さんに
私は今までお目にかかったことがない。

日本に居た時には、
お医者さんに何か質問したくても、
雰囲気的に怖くて、
質問するのにかなり緊張した記憶がある。

でも、ニュージーランドではそれはない。
ドクターが待合室まで
患者さんを迎えに来てくれる。
ドクターに名前を呼ばれて
椅子から立ち上がった途端、
明るくにこやかな表情で
“Hello, Midori. How are you?”
って聞いてくれるので、
そこから、ちょっとした会話が始まる。
診察室に入っても、あまり緊張しないし、
最後に必ず、「何か質問はありますか?」
と聞いてくれるので、
聞きたいことがあれば、普通に聞ける雰囲気だ。

職場での人間関係も、
あまり地位の上下関係を意識しない。
もちろん、組織の中は階級制になっていて、
上下関係はあっても、
日本の職場の上下関係ほど
厳しい感じはしない。

日本で上司が間違ったことを言えば、
「間違っていますよ」というのも
なかなか伝えにくい場合も多い。
でも、ニュージーランドの職場では
遠慮することなく、普通に
「間違っていますよ」
と言える雰囲気がある。

今日の話をまとめてみれば、
ニュージーランドでも
ヒエラルキーはあるけれど、
それがあまり表面化していない気がする。
表面上は皆平等という空気が
流れているように、
私には感じられる。