2Degrees

ニュージーランドは
面積的には日本の約3/4。
でも、人口は少なくて、
国全体でも500万人ほどだ。
東京都の半分以下の
人口なので、
空間的にも広々していて、
東京出身の私には
ゆったりと感じられる。
日々の生活の中で
人口の少なさを
実感することも
しばしばだ。

大分昔の話だが、
こんなことがあった。
娘の幼稚園のお迎えに
行った時、
お孫さんを迎えに来ていた
おばあちゃんが
私に話しかけてきた。
「どこの国の出身ですか?」と。
私が答えると、
「私の甥っ子が大学で
日本語を専攻していたのよ」
とのこと。

その後、甥っ子さんに
ついての話を聞いていたら、
私は、このおばあちゃんの
甥っ子さんと
同じ大学(他都市にある)で、
「和英翻訳」のコースで
一緒に勉強していた
ことが分かった。

その甥っ子さんと私は
同じクラスでも、
特別仲良しだった
わけではないが、
これをきっかけに
「一緒にお茶でもしようか」
ということになった。

これ以外にもある。
パーティーに行った時、
初対面の人と話したら
私とその人とは
共通の友人がいること
が分かった。
こういうことは
よくある話だ。

また、以前の職場では
私の隣の席に座っていた
同僚は、
私の義弟の家の
すぐ隣に住む人だった。

ニュージーランドでは
人口の少なさを象徴する
言葉がある。
「2Degrees」と言われるが、
2Degrees of separationの略で、
日本語に訳せば
「2次の隔たり」となる。
この国では、全ての人が
2ステップ以内で
繋がっているという意味だ。

2Degreesを分かり易く
説明すれば、次のようになる。
例えば、私はこの国の首相
であるアーダーン首相のことを
直接、個人的には知らない。
しかし、私の友人Aさんの
友人であるBさんは
アーダーン首相を個人的に
知っているのだ。
この場合、私と
アーダーン首相との間には
AさんとBさんという2人
が挟まっている。
たったの2人だけだ。

話を分かり易くするため
アーダーン首相を
例に出したが、
すべての人との繋がりが
たった2人だけ、または
それ以下で隔たって
いるというのが
2Degrees of separation
の意味だ。

実際には、2Degreesが
すべての人に当てはまる
とは思えないが、
人口の少なさを
象徴する言い方としては
面白いなと思った。