腰が低く謙虚で優しい人が
人間関係に悩むのは、
よくあることです。
相手と良好な関係を築こうと
一生懸命頑張っているにもかかわらず、
その努力が報われないことも
珍しくありません。
なぜ、そのようなことが
起きるのでしょうか?
この記事ではその原因を探り、
良好な人間関係を築くためのヒントを
考えてみたいと思います。
「頑張っているのにうまくいかない」
と感じている方に
読んでいただきたい内容です。
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頑張っているのに報われない!
世の中には、
非常に優しく謙虚で、
腰が低い人がいます。
誰に対しても礼儀正しく、
相手を思いやる「良い人」
として知られる存在です。
彼らは、
自分の意見を押し付けることなく、
常に丁寧な振る舞いを
心がけています。
相手の気持ちを傷つけないよう
細心の注意を払い、
笑顔を絶やさずに接する努力を
続けています。
それにもかかわらず、
こうした人々が
周囲から不快に思われたり、
イライラされたりすることも
あるのです。
さらには、なめられたり、
利用されたりする場面も
少なくありません。
これほど一生懸命頑張っているのに、
なぜ思うような
人間関係を築けないのか?
良好な関係を
望んでいるにもかかわらず、
相手から距離を置かれたり、
逆に不当に扱われてしまうのは
なぜなのか?
その理由がわからず、
悩む人も少なくありません。
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心の中に隠れた「申し訳なさ」
このような人の心の奥には、
「申し訳ない」という感覚が
隠れていることが多いです。
一見すると、これは
礼儀正しさや謙遜の表れのように
思えますが、
実際には、無意識のうちに
自分の存在そのものを
否定する感情であり、
自分自身を低く評価しています。
それが「私のような人間の話を
聞いてもらえるなんて、
申し訳ない」とか、
「こんな自分を
相手にしていただけるなんて、
本当に恐縮する」とか、
「私のような
大したことのない人間と
時間を過ごしてもらうなんて、
申し訳ない」といった感覚になるのです。
こうした思いを抱えた人は、
相手と接するたびに
無意識に自分を必要以上に
低い位置に置いてしまいます。
本人にとっては、
それが「謙虚さ」や「腰の低さ」として、
相手との良好な関係を築くための
大切な礼儀だと
考えているのかもしれません。
しかし、このような態度が続くと、
相手も違和感を覚えて、
周囲との関係を
不健康なものにしてしまうことも
少なくないのです。
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「申し訳ない」を連発する人への周囲の反応とその影響
相手に迷惑をかけたり、
自分が明らかに
非を認めるべき状況では、
「申し訳ありません」と
真摯に謝罪するのは当然のことです。
しかし、特に理由もなく、
自分を過小評価する気持ちから
「申し訳ない」を
頻繁に繰り返していると、
周囲の人々は主に
2つの反応を示すようになります。
ひとつ目は、
健全で対等な関係を
求める人々の反応です。
こうした人たちは、
理由のない謝罪を聞くたびに
違和感や疲労感を覚えます。
もうひとつは、
支配的な性質を持つ人々の反応です。
彼らは、謙虚さを弱さと捉え、
利用しやすい相手だと見なします。
健全な関係を築きたい人々にとって、
理由もなく「申し訳ありません」
という態度を取られると、
居心地の悪さを覚えます。
「この人は
何も悪いことをしていないのに、
どうしてこんなに
恐縮してばかりいるのだろう?」
「もしかして、私が相手を
謝らせてしまっているのだろうか?」
と不可解に感じるのです。
そして次第に、
「この人と一緒にいると疲れるな」
「何だか面倒だな」と感じるようになり、
最終的には「悪い人ではないけれど、
一緒にいるのはちょっと…」
と距離を置くようになるのです。
一方で、支配的な性質を持つ人は、
「申し訳ない」という態度を示す相手を
格好のターゲットと捉えます。
「この人は弱くて頼りなさそうだな。
自分が主導権を握って
コントロールしてやろう」と考えるのです。
このような人々は、
相手の謙虚さを「弱さ」と解釈し、
そこにつけ込むことを躊躇しません。
その結果、
自己否定的な態度を持つ人は、
利用されたり、
軽んじられたりすることが
増えてしまうのです。
場合によっては、
モラハラ気質のある人に
目をつけられることもあるでしょう。
彼らは、まるで
獲物を狙うハンターのように、
自己否定的な人々を見逃しません。
「申し訳ない」と頭を下げる姿勢が、
彼らにとっては
最高の餌食に見えるのでしょう。
このように、「申し訳ありません」
を連発する態度は、
健全で対等な関係を求める人を遠ざけ、
支配的で不健全な関係を望む人々を
引き寄せるという
皮肉な結果をもたらしてしまうのです。
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「申し訳ない」という感覚の背景
「申し訳ない」という態度で
他人と接する人には、
どのような背景があるのでしょうか?
それは多くの場合、
自己肯定感の低さが関係しています。
特に、幼少期の親子関係が
大きな影響を与えることが
少なくありません。
たとえば、幼い頃に親から
「そんなこともできないの!」
「どうして失敗したの!」といった
否定的な言葉を投げかけられたり、
ありのままの自分を
受け入れてもらえない経験を繰り返すと、
自己肯定感が大きく傷つきます。
また、良い成績を取ったときだけ
褒められるとか、
良い子にしていたときだけ
愛されるといった
条件付きの愛情を受けて育った場合も、
自己肯定感は低くなります。
こうした経験が、
「自分は価値のない人間だ」
「自分は何かを成し遂げないと
受け入れられない」
という感覚を育ててしまい、
それが大人になっても
人間関係に影を落とすのです。
「申し訳ない」という態度は、
一見すると謙虚で控えめな印象を
与えるかもしれません。
しかし実際には、
下から相手を操作しようとする
コミュニケーション戦略
となっている場合もあります。
過去に「申し訳ない」
という態度を取ることで
人間関係をある程度
コントロールできた経験がある人は、
そのパターンを無意識に
繰り返してしまうことがあるのです。
とはいえ、この下からの
操作的なコミュニケーション戦略は、
必ずしも期待通りに
機能するわけではありません。
むしろ、多くの場合に
相手に「不自然さ」や「居心地の悪さ」を
感じさせたり、
「この人を利用してやろう」
と思わせてしまうことも
少なくありません。
その結果、相手に距離を置かれたり、
場合によっては
モラハラ気質の人に
目を付けられることになるのです。
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解決策:自己受容と自己肯定感を高めること
もし今回お話ししたことが原因で、
他者と健全で良好な関係を
築くことができないのなら、
この問題をどう克服すればよいのでしょうか?
まず、自分が「申し訳ない」
と頻繁に口にしていることに気づいたら、
具体的に何が申し訳ないのか
考えてみるとよいでしょう。
多くの場合、実際には
何も謝る必要はないとわかるでしょう。
また、「申し訳ない」という態度で
相手と接してしまう背景には、
幼少期の親子関係が
影響していることが多いです。
自分の子ども時代を振り返り、
親から十分に受容されなかった経験が
自己肯定感の低下につながっている
と理解することも大切です。
ただし、この原因を
親のせいにして責めるのは避けましょう。
親も不完全な存在であり、
完璧な子育てが
できるわけではありません。
親が望ましい子育てを
できなかった理由には、
彼ら自身の生い立ちや未熟さが
影響している場合が多いのです。
そのような背景を理解し、
「仕方のないことだった」
と受け入れたほうがよいでしょう。
その上で、自己受容を意識的に
練習することをおすすめします。
自己受容とは、自分の感情を
そのまま受け入れることです。
たとえば、
悲しいときには「悲しいよね」と、
悔しいときには「悔しいよね」と、
自分の感情に寄り添いながら
認めてあげることです。
この練習を続けることで、
次第に自己受容が深まり、
自己肯定感も少しずつ
高まっていくでしょう。
自己受容に関しては、
以下の記事で詳しく説明していますので、
ぜひご参照ください。
自己受容の重要性について
さらに、誰かと接するときには、
理由のない「申し訳ない」という言葉を
意識的に控えるよう
努めてみましょう。
これまで「申し訳ない」を
頻繁に使っていた人にとって、
それを完全になくすのは
簡単ではないかもしれません。
つい口癖のように出てしまうことも
あるでしょうが、
その際も気にすることなく、
次から気をつければ十分です。
自己受容を深め、
自己肯定感が高まるにつれ、
自分を必要以上に低く見積もる気持ちは
徐々に薄れていくでしょう。
焦らず、自分のペースで
少しずつ取り組んでみてください。
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おわりに:健全な人間関係を築くために
この記事では、
謙虚で優しく、腰の低い人が
人間関係で苦労する理由、
その背景にある心理、
そして解決策についてお伝えしました。
一生懸命頑張っているのに、
努力が報われない
と悩むことがあれば、
その原因は
自分でも気づかないうちにとっている
「申し訳ない」という姿勢に
あるのかもしれません。
この姿勢は、
周囲との関係を不自然なものにし、
健全な人々を遠ざけ、
不健全な関係を
引き寄せてしまいます。
その根本にあるのは、
自己肯定感の低さです。
もし自分がこのケースに当てはまる
と感じても、心配しないでください。
この状況は改善できます。
まずは、自分の感情を
そのまま受け入れることを
意識してみましょう。
少しずつ続けていくことで、
自己受容が深まり、
自己肯定感が高まっていくでしょう。
それに伴い、「申し訳ない」という気持ちも
徐々に薄れていくはずです。
ただし、
心に大きな傷を抱えている場合は、
それだけでは十分でないこともあります。
その際は、カウンセラーなどの
専門家の力を借りることも
有効な手段です。
ありのままの自分を受容し、
自分を大切にできるようになると、
他者とも対等で健全な人間関係を
築きやすくなります。
まずは自分自身を肯定し、
受け入れることから始めましょう。
そのままの自分で良いのだと信じて、
変化への第一歩を踏み出しましょう!
それが、心地よい人間関係を
手に入れるための
大切な鍵となるからです。