酷く落ち込んでいる時、
「元気出そうよ」と言われても、
なかなかそういう気にはなれない。
ネガティブな気持ちが強い時、
「ポジティブになろうよ」と
アドバイスされても、
そうすることは難しい。
ネガティブからポジティブへは
距離があり過ぎるから、
一気には飛ぶことはできない。
そんな時、ポジティブまで
行けなくてもいいから、
まずはニュートラルを
目指してみると良いだろう。
ニュートラルの位置は
プラス・マイナスゼロの地点。
ネガティブでもなく、
ポジティブでもなく、
中間の地点だ。
ニュートラルの位置の利点は、
視野が広くなり、
客観的に物事が見えやすくなること。
ネガティブやポジティブの
どちらかに偏り過ぎると、
全体のうちの一部分しか見えなくなる。
その一部分がフォーカスされて、
あまりにも大きくなり過ぎる。
本当はそんなに大きな部分ではないのに、
極度に大きく見えるのだ。
そうなれば、歪んだ現実を見ることになる。
ネガティブに偏り過ぎれば、
ありとあらゆるものが
ネガティブに見えてきて、
生きることが非常にシンドクなる。
本当は良いことだってあるのに、
ネガティブの一部分が
大き過ぎるほど膨れ上がるから
ポジティブ面が隠されてしまう。
逆にポジティブに偏り過ぎると、
すべてが素晴らしく見える。
素晴らしく見えることは
良い点もあるが、
影に潜んでいる危険とか、
リスクを見落とすことになり、
それにより、取り返しのつかない
失敗をする恐れもある。
ニュートラルの位置では、
世界が広く見える。
その世界の中には、
ネガティブなこともあるし、
ポジティブなこともある。
また、ネガティブでもなければ、
ポジティブでもないものもある。
そんなすべてを見やすくなるのが
ニュートラルの位置だ。
では、どのようにすれば
ニュートラルの位置に簡単に行けるか?
やり方は幾つかあるが、
私がお勧めするのは次の通り。
今、見えているもの、聞こえているものを
現在進行形で言葉にしてみることだ。
例えば、居間のテーブルに座っている時、
「私はテーブルの上の果物を見ている」
「壁にかかった時計の針が1秒1秒進んでいる」
「窓の外では、鳥がさえずっている」
「庭では犬が吠えている」
「赤ちゃんが泣いている」等々。
これをやる時のポイントは、
今、この瞬間に見えているもの、
聞こえているものを
感情抜きで、ありのまま
現在進行形の言葉を用いて
表現してみることだ。
見えているもの、聞こえているものが、
良いこと、悪いことだと判断せずに、
そのままの状態を言うことだ。
理想的には3分間、これをやってみる。
そうするうちに、
「今この瞬間」にフォーカスが移る。
「今この瞬間」に居る時には
未来のことも、過去のことも忘れている。
3分間と聞けば、短く感じるけれど、
実際にやってみると、かなり長い。
この間に沢山のことが言える。
3分間やってみて、終了した後、
「あれ、私、今まで何してたっけ?」と
これを始める前にしていたことを
一瞬忘れることもできるのだ。
「今この瞬間」に集中できる時、
頭の中で忙しく飛び交う思考は消える。
次から次へと色々考えていることが
一旦ストップすると、
かなりスッキリした気分になれる。
とてもリフレッシュするものだ。
頭の中で現在進行形で唱えるよりも、
実際に声に出して言ってみる方が
効き目があるかもしれない。
あまり難しく考えないで、
ゲーム感覚で、今見えているもの、
聞こえているものを、
現在進行形で声に出して言ってみよう。
ちょっとの間でも、
今までしていた思考が止まって、
今この瞬間に集中している自分がいる。
このちょっとの「今この瞬間」が大切だ。
不思議と心が洗われる感覚を経験するだろう。
こうなれば、ニュートラルの位置に
近づくこともムリなくできる。
ネガティブ思考がいっぱいで
疲れてしまった自分がいるなら、
是非、この言葉のゲームを試してみて。
「今この瞬間」にフォーカスが当たれば、
ニュートラルの位置に向かうことができる。
そうなれば、今まで大きく見えていた
ネガティブなことも、
実は、そんなに大きなものではなかった
と気づくことだろう。
「この世の中、悪いこともあるけれど、
良いことだってあるんだ」と
客観的に世界を見やすくなるだろう。
目指すところはポジティブではなく、
ニュートラルの位置だ。