何か出来事が起きた時、
それをポジティブに解釈して、
前向きに進んで行ける人もいれば、
ネガティブにとらえて、
元気をなくし
クヨクヨし続ける人もいる。
自分はいつも悲観的に
色々なことをとらえがち。
そんな自分はダメであり、
良くない人間なのか?
その答えは、ノーだ。
何でも悲観的、ネガティブに
解釈する人は、
それなりの背景があるので、
仕方のないことだ。
今回の話は、
人がネガティブに物事を
とらえるようになる背景や、
どうしたら、ポジティブに
考えられるようになるか?
について。
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同じ出来事でも、
人は様々な解釈をして、
様々な反応を示す。
自分にとって
都合の良いように解釈して、
喜ぶ人もいれば、
悪くとらえてしまい
気分を害する人もいる。
この違いは、
いったいどこから来るものか?
それは、一人一人の
解釈の癖の違いによるものだ。
多くのことを
肯定的に解釈する癖のある人
がいる一方で、
なんでも否定的に受け取り、
不愉快に感じるように
解釈してしまう癖の人もいる。
「思考の癖」が
とらえかたの違いになり、
それが全く違う感情を
生み出して、
全く異なる反応を
示すことになる。
同じ出来事に対しても、人により
全然違う反応が返ってくるのは、
そのせいだ。
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思考の癖が原因なのは
確かなことだけど、
それ以前に
とらえかたに影響を与える
大きな要素が存在する。
私たち人間は誰でも
心の中に情報の大きな倉庫を持つ。
その倉庫の中に
どんな情報が入っているかにより、
とらえかたや、解釈の仕方が
違ってくるのだ。
この情報の倉庫は
とてつもなく大きい。
その人が生まれた時から、
日々経験したことや、
人から聞いて学んだこと、
本で読んだことなど、
何らかの形で触れたことの
すべてがこの倉庫に入ってゆく。
この倉庫は、
海底に沈んでいるようで、
普段はその中身を直接
見ることはない。
しかし、何かの拍子で、
その中の一部が
海面に浮かび上がることがある。
沈んでいるなら、普段の生活には
何も影響がないのでは?
と思われがちだが、実は、違う。
本人は気づかなくても、
この倉庫の中にある情報に
常に影響されている。
人が何かを考える時、
解釈する際、
その人の情報の倉庫の中身が
考え方を左右する。
この大倉庫の中に
ポジティブなものが
沢山詰まっていれば、
物事をポジティブに
とらえる傾向にある。
逆に、ネガティブなもので
いっぱいならば、
悪い方向へ解釈したり、
物事の悪い面だけに
注目したりして、
悲観的になりやすくなる。
どのように考えるか?
どのように解釈するか?
考え方や解釈の仕方は
人それぞれ癖がある。
この癖は、その人の
情報の大倉庫の中にある内容に
強く影響されるものだ。
考え方や解釈の癖が
一旦決まって固まれば、
無意識のうちに、
同じような考え方、解釈の仕方
をするようになる。
自分にとっては
当たり前の思考回路となり、
無意識でも、その回路に従って、
考えたり、解釈したりする。
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たとえば
仕事上で重大なミスを犯し、
会社に迷惑をかけた場合。
こういう状況下では、
誰でも最初は落ち込んで
凹んでしまうもの。
しかし、一部の人は
直ぐに立ち直り、
失敗を糧にできる。
ミスから学んだことを活かして、
失敗をバネに成長できるのだ。
その一方で、
いつまでも失敗による
精神的なショックから立ち直れず、
ミスを悔やむばかりで、
クヨクヨとし続ける人もいる。
この人たちの違いも、
失敗をどのようにとらえるか?
解釈しているか?
その違いによるものだ。
そして、失敗への解釈の仕方は、
その人の心の中にある
潜在意識の大倉庫の情報に
大きく左右されている。
大倉庫の情報の内容は
多くの場合は、
幼少期より親から
どのように育てられたか?
により、大分違ってくる。
親から常に否定され、
ダメ出しされて育った人は、
大倉庫の中に
自分に対して悪い印象を
持つような情報が沢山詰まっている。
親からネガティブな言葉を
多く聞き続けてきたので、
ネガティブなものが
いっぱい倉庫の中に入っている。
そのため、
重大ミスが起きた時、
「やっぱり自分はダメなんだ」
と感じやすくなる。
それに対して、
親から励まされて育った人は、
倉庫の中にある情報は
かなり異なる内容のものが
入っている。
「失敗は学びの経験になるよ。
成功の元だよ」
と聞いてきたので、
そのような言葉も
倉庫の中に隠されている。
だから、
一時的には落ち込んでも、
「この失敗から
自分は何を学べるか?」を考えて、
前に進むこともできる。
育てられ方の違いが、
潜在意識の倉庫の内容を
違ったものにして、
その結果、解釈の仕方や
考え方もこれに影響され、
思考の癖、考え方の癖
が徐々に形成されてゆく。
こういう背景があるので、
常にネガティブな解釈をする人は、
「自分はダメなんだ」
と情けなく思う必要はない。
誰でも、否定的な言葉ばかりで
育てられれば、自然と
そうなってしまうものだから。
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しかし、そうは言っても、
いつも悲観的な思考をするのでは、
自分自身がツラくなることも
あるだろう。
そんな場合、どうすれば、
もっとポジティブに
物事をとらえられるようになるのか?
解釈癖、思考癖、思考回路を
今までとは違うものにするには、
効果的な方法がある。
その方法は
「リフレーミング」
と呼ばれるものだ。
自分が普段使う言葉を
意識して変えてみること。
たとえば、一日の終わりに
「あ~、疲れたな~」
と言っていた場合には、
「今日も一日よく頑張った!」
に変えてみる。
「なんだか退屈だな」
と言いそうな時には、
意識して「自分には
いっぱい時間がある」に変える。
「飽きっぽい性格だ」ではなく、
「好奇心旺盛で、
切り替えが早い人だ」にする。
「なれなれしい人だな」
と言うのではなく、
「フレンドリーで
心が開かれた人だな」と言い換える。
「どうせ、無理だよ!」
とは言わずに、
「できたらすごいな~」
と発してみるのだ。
全く同じことに対して、
言葉を少し変えることで、
感じ方も随分変わってくるものだ。
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おとなくして、
口数の少ない人でも、
自分の内では、沢山会話をしている。
外の人に向かって
話す言葉以外に、
自分の心の内で起きる対話でも、
発する言葉に注意して
自分が不愉快にならない言葉を
選ぶことが望ましい。
自分が発する言葉は、
常に自分が聞いている。
ネガティブなことばかりを
連発すれば、
自分自身がそれを聞いていて、
潜在意識の大きな倉庫の中に
そのネガティブ情報を
詰め込んでしまう。
自分を虐める言葉や、
情けなく思わせる言葉、
自分を責めるような言葉を
投げかけていれば、
その言葉をすべて
自分が聞いているのだ。
そして、情報の大きな倉庫に
どんどん積み込んでゆくことになる。
倉庫はやがては、嫌な内容ばかりで
いっっぱいになり、
良い内容が入っていても、
それは押しつぶされて、
見えなくなってしまう。
こういう状態であれば、
自分が普段考えることも、
望ましくない出来事に
遭遇した時の解釈の仕方も、
悪い方へ、悪い方へと
向かって行ってしまうもの。
そうならないように、
意識して、自分を心地よく感じさせる
言葉を沢山発していければ、
潜在意識の情報の内容も
少しずつより良いものに
変わってゆく。
自分が少し嫌な気分になった時には、
今、自分はどんな言葉を使ったか?
と思い返すとよい。
もし、自分の発した言葉で
自分が傷ついたり、
不愉快な気持ちになったら、
どんな言葉に変えれば、
気持ちが落ち着くか?
もっと良い気分になれるのか?
考えてみて、
別の言い方をした方がよい。
最初のうちは意識しないと
なかなかできないものだ。
しかし、リフレーミング
の習慣が身に付けば、
自然と自分に心地よい
言葉を発することも可能になる。
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今回の話をまとめれば、
物事をネガティブに
とらえる傾向にある人は、
知らず知らずのうちに、
そのような思考癖を
つけてしまった。
その思考癖に
大きな影響を与えたのは、
その人の潜在意識の倉庫に
入っている内容だ。
たいていの場合、幼少期より、
親からどんなことを言われてきたか?
でその内容は決まる。
育ちに大きな原因があるので、
自分自身を責める必要はない。
しかし、それが原因で
自分を苦しめてしまうのなら、
リフレーミングにより、
とらえ方を変えると役立つ。
自分から発する言葉を
いつもとは違うものに変えて、
自分が心地よく感じる言い方を
意識して発するよう努めることだ。
リフレーミングも習慣化されれば、
自分をポジティブに
感じさせる言葉が、自然と出るようになる。
潜在意識の倉庫の中にも
心地よいものが徐々に増えてきて、
解釈の仕方、考え方、
感じ方も良い方向へ変わってくる。