「自己受容しよう」
という言葉を頻繁に耳にします。
多くの人が
自分自身のことを嫌い、
自己否定の感情に苛まれ、
自分を受け入れることができずに
幸福感を得れないからでしょう。
そうした際、私が感じるのは、
「自己受容」の真の意味を
誤解している方がいるということです。
今回は、「自己受容」とは
具体的にどんなことなのか?
についてお話しします。
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「自己受容」の定義とは?
自己受容とは、
ありのままの自分を条件なく、
全てを包み込むように
受け入れることを指します。
自分の良いところも、悪いところも含め、
全てを認め、それに対して
許しを与えることです。
自分の存在そのものを、
ありのままに受け入れる
とも言えるでしょう。
ここで大切なのは、
「条件なしで」という点です。
たとえば、
「自分は勉強が得意だから、
自分を認める」とか、
「スポーツに秀でているから、
自分を認める」ということではありません。
「勉強が得意」であるとか、
「スポーツに秀でている」といった条件付きで
自分を認めるのではなく、
自分がどのような状態であっても、
ありのままを受け入れ、許すことです。
たとえ勉強が苦手であっても、
スポーツが得意でなくても、
特別な才能がなくても、
自分の現状にOKを出すことが、
自己受容するためには必須なのです。
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自己受容: 多くの人がする勘違い
自己受容の意味について、
多くの方が誤解されがちな点を
お話ししましょう。
自己受容ができている人は、
自己肯定ができる人、
また、自分自身を好きになれる人
と思われがちですが、実際のところ、
自己受容の真の意味は
これとは少し異なります。
たとえば、話が苦手な人が
いるとしましょう。
この人は自らの話術を
良しと思っておらず、
話が苦手な自分を好きにはなれません。
この場合、自己受容とは、
「話が苦手な自分でも素晴らしい」
と無理に自分を
肯定することではありません。
「私は話が苦手で、
そういう自分を好きになれない」
と自らの素直な感情を受け止め、
それを認めることこそが自己受容です。
もう一つの例を見てみましょう。
自分自身を最も大切な人物として、
自分を嫌うべきではなく、
自分を好きになるべきだ
と強く思う人がいます。
自分自身を好きにならないと
自己受容ができない
と考えているからです。
しかし、
自分自身を好きになれなくても、
自己受容は可能です。
自分を好きになれないという
本音を受け入れ、
それを認めて許すことが
自己受容だからです。
「私は自分のことを好きになれない。
だけど、そんな自分も許してあげよう」と、
自分を好きになれない自分自身に
OKを出すこと、それが真の自己受容です。
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自己受容すると受けられる恩恵
「自己受容」が推奨される理由の一つは、
それによって得られる恩恵が
計り知れないからです。
最初の恩恵として、
自己受容が進むことで、
他人と健全かつ建設的な人間関係を
築きやすくなります。
自分自身を受け入れることができれば、
他人のことも
受け入れやすくなるためです。
自己受容できれば、他者への受容も
自然と可能になるのです。
他者を受け入れ
豊かな人間関係を構築したいと願うなら、
まず自分自身を受け入れることが
必須なのです。
自己受容が実現すると、
強制せずとも他者を
自然に無理なく受け入れることが
できるようになるでしょう。
そして、それが
他者との良好な人間関係へと
つながるのです。
二つ目の恩恵は、
自分自身のことを
好きではなかったとしても、
自分の感情をありのままに受け入れ、
自分を許し続けることで、不思議と
自分を自然と好きになることが
できるようになります。
ありのままの自分を認め、
自分自身に許可を与え続けることで、
本来の自分が地に足をつけ、
しっかりと根を下ろすことが
可能になるということです。
すると、自分の内面に
安定した基盤が築かれ、
精神的な安心感を得れるでしょう。
その結果、自然と向上心が湧き、
自分が成長できる分野で
自己実現を図る意欲が湧いてきます。
この種の意欲は、
自分の不足を補うための意欲とは異なり、
自分の潜在能力を探求し、
それを最大限に活かすための意欲です。
無理なく、
内面から自然に生まれるものであり、
人生をより良い方向へ導くためには
非常に有効です。
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ナルシシストと自己受容ができる人の違い
自分のことを
深く愛するナルシシストは、
自己受容の達人だと思われがちですが、
実際はそうではありません。
ナルシシストは
自分の「かっこいい面」「立派な部分」
に魅了されていますが、
彼らは「みっともない面」「恥ずかしい部分」を
受け入れることができません。
つまり、
彼らが自分自身を認めるのは、
「かっこよさ」「立派さ」といった条件が
満たされたときだけなのです。
これに対し、
条件なしにどんな自分も許し、
認めることができる人が、
本当の意味で
自己受容ができる人と言えるでしょう。
自己否定が強く、
自分を好きになれない人は、
ナルシシストを羨ましく思うことが
あるかもしれません。
自分も彼らのように
自分を好きになれたらな、
と考えるからです。
しかし、ナルシシストの実態は
外から見るほど
魅力的ではありません。
自分を愛せる状態を維持するために、
彼らは常に一定の条件を
満たさなければならない
という強迫観念に駆られています。
そのため、心が不安定になりやすく、
安心感を得ることが難しいのです。
理想の自己像に執着し、
自分のありのままの姿を見ようとせず、
他人からの賞賛を過剰に求めたり、
自己利益を貪欲に追求する傾向が強いのが
彼らの特徴です。
常に「かっこいい自分」
を維持しようとする彼らは、
完璧でない自分を感じると
急激に落ち込む危険性もあります。
そう考えると、ナルシシストは
幸福な人からは
遠い存在だと言えるでしょう。
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まとめ: 自己受容により、豊かで幸せな人生を送ろう!
今回は
「自己受容」の真の意味について
お伝えしました。
自己受容とは、単に
自己肯定や自分自身を好きになることとは
異なります。
どんな自分でも、あるがままの自分を
無条件で全面的に受け入れることです。
自分の長所も短所も、
全てを認めて許すことが含まれます。
自己受容ができるようになると、
自然と無理なく他者をも
受け入れられるようになります。
自己受容の度合いに比例して、
他者もありのままに
認められるようになり、結果として
建設的で豊かな人間関係を
築くことも容易になります。
はじめは自分を好きではなくとも、
自己受容の姿勢を持ち続けることで、
次第に自分を受け入れるようになり、
心に安定感と安心感をもたらす
土台を築けるようになります。
これは、
自分の潜在能力を最大限に引き出し、
自己実現へと進む道を
拓く起点となるでしょう。
自己受容を身につけるプロセスは、
ゆっくりとしたものです。
一度に達成できるものではありませんが、
どのような感情であれ
自分の感情をありのままに受け入れ、
その感情を素直に認めて許す習慣を
気長に続けていけば、
自己受容は自然と深まっていくものです。
焦らず、ゆったりとした気持ちで、
ありのままの自分を許してあげましょう。
そして、自己受容から得られる恩恵を活かし、
より充実した幸せな人生を送りましょう!