私たちは日々、様々な感情を感じながら
日常生活を送っている。
嬉しい、楽しい、心地よいなど
喜びの感情もあれば、
辛い、苦しい、腹立たしい、悔しいなどの
不愉快なものもある。
一般的には、喜びの感情は
沢山の人々から歓迎されるが、
不愉快で嫌な感情は、忌み嫌う人が多い。
自分の内から湧き上がるネガティブ感情が
とても不快に感じるので、
それを押し殺して、感じなくなりたい
と願う人もいる。
しかし、残念なことに、
自分の中から生まれるネガティブ感情を
抑圧すればするほど、
良くない状況を招いてしまい、
長期的には、事態を更に悪化させることになる。
なぜ、そうなのか?
その理由を考えるのが今回のテーマだ。
心理カウンセリング・セラピーの専門家
カズ姐さん(大鶴和江さん)の
ユーチューブトークを参考にしている。
ネガティブ感情を抑圧してはいけない理由は、
主に2つある。
一つは、私たちの脳の性質によるもの。
もう一つは、自己否定がもたらす悪影響だ。
それぞれ詳しく見ていきたい。
私たちの脳の性質は、
忘れたいと思えば思うほど、
忘れられなくなってしまうもの。
思い出さないようにすればするほど、
そのことが脳に焼きついてしまうものだ。
このことは有名な心理学実験
「シロクマの実験」でも検証されていることだ。
この実験では、被験者全員に
シロクマの一日を追った映像を見せた。
そして、被験者を3つのグループに分けた。
第一グループには
「シロクマのことを覚えておくように」、
第二グループには
「シロクマのことは考えても、考えなくてもよい」、
第三グループには
「シロクマのことは絶対に考えないように」
と指示した。
一定の時間が経過後、
シロクマの映像を詳しく覚えていたのは
「シロクマのことは絶対に考えないように」
と指示されたグループの人たちだった。
この実験で明らかになったのは、
「人は考えないようにすればするほど、
そのことが頭の中から離れなくなる」
ということだ。
これと同様に、
自分にとって不快な出来事を
すっかり忘れてしまって、
ネガティブ感情を取り除きたいと思っても、
そう思えば思うほど、
その嫌なことが頭から離れなくなり、
ネガティブ感情も強化されてしまう。
次に、自己否定がもたらす悪影響について。
感情や感覚はどんなものであっても、
自分の内から湧き出てくるものだ。
つまり、今、自分が感じていることは、
自分そのものと言ってもよい。
感じている感情を否定して、
取り除きたいと思うことは、
自己否定することと同じだ。
自己否定が始まれば、
自分を好きになれず、自己嫌悪に陥る。
自分が嫌いな人は幸せになれるはずがない。
自分の内にある感情が嫌なものなので、
それを感じていないように振る舞い、
素晴らしい自分を演じていれば、
問題は更に深刻化してくる。
外でいい顔していても、
腹の底では全然違うことを感じていれば、
自分の裏と表が乖離(かいり)してしまう。
そして、乖離が酷くなればなるほど、
二面性が強くなり、自分の心も疲れてくる。
自分に嘘ついて、誤魔化すことが多くなり、
自分を更に忌み嫌うようになってしまう。
同時に罪悪感で悩むこともしばしばだ。
自分が嫌いな人の最大の問題点は、
他人も愛せなくなってしまうこと。
自分が人が嫌いであれば、
世の中の人々も自分と同様に、
人が嫌いなものだろうと勘違いする。
こうなれば、他人のことも嫌いになり、
淋しい人生を送ることになるだろう。
つまり、自分の自然な感情を抑圧して、
自己否定が始まれば、やがては
自分のことも、他人のことも嫌になり、
不幸せな人生を送ることになってしまう。
それでは、どうすれば、
そのような悲しい事態を避けられるのか?
それは、自分の内から自然に湧き出る
感情や感覚を否定せず、素直に感じること。
憎しみ、恨み、怒り、イライラなどの
ダークな感情もそのまま受け入れることだ。
ネガティブ感情は、
人類の進化成長に必要だからあるもの。
不快であっても、忌み嫌わなくてもよいはずだ。
感情を下手に抑えれば、
余計その感情が強化され、
自分の中に残ってしまう。
しかし、その時々で、
その感情を感じ切ってしまえば、
後には残らず、スッキリしてラクになれる。
カズ姐さんによれば、
ネガティブ感情を感じた時には、
その感情を言語化すればよいそうだ。
例えば、日記やブログに書いたり、
仲良しの友達に話したりするのもよい。
ただ、ここで注意することは、
そのネガティブを他人にぶつけて
憂さ晴らしをしてはいけないこと。
自分がネガティブな態度を取れば、
全く同じネガティブが相手からも返ってくる。
そうなれば、もっとストレスが大きくなる。
自分の中で言語化するのが一番だ。
ということで、今回の話をまとめれば、
1)自分の中で感じるネガティブ感情を
否定したり、抑えたりしないほうがよい。
2)その理由は、抑えれば抑えるほど、
その感情が強化されてしまうから。
また、感情否定は自己否定と同じであり、
自己否定により、自分や他人が嫌いになる。
こうなれば、幸せには生きれなくなる。
3)嫌な感情はその時々で感じ切って
後はスッキリしたほうがよい。
その時に役立つのは感情を言語化すること。
自分の内でできれば、とても良い。
カズ姐さん、役立つアドバイスを
有難うございました。
参考動画:「嫌な感覚や感情を感じないようになりたい」がなぜダメなのか?
(ユーチューブ カズ姐さんの深くて面白い心理学)