悩んでいるけど、その悩みをそのまま持ち続けたい? なぜ、そうなの?

あなたは、
こんな経験がないだろうか?

近くにいる友人が
何かで悩んでいたり、
困っていたりして、

「あなたに
相談にのって欲しい」
と頼まれた。

あなたも友人の依頼を
快く受け入れて、

その人の話を真剣に聞き、
どうすれば問題解決できるのか?
一緒に考えた。

そして、
「こうすれば、いいんじゃない?」と
幾つかアイデアを提案してみた。

しかし、相手はあなたの言うことに
あまり耳を傾けない。

なんだか浮かぬ顔をして、
「そうなんだけど、でもね….」とか、

「それは分かっているけど、
そうはできないよ….」と返してくる。

相手は「どうにか
その問題を解決したい」
と口では言っていても、

問題解決のために
本気で考えていないようだ。

なぜ、そうなのだろうか?

「悩んでいる….」、
「困っている…..」
と嘆きながらも、

なぜ、真剣にその問題を
解決する気持ちが薄いのか?

今回は
そんな人の心理について。

そして、どうすれば、
あなたは相手の役に立てるか?
について。

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表面上は
「ああ、困ったものだ。
どうにかしないと….」と発しても、

実は、本人が言うほど
困った状態ではない。

本当に困っていて、
本人がその状況に耐えられない
という状態なら、

何が何でも、改善のために
何らかの行動を起こすはず。

しかし、話すだけで
実際に解決のために
動こうとする姿勢はない。

あなたが色々な提案をしても
聞いているようで、
真剣に聞いていない。

あなたの言うことを
否定することもある。

こういう場合、
悩みや問題があっても、

その悩みや問題は
さほど問題ではないと解釈してよい。

表面上は「どうにかしたい」
と望んでいるようでも、

心のどこかでは、
「その問題がなくなったら、
自分は困る」とまで
思っている。

なぜなら、問題を抱えることで
自分が得することもあるからだ。

問題によるデメリットよりも、
それによるメリットの方が大きくて、

問題解決してしまえば、
得していることが失われてしまう。

それは本人にとっては
不都合であり、
避けたいと思うからだ。

そのため、頭では問題解決したい
と望んでいるようでも、

深層心理では、問題を持ち続け、

その問題により得れるベネフィットを
今まで通り受け続けたい
と願っている。

もし、本人がその問題により
あまりにも苦痛が酷く、

得することはほとんどなく、
デメリットばかりが大きければ、

どんなことをしてでも
その問題を解消して、
ラクになろうと努力するはず。

あなたが提案することも
一つ一つ丁寧に聞いて、
真剣に考えるはずだ。

しかし、問題を抱えることで
大きなメリットがある限り、

本気で問題解決する気持ちは
サラサラない。

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たとえば、失業していて
なかなか仕事が見つからない人が
「どうすれば、就職できるか?」
と相談してきた場合。

就活サイトや、
上手な履歴書の書き方、
面接準備に役立つ情報を
教えてあげることは可能だ。

「~の企業では求人があるみたい。
問い合わせてみれば?」
と提案することもできる。

しかし、早く仕事が見つかるように
色々アドバイスしても、

本人はそのアドバイスを
真剣に聞いていない。

アドバイスの一部を
実践してみようとすら
思っていない様子だ。

こういう姿であれば、
この人は「職に就きたい」と
口では言っていても、

心のどこかでは
「このまま失業していた方がいい」
と願う気持ちが強い。

なぜなら、失業していることで
自分が得することもあるからだ。

自由時間に恵まれたり、
のんびり暮らすことも
可能だからかもしれない。

仕事に付き物の
満員の通勤電車に
ウンザリしているのかもしれない。

だから、
失業している状態でも
メリットが大きい。

もちろん、収入がない
というデメリットもあるが、

人によっては、
デメリットよりも、
メリットの方が
大きい場合もある。

よって、
あまり真剣にはなれないのだ。

どうにかして、
今の状態を変える
という気持ちが薄くなっても
当然だろう。

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「身体の具合が悪くて
困っている」と嘆く人の場合。

「これを実践したら
症状が改善されるのでは?」
と教えてあげても、

「うん、そういうのも
あるみたいだけど、でもね….」
と返してくる。

実践するのに
お金がかかることでもない。

試してみるのに
そんなに大変なことでもない。

それなのに、「でもね….」と言い、
聞く耳を持たないのは、

「治りたい、治りたい」と
口では訴えても、

本当のところは、
このままの状態でいたい
という気持ちも強いからだ。

体調が悪ければ、
家族や周囲の人たちも
自分に気遣いしてくれる。

同情して貰えたり、
優しくしても貰える。

具合が悪いことにより、
得られるメリットもあるので、

このままの状態でいることも
そんなに悪くはないのだ。

もし、本気で治したい気持ちがあるなら、
試せることは、試してみるはず。

しかし、「具合が悪い。具合が悪い」
と繰り返しながらも、

小さなことで
やれることがあっても、
絶対に試そうとはしない。

その理由は、体調が悪いことにより
得られるベネフィットを
受け続けたいと願うからだ。

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こういう場合の問題点は、
悩んでいる本人が
抱えている問題により得ているメリットに
気づいていないこと。

頭では「問題解決したい」
と願っているようでも、

心の奥底では
現状維持の方がメリットが大きいので
何も変えたくないと望んでいる。

「こちらの方向へ進みたい」
ということで、

頭の中で考えることと、
心の奥底で願うことが、
逆方向を向いている。

すると、どちらの方向へも
動けなくなってしまう。

こんな場合に
本人が頭で表面的に願うことを
叶えるために、

あなたが
一生懸命アドバイスするのは、
あまり役に立たない。

あなたの有益なアイデアを聞いても、
何も前には進まないからだ。

無理に
アドバイスする必要はないだろう。

それよりも、
少し視点を変えてみるといい。

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今までは、
「相手が抱えている問題を
何とかなくすこと」に
焦点を当てて、考えてきた。

しかし、問題をなくすことは
本人にはさほど魅力的ではない。

そのための具体的な方法を
提供したところで、

喜ばれないだろう。

だから、少し視点を
変えて見ることだ。

問題を抱えることで
得れるメリットに注目した方が
好ましい。

まずは本人に
そのメリットに気づかせること。

そして、問題解決すると同時に

メリットも失わない方法は
ないかどうか?

考えてみる方がよい。

たとえば、失業して
困っている人の場合には、

やはり、何らかの仕事をして、
収入源を得た方が望ましい。

しかし、どうしても
満員の通勤電車が嫌ならば、

どうにかして、通勤しなくても、
仕事が可能になる方法を
探してみることだ。

今なら、在宅勤務も
一般的になりつつあるから、

必ずしも
毎日職場に行かなければならない
というわけでもない。

できるだけ、自宅から
リモートでできる仕事を
見つけるようにすることだ。

そういう仕事に就ければ、
通勤で時間を無駄にしなくても済む。

時間的にも自由時間に
恵まれることになる。

それなら本人も
乗り気になれるだろう。

これは、単なる一例だ。

要は、問題を解決すると同時に、

問題から得られていたメリットも
なるべく失わない方向で、
考えることだ。

そのためには、
悩んでいる本人が、

その悩みにより
得していることもあることを
認識する必要がある。

そして、得になること、
メリットであることに
フォーカスを当ててみる。

すると
今までよりも、別の視点で
幅広い観方も可能になる。

今までは
「この悩みをどうにかすること」
だけに焦点が当たっていた。

しかし、悩みから得られる
メリットにも気づければ、

悩みが解消されても、
このメリットも極力維持するには
どうすればいいのか?

という視点で
解決の道を探すことも可能だ。

ちょっと視点を変えるだけでも、
物事に対して、
見え方が大分違ってくる。

別の角度から見れば、
別の解決方法も見えやすくなる。

それにより、必ずしも
パーフェクトな解決方法が
直ぐに見つる保証はないが。

メリットに注目した方が、

本人も「これなら
試してみたいな」という方法が
見つかりやすくなるはずだ。

ちょっと視点を変えるだけでも、
見え方も、感じ方も
変わってくるからだ。

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自分自身が
変わりたいと思っていても、

なぜか変わることに対して、
尻込みしている場合にも、

全く同じ原因が
隠れているかもしれない。

表面上は変わりたくても、

実は、今の状態は
自分にとっては
良いことが沢山あるので、

このままの方がよい
と心のどこかで思っている。

相手から相談される場合でも、
自分自身の場合でも、

今の状態で得られるメリットに
気づいて、

そちらに焦点を当てて、
次に行く方向を決めた方が、

ずっと動きやすくなる。

このことを是非、
頭の片隅に入れておこう!