普段は
穏やかで優しい人であっても、
突然攻撃的な態度を
見せることがあります。
この記事では、
いつもは大人しく温厚な人が
なぜ急に攻撃的に変わるのか、
その背景にある心の動きに
焦点を当てます。
すべての人がこの説明に
当てはまるわけではありませんが、
人間なら誰でも、
このような状態になる可能性があることを
認識しておくことが大切です。
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不安や恐怖が人を攻撃的にさせる
この現象の背後には、
人間本来の自然な反応が
隠れています。
その刺激となるものは、
強烈な不安や恐怖です。
私たちの日常生活は
さまざまな出来事で彩られており、
いつどこで不安や恐怖に
直面するか予測が困難です。
些細な心配事なら
比較的制御しやすいですが、
不安や恐怖が増幅し
心の中で膨らんでしまうと、
対処も一層難しくなるものです。
このような状況になれば、
普段の冷静さを失い、
攻撃的な態度を取ることや、
周囲の人々を非難し、
責めることも少なくありません。
現代社会では、
この現象が顕著に見受けられます。
特にコロナ禍においては、
自粛警察やマスク警察
といった人たちが台頭し、
自分たちの価値観を
他人に押しつける場面が
数多く報じられました。
また、
インターネット社会の進展とともに、
不祥事を起こした著名人や
政治家をSNS上で容赦なく
非難する行為が増加しています。
匿名性をよいことに、
厳しい言葉で特定の人物を糾弾し、
過度な批判を浴びせることが
日常茶飯事となっています。
その過激さには
驚かされることも多いですが、
このような攻撃的な行為の背後には、
その人たちの心理的な問題が
潜んでいるのです。
それを理解することで、
その行動の背景や原因に対する
洞察が深まることでしょう。
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不安や恐怖が攻撃性を生むメカニズム
極度の不安や恐怖、
心配が攻撃性につながることは、
決して珍しいことではありません。
これは人間の脳の
基本的な機能に起因しており、
誰もが経験する可能性がある
自然な反応と言えます。
人間の脳には
大脳辺縁系というシステムがあり、
この領域は生命維持、本能行動、
さらには情動に関連する
さまざまなプロセスを制御しています。
その中でも特に注目すべきは
「扁桃体」と呼ばれる部分で、
これが危機的状況において
「戦うか、逃げるか」という選択を
瞬時に促します。
この扁桃体の機能は、
私たち人間が原始時代を生き抜くために
非常に重要な役割を果たしました。
たとえば、
猛獣に襲われるなどの
生命を脅かす状況から逃れるために、
扁桃体が効率的に働いてくれたのです。
しかし、現代においては
猛獣に遭遇するリスクは
まずありません。
それでも、この原始的な部分は
未だに私たちの脳内に存在しており、
不安や恐怖が高まった瞬間に
「戦うか、逃げるか」の指令を出します。
この結果、
選択が「戦う」に傾いた場合、
攻撃性が急激に上昇し、
周囲の人々を非難したり、
責め立てるような行為が
引き起こされるのです。
この反応は
個々人の性格や性質とは無関係で、
極度なストレス状況下では、
誰もがこのような行動を
取る可能性があるということです。
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他人にも自分にも寛容な心を持つ
この知識を持たないと、
突如攻撃的になった人を見て驚き、
反撃の姿勢を取り、結果として
争いを生む可能性も高まります。
そして、それが原因で
人間関係が破綻するかもしれません。
しかし、
人間の脳のこのメカニズムを
理解していれば、
通常は穏やかな人が
突然攻撃的に振る舞い始めたとしても、
適切に対応できるでしょう。
その人が強い不安や恐怖によって
心が揺らいでいるのかもしれない
と察することができるからです。
そう考えると、寛大な心で
相手に接することが可能となり、
無用な争いも避けられるでしょう。
誰かが突然攻撃的になる姿を見て、
「自分はそんなふうにはならない」
と自信を持っていても、
状況によっては自分も同じように
反応してしまうことがあります。
予期せぬ出来事が起こり、
心に大きな動揺を感じたとき、
自信を持っていた人でさえ、
他者を非難したり批判したりすることが
あるのです。
そして、そんな自分の行動に
気づかないことも
珍しくありません。
このことを理解すれば、
急に攻撃的になった人を見た場合、
相手のことをより理解しやすくなり、
無駄な争いを
避けることができるでしょう。
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まとめ:良好な人間関係のために
大きな危機感や恐怖を感じたとき、
人は攻撃的になりやすいものです。
普段は温和で平穏な人であっても、
この現象は起こりうるのです。
これは個人の性格の問題ではなく、
人間の脳が本能的に示す反応です。
そのようなときには、
一度立ち止まり、深呼吸をして、
私たちの脳の特性を
思い出してみるとよいでしょう。
私たち全ての人間は、
重大な危機にさらされれば
「戦うか、逃げるか」
という選択を迫られます。
そして、「戦う」を選ぶことになれば、
周囲の人を批判したり、
非難したりすることもあります。
他人がそのような状態になっても、
また、自分自身が
そのような反応を示したとしても、
理解と寛容の心で
受け止めることが大切です。
そうすることで、
他者との対立や無駄な口論を
避けることができるでしょう。
また、
自らを厳しく非難することも
防げます。
この知識は
日常生活においてとても有益なので、
心に留めておくとよいでしょう。