健全な心と身体を目指すマインドフルネスが、時には害になることも!

今回は、心身の健康改善や
仕事の効率を高めるのに
効果的な「マインドフルネス」が、

時には、悪い方向へ
私たちを導くこともあり得る、
という話。

マインドフルネスの
落とし穴について、考えたい。

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今話題の
「マインドフルネス」。

これを知らない人でも、
言葉だけは
聞いたことがあるのでは?

マインドフルネスとは、
いったい何か?

簡単に説明すれば、
身体の五感に意識を向け、
「今、この瞬間」を
あるがままに感じてみる
瞑想のようなもの。

そこには、
良い、悪いの判断はなく、
何かジャッジすることもない。

今あるものを
そのままを知覚して、
感じてじっくり味わう。

人の心は、
一つのことに集中すれば、
他のことには意識が向きにくい。

五感により「今、この瞬間」に
フォーカスが当たれば、

過去の嫌な出来事、
クヨクヨと悩んでいたこと、

将来、起きるかもしれない
心配すること、不安に思うこと
などから、

意識を逸らすことが可能だ。

思考が止まり、
雑念に邪魔されることなく、

今の瞬間を
ありのままに感じてみる。

これを毎日、ほんの少しだけ
実践するだけでも、

心が穏やかになり、
その後の集中力、記憶力、
作業処理効率の向上が
見込まれる。

同時に、マインドフルネスは、
不安や心配を軽減するのにも
役に立つ。

メンタルを病みやすい人が
定期的に実践すれば、
望ましい効果が得られ、

大きなストレスから解放され、
心身の健康状態を
改善させることも可能だ。

そのため、多くの人たちが、
マインドフルネスを日常生活に
取り入れるようになった。

ある企業では、マインドフルネスの
独自のプログラム開発をして、
社員に積極的に実践させている。

そのお陰で、
社員のストレスレベルが軽減され、

仕事の能率や
パフォーマンスも向上して、

結果的に、会社全体の
業績が上がったという話も聞く。

カウンセリングルームでは
クライアントにマインドフルネス
の指導をして、

メンタルヘルス問題で
苦しむ人の精神状態を安定させ、
今までよりもクヨクヨ悩むことを
減らせている。

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そんなに素晴らしい効力を持つ
マインドフルネス。

しかし、その実践により、
望ましい効果を得るどころか、
逆に人を苦しめてしまうことも
あり得る。

一般的には良いことだ、
と奨励されるマインドフルネスも
全能というわけではない。

むしろ、やらなかった方が
マシだった! なんてこともある。

それは、どんな時だろうか?

まず最初に、
身体の痛みや苦痛が
あまりにも酷い場合。

感じるまま、ありのまま
「痛い」、「苦しい」という感覚を
感じて味わうことは、

気持ちを落ち着かるどころか、
逆効果になる。

激しい痛みが
身体に走っているのに、

それをそのまま
何もジャッジせずに
感じることは困難だ。

極度の痛みに
そのまま向き合っても、
ラクになったり、
精神が安定することは
期待できない。

不快な感覚や、
痛い感覚だけに
フォーカスが当たれば、
もっと辛くて、シンドクて、
耐えがたいものになる。

だから、極度の痛み、不快感が
ある時には、

ムリにマインドフルネスを
実践しない方が無難だ。

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マインドフルネスにより
望ましくないことが
起きやすくなることもある。

どんな時に、
そうなるのか?

それは、似たような問題が
幾度も繰り返される場合。

こんな時には、
要注意が必要だ。

本来ならば、
マインドフルネスにより、
その問題で悩むことは
やめられると期待しがち。

そして、自分にとって、
もっと大切なことに
集中したいと思うかもしれない。

しかし、自分は嫌だと
感じていても、

実は、その問題は
自分が今世で
解決するべき課題であり、
目を逸らせない方が
良いこともある。

自分の中で未解決なのに、
それを見ないようにして、
無視し続けていれば、

同じような問題が
再び身の回りで
起き続けるからだ。

「このことを解決するように!」
とメッセージが幾度も
降りてくることになる。

そんな場合には、
ツライからと言って、
目を背けない方が賢明だ。

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マインドフルネスは
「今、この瞬間」に集中すること。

過去に起きたことを
考えるのではなく、

未来に起き得ることを
考えるのでもなく、

「今、ここ」「今、この瞬間」
を意識するのが重要なポイント。

マインドフルネスを
実践したことがある人は、
分かるだろう。

一生懸命、今ここに集中しよう
と思っても、

なかなかそれは難しく、
自然と雑念が湧いてくることを
経験済だろう。

要らぬ思考が
頭に浮かんできたと自覚できたら、

そのたびに、「今ここ」に
意識を意図的に戻すよう
指導されているはずだ。

でも、今ここに意識を戻せても、
再び、関係ないことが
頭に浮かんでくることも
珍しくない。

それでも、気にせず、
「自分はダメだ!」と
がっかりすることもなく、

そのたびに、淡々と
「今この瞬間」に意識を戻す。

マインドフルネス実践では
「今、この瞬間」が
キーワードになっている。

マインドフルネス実践中に
同じ思考が幾度も繰り返し
自分の中に戻ってくることも
よくあることだ。

そんな時、
その思考は過去の出来事
に関連しているから、

今更クヨクヨ考えても仕方ない
と思ってしまいがちだ。

そして、過去ではなく、
今この瞬間にフォーカスを
当てよう!と努めてしまう。

しかし、よく考えてみれば、
たとえ過去の出来事でも、
そのことを考えているのは、
今の瞬間だ。

どうしても、そのことが
頭に浮かんできて、
何度も何度も蘇ってくる場合、

今の瞬間に
自分はそれを考えているのだ。

過去のことでも、
実際には、そのことを
今この瞬間、考えているということ。

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自分の頭にこびりついて
離れないものを
ムリに忘れようとしても、

上手く行くどころか、
かえって逆効果だ。

何度も繰り返して
自分の元に戻ってくるものは、

そうする必要があるから、
戻って来てしまうのだ。

そんな場合は、
「まだ、あなたの中では、
この問題は未解決だよ」と
教えてくれるサインだ
と受け取った方がいい。

さもないと、その過去の問題と
似たような困難が
自分の身の回りで
繰り返されてしまうから。

いくら過去のことでも
繰り返し自分の元に
戻って来てしまうものは、

「未解決の問題」だから。

それは、「まだ、このことを
あなたは解決していないよ」
と気づくまで、教えてくれるもの。

そのサインを見逃して、
問題を放置しておけば、

「それではいけないよ!」
というお知らせが
再び自分の元に送られる。

昔苦しんだ出来事と
同じ類の困難という形で、
そのことを知らせてくれるのだ。

関わる人間関係や、場所、状況は
違うかもしれない。

でも、表面上は違うようでも、
本質的には同じ問題だ。

それでも、自分が何もしなければ、
もっと強烈な分かりやすい形で、
困難な状況が襲ってくる。

こうでもしなければ、
何もしないだろうから、

もっと酷い形で
より分かりやすいように
教えてやろう、ということなのだ。

本来は、このことを
解決するべき。

それにより、自分は
学ぶことがある。

それなのに、そのことを
未解決にして、
学ぶことを終えていない。

だから、関わる人や場所は
違っても、同じような出来事を
引き起こしてくれて、

「早く、解決してくれ!」
と促してくるのだ。

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今回、こんな話をするのは、
マインドフルネスが悪い
と言いたいからではない。

マインドフルネスは確かに
多くの人たちに効果があり、
ストレス軽減をして、
仕事の効率も上げてくれるもの。

しかし、すべての人に
すべての状況下で効き目がある
ということではない。

実際に誰かが試して、
「これはとても良かったよ」
と勧めてきた場合、

自分も積極的に
試してみる価値はある。

しかし、その人には
効果的だからと言って、

自分にも効き目がある
と思わない方がいい。

人の言うことを
参考にするのはよいが、
鵜呑みにしてはいけない。

マインドフルネスに限らず、
どんなことでも、
自分が実践してみて、
自分にとって有効か? 
検証することが必要だ。

即効性がないことも
たくさんあるから、
やってみて、直ぐに効果が出ない!
と嘆くのも問題だ。

しかし、ある程度の期間、
試してみて、自分には向かなかった
と分かることもある。

そんな場合には、
他の人に有効だったからと言い、

自分にも効果があるだろう
と期待し続けない方が賢明だ。

その時の自分には
合わなかったと思い、
諦めてやめたほうがいい。

一般的に良いことだとされる
マインドフルネスでも、
時と場合によっては、
やらない方がマシな場合もあるからだ。

身体の痛みや苦痛が
かなり酷い時には、
マインドフルネスをやらない方が
ずっといい。

幾度も同じようなことが
自分の身の回りで起きる場合にも、
十分注意が必要だ。

困難に向き合いたくないから
マインドフルネスで
目を逸らせようとしても、

実は、そのことは
自分が解決するべきこと。

でも、未だに解決されていないから、
繰り返し同じことが
身の回りで起きてしまう。

どんなにマインドフルネスを
忠実に実践したところで、

解決すべき問題が
きちんと解決されるまでは、

同じことが
ずっと起き続けるだろう。

そんな時には、
やるべきことは、
マインドフルネス実践ではなく、

その問題を自分の内で
きちんと解決することだ。

解決すべきことを
そのまま放置していれば、

どんなに効果的だと言われる
マインドフルを実践しても、
あまり良いことは期待できないから。

その時々で、適切なことを
やるのが重要だということ。

マインドフルネスを
有効活用するのは、
とても有意義なことだ。

しかし、何時でも、何処でも、
どんな状況下でも、
マインドフルネスが万能薬だ
と思うのは、ぜひやめよう!