自分の話は長々とするのに、
あなたの話は聞いてくれない。
まったく共感の言葉を
返してくれない。
そんな相手に
悩んだことはありませんか?
性格の問題と考えたくなりますが、
もしかしたら、それは
生まれつきの脳の特性
によるものかもしれません。
この記事では、このような人と
どう付き合っていけば、
自分を疲弊させることなく、
よい関係を保てるのか、
そのヒントをお伝えします。
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こんな経験はありませんか?
人間関係の中で、
どこか満たされない思いを
抱えていませんか?
興味を持っていることには、
とても楽しそうに話をするのに、
興味のないことになると、
あなたが話したいと思っても
無視されてしまう。
自分の話は延々とするのに、
あなたの話は聞いてくれない。
話をしても
共感の言葉は返ってこず、
あなたのことを心配する様子も
感じられない。
何かを頼めば嫌な顔をされ、
避けられてしまうこともある。
そして、何度伝えても
同じことを繰り返してしまう。
このような相手と一緒にいると、
心の中に少しずつ
虚しさや寂しさが
積み重なっていくでしょう。
一緒にいるのに、
孤独感が強まっていくのです。
心が消耗し、
やる気が出なくなり、
気持ちが
沈んでしまうかもしれません。
そして、やがて精神的に
大きな負担を
負うことになるのです。
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ASDの主な特性とは?
もしかしたら、その相手は
ASDの可能性が
あるかもしれません。
もしそうであれば、
相手はあなたを
傷つけようとしているわけでも、
悪気があって
あなたを苦しめようと
しているわけでもありません。
単に、
あなたが期待していることが、
相手にとっては
難しいことなのです。
まずは、ASDの特性が
どのようなものかを
知っておくことが大切です。
ASDの人によく見られる特徴には、
次のようなものがあります。
*興味のあることと
ないことがはっきりしており、
興味のあることには
深く没頭するが、
関心のないことには
注意を向けにくい
*興味の範囲は狭いが、その分
とても深く掘り下げる傾向がある
*相手の気持ちを汲み取ることや、
会話のキャッチボールが苦手
*表情や雰囲気から
相手の気持ちを察したり、
場の空気を読んだりすることが
できない
*悪気なく
率直なことを言ってしまい、
結果として
相手を傷つけてしまうことがある
*自分の言動が
相手にどう受け取られるかを
想像することが難しい
*行間の意味や暗黙の了解を
理解することが苦手で、
言葉を文字通り受け取りやすい
*自分のルールや順番に強くこだわり、
予定外のことや
急な変更に混乱しやすい
*感覚が過敏な場合や、
逆に鈍感な場合もあり、
生活の中で困難を感じることがある
これらがASDに見られる
代表的な特徴ですが、
その現れ方や程度は
人によって大きく異なります。
すべての特徴が
当てはまるわけではありませんし、
同じASDでも性格や能力、
得意なことや苦手なことは
一人ひとり違います。
また、
診断がつくほどではなくても、
このような傾向が強い人、
いわゆるグレーゾーン
と呼ばれる人もいるのです。
もしかしたら、
あなたを悩ませる人も
グレーゾーンかもしれないと、
心の中で疑ってもよいでしょう。
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身近な人が悩むのは、ASDについての理解がないから
話を聞いてもらえなかったり、
共感してもらえなかったり、
心配してもらえなかったりすれば、
悲しい気持ちになるものです。
何かを頼むと嫌な顔をされて
避けられてしまったり、
何度注意しても
同じことを繰り返されたりすれば、
相手のことを非難したくなるのも
無理はありません。
しかし、相手がASD、
またはグレーゾーンであれば、
全く悪気はなく
あなたに接している可能性があります。
なぜなら、
他人を不快にさせてしまう
これらの特性は、
脳の特性によるものであり、
本人の意志だけで
簡単に変えられるものでは
ないからです。
したがって、相手の言動によって
自分が傷ついたとしても、
相手があなたを
傷つけようとしているわけではない場合も
あるのです。
そのため、
相手を責めるよりも、
「この人には難しいことなのだ」
と理解したほうが、
あなた自身の心も楽になるでしょう。
このようなケースで、
周囲の人が苦しんでしまうのは、
相手がASDだと知らないこと、
あるいは知っていても
十分に理解していないことが
原因である場合があります。
理解がないまま接していると、
相手にできることと
できないことの区別がつかず、
不当な期待を寄せてしまい、
その期待が裏切られたと感じて
苦しくなってしまうからです。
つまり、
相手に期待してもよいことと、
期待するのが難しいことの
区別が分からないために、
周囲の人は悩み、
苦しんでしまうのです。
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相手がASDである可能性を、視野に入れてみる
もし、
これまで述べてきたような特徴が
相手にいくつも当てはまり、
そのためにコミュニケーションが
うまくいかず、
関係に支障が出ているのであれば、
相手がASDである可能性を
視野に入れてみることも
一つの考え方でしょう。
友人関係であれば、そのことを
あえて本人に伝える必要は
ないかもしれません。
しかし、相手が
パートナーのように近い存在であれば、
一度専門機関で相談や検査を
受けてみることを
勧めてみるのもよいでしょう。
それはパートナーのためだけではなく、
本人にとっても
助けになる場合があるからです。
悪気はないのに
人を傷つけてしまい、
人間関係がうまくいかない
という経験を何度もしている場合、
本人も「なぜこうなってしまうのか」
と悩んでいることがあります。
しかし、自分に
そのような特性があると分かれば、
自分の言動を理解できるようになり、
自分の特性を周囲に伝えながら、
人間関係の築き方を
工夫していけるでしょう。
また、パートナーの側にとっても、
相手の行動を「性格が悪い」
「わざとやっている」と考えるのではなく、
「この人には難しいことなのだ」
と理解できるようになれば、
気持ちも軽くなるはずです。
一言でASDといっても、その状態は
人によって大きく異なります。
知的な遅れがなく、
言葉の発達にも問題がない人もいれば、
言葉の発達に遅れがある人、
知的な遅れを伴う人もいます。
また、診断がつくほどではなくても、
ASDの特性をある程度持っている、
いわゆるグレーゾーンの人も
少なくありません。
ASDは連続した特性の広がり、
つまりスペクトラム
として考えられているのです。
では、ASDの人の身近にいる人は、
どのようにすればよいのでしょうか?
まず大切なのは、ASDについて
理解を深めることです。
関連する本を読んだり、
体験談を聞いたりすることで、
どのように接すればよいのか、
どのような工夫が役立つのか、
ヒントを得ることができるでしょう。
そして、何よりも大切なのは、
相手のできることと、
どうしても難しいことを
しっかり理解することです。
どこまで期待してよいのか、
どこからは難しいのか、
その境界を見極めることが重要です。
難しいことを無理に求め続けると、
お互いに苦しくなるだけです。
そうではなく、
難しいことは別の方法で補う、
環境を工夫する、役割分担を変えるなど、
現実的な対処法を考えていくことのほうが、
関係を長く続けるためには大切です。
相手を変えようと努力するのではなく、
「この特性は変わりにくいものだ」
という前提に立って、
どうすればお互いが少しでも楽に、
穏やかに関係を続けていけるのかを考える。
その視点を持つことが、
建設的な解決につながるのです。
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おわりに
この記事では、
ASDの特性を持つ人との関係に
悩んでいる方へ向けて、
その関係を少しでも楽に、
長く続けていくためのヒントを
お伝えしました。
ASDの主な特性として、
興味の偏りが大きいこと、
共感したり
場の空気を読んだりすることが
苦手なこと、
言葉を文字通りに受け取りやすいこと、
予定外のことや変化に
弱いことなどがあります。
そして、こうした特性は
性格やわがままではなく、
脳の働きによるものであり、
本人の意志だけで
簡単に変えられるものではありません。
周囲の人が
苦しんでしまう大きな理由の一つは、
相手にできることと
できないことの区別がつかないまま
期待してしまい、
その期待が裏切られたと感じて
傷ついてしまうことにあります。
そのため、
相手を変えようと努力するのではなく、
「この特性は変わりにくいものだ」
という前提に立ち、
工夫や役割分担、環境の調整などを
考えていくことが、
関係を続けていくための
現実的な方法になるでしょう。
「特性についての理解」
という視点を取り入れるだけでも、
同じ出来事でも受け取り方は
大きく変わってくるものです。
相手を変えようとするのではなく、
工夫によって
「お互いにとって少し楽な関係」を
目指していく。
そのような方向へ
進んでいくとよいでしょう。