今回は、我慢してまで、
無理に良い人を演じるのは
やめようという話。
その場では、
立派で、大人気あって、
素晴らしい人に見えても、
自分の心に逆らって、
無理に良い人になることを
習慣化してしまえば、
そのうち、
ヤバイことが起きるから。
いつもいつも無理して
良い人間を装えば、
長期的には
自分にとっても、周囲にとっても、
望ましくないことが起きるからだ。
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我慢して、良い人になることは、
多くの人が一度や二度は
経験したことではないか?
たとえば、5人いるのに、
美味しいものが
4つしかない場合、
4人は一つずつ貰えるけれど、
一人は何も貰えない。
こんな時に、「私はいいよ」と言い、
遠慮して食べない人がいる。
でも、本当は、心の内で
「私も欲しかったな~」
という気持ちがあったりする。
仕事のタスクの分担で、
誰もが嫌がるタスクを
いつも同じ人がやる場合がある。
「私がやりますから」と
快く引き受けるので、
周囲の人たちは何とも思わず、
その人にいつもお願いしている。
しかし、実は、その人も、
「できれば、自分は
やりたくないな~」と思っている。
引き受けることが
立派な行いだと思うから、
無理してやっているのだ。
他人から、
理不尽で失礼なことを
言われても、
何事もなかったかのように
冷静に穏やかに
振る舞う人がいる。
周りの人たちには
「なんて人間ができた人だ!」
と感心されているようだが、
本当は、その人も
心の中では深く傷ついている、
なんてこともしばしばだ。
立派で、大人気あって、
素晴らしい人に見えるが、
他人の知らないところでは、
かなり無理をしているのだ。
その時々の状況や、
自分の置かれた立場により、
時には、ちょっと無理してでも、
良い人になる方が
望ましい場合もある。
しかし、良い人になることを
しょっちゅうやるようになり、
常に我慢ばかりしていれば、
そのうち、しわ寄せがきて、
本人にとっても、
周りの人にとっても、
良くないことが
起きるようになる。
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どんな悪いことが
起き得るか?
まず最初に、我慢する本人の
心身の健康状態が
損なわれてゆくこと。
良い人間を演じるあまりに
小さな我慢をし続ければ、
一回一回は、
ちょっとしたことでも、
長い期間を経て積もり積もる。
我慢をずっと溜め込んでゆけば、
徐々にストレスが大きくなり、
心身の健康が
蝕まれて行くこともある。
それでも、
ずっと我慢をやめなければ、
いつか、本当に
心や身体の病気に発展してしまう。
これは、小さな無理が
沢山積み重なった結果、
起きることだ。
身体と心の健康に
悪影響を及ぼして、
最終的には、
本人が苦しむことになる。
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常に良い人間を演じてきた結果、
起こり得る悪いことの2つ目は、
他人に利用されたり、
馬鹿にされたり、
虐めに遭ったりすること。
いつも大人しく、従順で、
人に逆らうことがないので、
「この人に
八つ当たりしても、大丈夫だ」
と思われてしまう。
世の中には、良い人もいれば、
悪い人間もいる。
欲求不満で、
フラストレーションの
ぶつけどころに迷う人が、
たまたま近くにいる
従順で大人しい人を見つけて、
自分の欲求不満のはけ口に
することもしばしばある。
暴言を吐いたり、
嫌がらせをしたりして、
憂さ晴らしをするのだ。
そんな被害に遭う人は、
本心ではかなり迷惑だ
と感じている。
しかし、失礼なことをされても、
理不尽なことを言われても、
そんな相手に対して
何も言わずに、黙っている。
こういう人は、
虐めの対象になることが多い。
他人を虐めようとする人は、
自分自身が満たされていない、
不幸な人間。
自分のイライラを晴らすのに、
逆らったり、文句を言う人を
ターゲットにはしたくない。
そんなことをすれば、
面倒なことになると
分かっているからだ。
失礼なことをしても、
理不尽なことを言っても、
大人しくて、反論しない、
何も言い返さない人がいれば、
「コイツなら虐めても
大丈夫だ」と安心できる。
だから、いじめっ子の
カモにされてしまうのだ。
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我慢して、常に良い人を
演じることで起き得る、
一番怖いことは、「大爆発」。
我慢を積み重ねてきた本人が
大爆発を起こすことがある。
こんなことを見たり聞いたり
したことはないだろうか?
普段は大人しくて、温厚な人。
従順で、優しくて、
礼儀正しく振る舞っている人だ。
しかし、突然、怒りを
大爆発させて、
周囲にいる人たちを
とても驚かせる。
「あの人が、そんなことを
するなんて!? 想像もつかない」
と思われてきた人が、
何らかのきっかけで、
急に怒り狂うのだ。
その人は、事あるごとに
不満があっても、
自分の中で我慢して、
不満や怒りの気持ちを
抑え込んできた。
一つ一つは
大したことでなくても、
小さな不満や怒りを
自分の中に蓄積し続けてきた。
小さな不満や怒りでも、
塵も積もれば山となる。
その人の心の許容範囲を
超えるほど
怒りや不満の山が積み上がった時、
自分の中では
抑えきれなくなり、
大爆発が起きるのだ。
そして、爆発時には、
全然関係のない周囲の人たちにも
被害が及ぶこともある。
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良い人になるために、
いつもいつも我慢をしていれば、
ろくなことは起きない。
だから、やめた方が賢明だ。
それでは、どうすれば、
やめられるだろうか?
それは、小さなことでも、
怒りや不満を感じた時には、
意識して、その都度
そのことを外に伝えることだ。
自分が欲しい時には、
正直に「私も欲しいです」と言う。
本心ではやりたくないのに、
自分ばかりがやるようならば、
「今回はやりますが、
次回は別の人にお願いします」
とはっきり自分の気持ちを伝える。
我慢して立派な人間に
なることは、
長期的には、
良くない結果を生むことを知り、
意識して、やめることだ。
今まで自分の気持ちを
言うことなく、
我慢してきた人は、
最初は上手く言えないものだ。
でも、これも一種のスキル。
練習することにより、
徐々に上達してゆく。
まずは、少しずつでよいので、
ちょっとした機会に
自分が考えていること、
自分が感じていることを
言いやすい相手に言ってみるとよい。
小さなことでも、
「こんなに小さなことだから」
と躊躇わず、とにかく言ってみる。
自分がラクに言えそうなことを
少しずつでも
言うようにするうちに、
だんだん色々なことが
言えるようになる。
そして、今まではこの相手には
言えなかっただろう、
と思われた人でも、
きちんと自分の意向を
伝えられるようになる。
気長に構えて、
その都度、自分の気持ちを
言う練習を意図的に行うことだ。
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外の人に言う時に、
注意した方がよい点がある。
それは、感情的にならず、
淡々と自分の気持ちや思うことを
言うこと。
相手が自分の言いたいことを
言うのなら、
自分も言いたいことを
対等に言ってもよいはずだ。
ただ、両者が感情に支配されて、
攻撃的になったり、
喧嘩をしたりするのは、
建設的ではない。
誠実に、率直に、対等に、
淡々と自分の要望を
伝えてみることだ。
アサーティブな話し方
をすればよいということ。
これも一つのスキルであり、
「アサーティブ訓練」の
コースがあったりもする。
自分だけでは、なかなか
アサーティブになれないのなら、
こういったクラスに参加して、
アサーティブになる練習を
するとよいだろう。
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今回の話をまとめれば、
良い人になるために
我慢して、無理に
良い人になることはやめよう。
時には、そうすることが
必要でも、
いつもいつも
ずっとこれをやり続ければ、
ろくなことは起きないから。
良い人になるために
ずっと我慢をし続ければ、
自分の健康状態を
損なう危険がある。
他人に利用されたり、
馬鹿にされたり、
虐めの対象になることも
しばしば起きる。
また、我慢が積もり積もって、
自分の心のキャパを越えれば、
大爆発を起こして、
周囲の人たちに
迷惑をかけることにもなる。
そうならないためには、
小さなことでも、その都度、
自分の気持ちを言う練習をしよう。
最初は言いやすい相手を
見つけて、意識的に言う。
また、自分の気持ちを
伝える際には、
感情的にならず、
淡々と率直に、誠実に
話すことも大切だ。
これは練習して
身に付けるスキルなので、
必要があれば、
アサーティブ訓練の
クラスに参加するとよい。
不満や怒りを感じた時には、
溜め込むことなく、
その都度、適切な言い方で、
外に出すことができれば、
ストレスを溜め込むことも
防げるし、
その結果、心身の
健康状態を損なうことも
なくなる。
他人から利用されたり、
虐めの対象になることも
少なくなるはずだ。