中高年で行き詰った方へ:ミッドライフクライシスを乗り越えるには

若い頃に努力を重ね、
一定の成功を手にしたものの、
中年期に差し掛かると
「これで本当にいいのか?」と、
人生に疑問を抱き始めることが
あるかもしれません。

心身の調子も優れず、
気力も湧かず、
「自分は一体
どうしてしまったのだろう?」
と悩むこともあるでしょう。

この状態は、もしかすると
ミッドライフクライシス
なのかもしれません。

この記事では、
ミッドライフクライシスの
大きな原因の一つを探り、
その乗り越え方を考えていきます。

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イントロダクション:こんな経験はありませんか?

若くて
エネルギーに満ちあふれていた頃は、
自分の夢や目標に向かって
全力で努力を重ね、
その結果として仕事で成功を収めたり、
社会的に高い地位を
得ることができました。

しかし、
そうした成果にもかかわらず、
期待していたほどの幸福感を
感じられなかったということは
ないでしょうか?

40代前後になると、
心の中に何とも言えない違和感が広がり、
「これで本当に良いのだろうか?」と
ふと自分の人生に
疑問を抱くことがあるかもしれません。

目指していた未来が
ぼんやりと曖昧になり、不安や焦り、
いら立ちに包まれ、
精神的に不安定になりがちです。

これまで楽しんでいた趣味に
興味を持てなくなったり、
虚無感に襲われたり、
何をするのも億劫で
やる気が湧かなくなったりと、
鬱っぽい気分になることも
あるかもしれません。

さらに、身体的にも
疲労が取れにくくなったり、
慢性的な肩こりや頭痛に
悩まされることも少なくありません。

もしこのような状態が続いているなら、
あなたは「ミッドライフクライシス」に
直面しているのかもしれません。

ミッドライフクライシスは、
人生の折り返し地点で訪れる
心の危機であり、
男性女性を問わず
誰にでも起こり得るものです。

その原因は多岐にわたりますが、
大きな要因の一つとして
「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の
バランスの乱れが挙げられます。

この記事では、
このポイントに焦点を当て、
ミッドライフクライシスを
乗り越えるためのヒントを
お届けします。

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内発的動機付けと外発的動機付けの違い

人間のモチベーションには、
「内発的動機付け」と
「外発的動機付け」があります。

内発的動機付けとは、
行動の理由が
自分の内面から湧き上がる状態を
指します。

たとえば、
「自分がやりたいからやる」
「楽しいからやる」
「わくわくするからやる」といったように、
興味や好奇心、楽しさが
原動力となるものです。

この場合、
行動そのものが報酬となり、
たとえ外部からの評価や報酬がなくても、
自発的に行動を
続けることができます。

一方、外発的動機付けは、
行動の理由が
外部にある状態を意味します。

たとえば、
「お金がもらえるからやる」
「他人から褒められるからやる」
「名声や尊敬を得られるからやる」といった、
外部からの反応が
モチベーションの源となるものです。

このタイプの動機付けは、
行動そのものは報酬とならず、
外部からの肯定的な反応が
報酬となります。

そのため、
こうした反応が途絶えると、
行動を続けることが
難しくなるのが特徴です。

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内発的動機付けと外発的動機付けのバランスの重要性

私たちは日常生活において、
内発的動機付けと外発的動機付けの
両方を組み合わせて行動しています。

生活する上で
お金を得ることは必要ですし、
社会的な成功や
他者からの評価を望むのも
自然なことです。

そのため、
外発的動機付けで行動することは
ごく普通のことと言えるでしょう。

しかし、
充実した豊かな生活を送るためには、
自分の興味や関心を
追求することも欠かせません。

興味のある活動や趣味には
お金が必要なことも多いですが、
外発的動機付けで働いて得た収入を、
自分の心を満たすために使うことで
生活をより充実させることが
できるのです。

そうすることで、人生は
より豊かで満足のいくものと
なるでしょう。

理想的なのは、
外発的動機付けによる行動と
内発的動機付けによる行動の
バランスを保つことです。

しかし、現実には
このバランスが崩れ、
外発的動機付けだけで
行動し続けてしまう人も
少なくありません。

若い頃は問題を感じなくても、
内発的な動機での活動が少ないと、
中年期に差し掛かる頃に
ミッドライフクライシスに
陥りやすくなるのです。

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外発的動機付けに偏ってしまう背景

人生の大半を
外発的動機付けに頼って
生きてきた人がいるのは、
不思議なことではありません。

その背景には、
幼少期の親子関係や養育環境が
深く影響しているからです。

たとえば、
幼少期に親が気に入る行動をしなければ
叱られたり、認められなかったり、
愛情を感じられなかったりすると、
子どもは親に受け入れられるために
必死で努力します。

小さな子どもにとって、
親からの拒絶は
生存の危機を感じさせるほどの
恐怖を伴うためです。

また、
親が体裁を重視する人であれば、
「世間体に恥をかかないようにしなさい」
と言われたり、
「きちんとしなければダメでしょ」と
厳しく躾けられることもあります。

すると、子どもは自然と
体裁を気にするようになり、
自分の本心を抑えて
社会に合わせて
行動するようになります。

さらに、
親が未熟で精神的に不安定な場合、
子どもが「自分がしっかりしなければ」と
責任を感じることもあります。

本来、親が子どもの面倒を見るべきですが、
親にその力がなければ、
子どもが親の世話をするようになり、
親子関係が逆転することさえあります。

このような場合、
子どもは無理をして親に尽くし、
自分の本音を隠すことが
多くなります。

原因は人それぞれ異なりますが、
何らかの理由で幼少期に
親から自分の欲求を
十分に満たしてもらえず、
子どもらしく過ごせなかった人は、
大人になってからも
内発的な動機で行動するのが
難しい傾向があります。

結果として、成人後も
自分の気持ちや欲求を
大切にすることができず、
外的な評価や反応に依存してしまい、
行動のモチベーションが
外発的動機付けに偏りがちに
なってしまうのです。

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外発的動機付けだけでは自分の人生を生きられない

外発的動機付けに偏った生き方は、
自分自身のためではなく、
他人のために生きることに
他なりません。

親や世間の期待に応えるためだけに
行動するような人生は、
自分の人生を生きているとは
言い難いのです。

確かに、他人の期待に応えることは
強いモチベーションになります。

なぜなら、それによって
自分の無価値感を補い、
自分の価値を証明できるからです。

周囲からの賞賛を受けることで、
「自分は価値のある存在だ」
と安心感を得られるからです。

しかし、よく考えると、
そのような生き方では
自分自身が置き去りにされています。

自分の気持ちや欲求を
無視しているため、
自分を尊重できておらず、
結果的に自分の人生を
生きることができなくなるのです。

若いうちはエネルギーがあるため、
外発的な動機だけで
行動できるかもしれませんが、
年齢とともに体力が衰え、
次第にエネルギーも低下していきます。

さらに、外発的動機付けは、
報酬が変わらなければ
モチベーションが維持しにくく、
やがて報酬への満足感も薄れていきます。

そのため、同じ成果を得ても
以前ほどの喜びを感じず、
やる気も落ちていくのです。

自分の本心を無視し、
周囲ばかりを気にして生きていると、
年齢を重ねるにつれて生きづらさが増し、
「これで本当にいいのか?」と
人生の方向に疑問を抱くことになるのです。

なぜなら、その生き方では
自分の人生を生きておらず、
「本当の自分」を
置き去りにしているからです。

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褒められることは私が心底望むこと!

ここまで読んで、
「他人から『すごい』
と褒められることこそ、
自分が心底望んでいることだ」
と感じる方もいるかもしれません。

だから、自分の行動は
内発的動機に基づいている、
と思われるでしょう。

確かに、
褒められると爽快感があり、
それは自分が
望んでいることなのでしょう。

しかし、
ここで注意したいのは、
その爽快感を得るためにしている行動が、
本当に内発的動機によるものか
という点です。

次のような質問を
自分に投げかけてみるとよいでしょう。

それは、その行動が
「褒められなくても
やりたいものかどうか?」ということです。

誰からも「すごい」
と言われなくてもやりたいか、
尊敬されなくても続けたいかどうか。

その点を考えてみると、
その行動が
内発的動機に基づくものなのか、
それとも外発的動機に基づくものなのかが
見えてくるでしょう。

もし、
何も報酬がなくても
続けたいと思えるなら、
それは内発的な動機に基づく行動です。

それは心の底から
楽しめるものであり、
行動そのものが
報酬となっているからです。

一方で、「お金がもらえないなら、
褒められないなら、
名声が得られないなら
やりたくない」と感じる場合、
その行動は外発的動機によるものです。

この場合、
行動そのものが報酬ではなく、
外部からの良い反応が
報酬となっているからです。

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解決に向けてのアプローチ

中高年になって
行き詰まりを感じる場合、
その原因が、
内発的動機付けと外発的動機付けの
バランスが取れていないことに
あるのかもしれません。

しかし、
心配はいりません。

ミッドライフクライシスは、
自己と向き合い、人生を見直す
絶好の機会でもあります。

今こそ、自分自身に向き合い、
行動パターンを変えていくことで、
エネルギーを再び取り戻し、
人生を好転させることが
できるからです。

ミッドライフクライシスを
乗り越えるために重要なことは、
「今自分がしていることは、
本当に自分が心から
求めていることなのか?」
と自分に問いかけることです。

さらに、
「自分が本当に望んでいることは
何なのか? 
自分の心の声は何を言っているのか?」と、
常に自問自答する習慣を
身に付けていくことが大切です。

自己と向き合うために
効果的な方法として、
日記をつけたり、内省の時間を
意識的に設けることが挙げられます。

日記に自分の気持ちや
考えを書き出すことで、
頭の中が整理され、
自分が本当に求めているものが
見えやすくなるでしょう。

また、意識して
心の声に耳を傾けるのも、
習慣にするとよいでしょう。

自然の中での散歩や
瞑想を取り入れることも、
内なる声に気づくための良い方法です。

こうした活動は、心を落ち着かせ、
外的なプレッシャーから離れて
自分と向き合う手助けとなります。

これらの取り組みを通じて、
内発的な動機と
外発的な動機のバランスを取り戻し、
より充実した人生を築くための
新たな一歩を
踏み出すことができるでしょう。

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おわりに

この記事では、
中高年期に行き詰まりを感じる
「ミッドライフクライシス」の原因として、
内発的動機付けと外発的動機付けの
バランスが崩れていることに
焦点を当てました。

内発的動機付けとは、
自分の興味や関心に基づいて
行動することを指し、一方、
外発的動機付けは
外部の報酬や他者からの評価に
基づいて行動することです。

充実した人生を送るためには、
この二つの動機付けを
バランスよく保つことが重要です。

もし、
外発的動機付けに偏りすぎてしまい、
行き詰まりを感じているなら、
今が方向転換の好機です。

自分の心に素直に向き合い、
「自分が本当に望んでいることは何か?」
を見つめてみてください。

自分自身の人生を生きるということは、
自分の気持ちや欲求に従い、
自分を満たしてあげることです。

もちろん、人生には
外発的動機付けによる行動も
必要ですが、
それだけに頼りすぎないように
意識することが大切です。

これからは、
自分の心底求めるものを追求し、
自分を満たす行動を
増やしていきましょう。

そうすることで、
今抱えている行き詰まりから解放され、
次第にエネルギーが
蘇ってくるでしょう。

そして、
生活に張りが出て、
充実感と満足感が
増してくることでしょう。