「この人、強い人だな」、
「あの人は精神的に弱い」などど
日常生活の中で
「強い」、「弱い」のレッテルを貼り、
人を評価することが多い。
しかし、本当は、
強い人もいなければ、
弱い人もいない。
これが今回の話題だ。
「強い」、「弱い」という面は
確かにある。
でも、それは
たった一面にすぎず、
その人のすべてではない。
だから、
強いだけの人もいないし、
弱いだけの人もいない。
こちらにほうが正確な言い方だ。
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人間はけっこう複雑な生き物。
様々な面で成り立っている。
一人の人間を取り上げても、
沢山の面を持ち合わせている。
「この人は強い人だ」
と誰かが言う時、
その人の強い面だけを見て、
そのように言うのだ。
しかし、その面は
その人のほんの一部にすぎない。
その人には、
もっともっと沢山の別の面がある。
残念ながら、
人が持つ様々な面のすべてが
はっきり見えるものではない。
他人に見えやすい部分もあるが、
見えにくい部分もある。
見えやすい部分が強ければ、
皆が「ああ、なんて強い人だ」と感心する。
しかし、そんな人でも、
隠されたところでは、
意外にも弱みがあったり、
脆くて、ちょっとしたことで、
壊れてしまいそうな部分もある。
すべての面で強い
というわけではない。
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「この子は本当に弱くて、
困ったものだ」と
親が嘆くことがある。
親が言うように、その点では、
その子供は、弱いかもしれない。
でも、その点というのは、
その子供のほんの一部だ。
もっともっと沢山の面を
その子供も持ち合わせている。
表面的には見えなくても、
強い部分もある。
親は自分の子供を
分かったつもりでいるけれど、
実は、親でさえ、
子供の持つ様々な資質や性質の
すべてを知っているわけではない。
怖いのは、
親からのそういう評価を
子供が信じ込み、
「自分は弱い人間だ。
ダメなんだ」と
不当な思い込みをしてしまうこと。
もちろん、弱い部分もあるが、
強い部分もある。
弱い部分だけが見えやすく、
強い部分は隠されているだけだ。
でも、周囲の大人たちが
「何て弱い子なんだ」と言い、
そのような言葉を
子供が何度か聞けば、
子供は自分に対して、
間違った思い込みをしてしまう。
そのせいで、
劣等感を抱き、自信を失う。
不必要に自分を卑下して、
落ち込んでしまう。
そうなれば、子供の人生に
多大なネガティブ影響を
与えることになる。
とても残念な話だ。
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すべての人は、
強いところも、弱いところも両方ある。
自分のいる環境により、
その人の強みを活かせるかどうか?
全然違ってくる。
たとえば、
就職先の大きな組織の中では、
上手く機能せず、役立たずで、
メンタルを病んでしまった。
それが原因で、仕事を辞めて、
回復するまで暫く休養した。
元気になってから、突然、
起業することを決意。
そして、会社を立ち上げた。
会社経営は想像以上に順調で、
たった2年間くらいで、
自分のビジネスを軌道にのせた人もいる。
この人は、
大きな組織の中で、
集団で仕事をするのは苦手だ。
しかし、自分で意思決定をして、
少数で動いていくのは得意だ。
大きな組織下では、
自分の強みは活かせず、
弱みの部分だけが強く出る。
だから、周りからも
「なんだかアイツできない奴だな」
と言われてしまうし、
自分自身もそう思い込んでしまう。
しかし、環境を変えたら、
自ら積極的に行動できるようになり、
強みを活かして、
成功することもできた。
同じ人間なのに、それぞれの場面で、
できる人になったり、
できない人になったりする。
誰でも環境により、
強い人になったり、
弱い人になったりするものだ。
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私たちは、
「強い」か「弱い」か、
どちらかを選ぶ「二分思考」をしがちだ。
多くのことで、
「白」か「黒」、
「正しい」か「間違っている」と
たった2つの中から選ぶことを
やってしまう。
でも、現実的には、
「白」か「黒」では決められない。
「正しい」か「間違っている」か
はっきりしないものも多い。
「白」でもないし、
「黒」でもない。
「正しい」部分もあるが、
「間違った」部分もある。
人間もこれと同じように
「強い」部分もあり、
「弱い」部分もある。
一人の人間を
「強い」か「弱い」かの
どちらかで評価すること自体、
適切ではない。
人間は
そんなに単純なものではない。
様々な面により
成り立っているのが人間。
一部の面では強い。
しかし、他の面では弱い。
強くもなく、弱くもない
ということも沢山ある。
見えやすい面だけで、
人を判断するのは
望ましいことではない。
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人間誰でも、短所と長所がある。
得意なこと、不得意なことがある。
弱いところと、強いところがある。
自分の短所、苦手なこと、
弱い部分が必要な環境下では、
その人は活躍できない。
しかし、同じ人間でも
長所、得意な部分、強い部分が
活かせる環境なら、
全然違う人になれる。
そこでは、本当に優れていて、
能力を最大限に発揮して、
大活躍できるからだ。
大切なのは、
「どんな環境なら、
自分の強みや得意分野を活かせるか?」
を知ること。
そして、自分の能力を
マックスに発揮できる環境を
自ら選ぶことだ。
ここを間違えてしまえば、
自分の弱い面ばかりが目について、
上手く適応できず、機能しなくなる。
それで、
「自分はダメな人間だ」と落ち込んで、
人生諦めてしまう。
そんなのは、非常に勿体ない。
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自分に一番適した
環境選びのためには、
自分自身の短所、長所、
得意、苦手、良い面、悪い面を
しっかり把握する必要がある。
多くの面を持ち合わせる
複雑な私たちは、
自分でも、自分のことを
理解していないことがある。
どうしたら、自分の強みを
知ることができるだろうか?
一つの方法は
第三者に聞いてみること。
自分のことを
よく知ったつもりでも、
自分自身には見えない部分も
意外と多いものだ。
親しい友人に
「私の強みって何だろう?」
と質問してみるとよい。
すると、
自分では想像しなかった答えが
返ってくることだろう。
もう一つの方法は、
自分自身で色々試してみること。
興味があると感じたら、
とりあえずはチャレンジしてみる。
そして、上手く行くかどうか
様子をみることだ。
順調に行けば、
そこに自分の強みや得意が
あると判断できる。
しかし、やってみても、
イマイチならば、
それは自分には不向きなのだろう。
ここで一つ注意することは、
どんなことでも、新しいことは、
最初からはすんなりとは行かないこと。
最初はほとんど失敗する。
しかし、やっているうちに、
徐々に上手く回るようになる。
一度や二度やって
ダメだったからと言い、
直ぐに諦めてしまうのは勿体ない。
ある程度は続けてみて、
暫くやっても
「これはちょっと自分には…」
と思うのなら、そこで諦めればいい。
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「なかなか上手く行かない。
弱気になってしまう」
と嘆く自分がいても、
落ち込む必要は全くない。
それは、自分の強みを
活かせる環境に自分がいないから
起きているだけだ。
自分の強いところが
最大限に発揮できる場所に移れれば、
自分はまるで別人のように
素晴らしくなれる。
それを知らずに、
自分自身に悪い評価を下し、
周囲の人たちから言われるままに、
自分に「できない」、「弱い」
「役に立たない」のレッテルを貼れば、
そういう自分を
自ら作り上げてしまう。
そんなことはしないほうが賢明だ。
こんな時には自分の強い面は
すっかり隠されて、
全然見えなくなる。
それでも、自分には強い面がある。
人間誰でも、弱い面しかない
という人はどこにもいないから、
そう言い切れる。
人は誰でも、
強い面と弱い面と両方がある。
単に今は弱い面だけが
見えやすくなっているだけ。
そして、その原因は
自分には合わない環境にいるからだ。
自分の強みがはっきり出る
自分に合った環境に移るのが
最重要課題。
この課題をこなすには、
まずは「この世の中には、
強いだけの人もいないし、
弱いだけの人もいないこと」を、
十分理解しておくこと。
そして、諦めないこと。
自分自身を見捨てないで、
自分の強みを
活かせる場所が見つかるまで、
根気よく探し続けることだ。
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今回の話をまとめれば、
1)人間は複雑で様々な面を持つ。
強い面もあれば、弱い面もある。
2)だから、一概に
「この人は強い人」とか、
「弱い人だな」なんてことは言えない。
3)自分の強み、弱みを把握して、
強みが活かせる仕事や生活環境を
意図的に選ぶことは大切だ。
4)自分の強み、弱みが分からなければ、
仲良しの友人に聞くのもあり。
5)実際に行動してみて、
順調に行くものは、自分の強み、得意を
活かしているもの。
6)暫くやり続けても、イマイチのことは、
自分の強みを活かせるものではない。
7)たとえ、今の環境では
「自分は弱い人間だ」と感じても、
自分に合った環境に移れば、
突然、強い人間にもなり得る。
8)がっかりするのではなく、
自分の強みが活かせるところを見つけるまで、
根気よく探すことが重要だ。