「怒り」は
ストレスに対する攻撃的反応。
人間にとっては自然な感情で、
本能に近いもの。
怒りが湧き上がっても、仕方ない。
しかし、カッとなって
一時的な感情に飲み込まれ、
やってはいけない愚かなことを
してしまい、
そのせいで、
大切なものを失うこともある。
また、一度起きた怒りが
鎮まることなく、
長い間、ずっと怒りを引きずれば、
本人もかなりシンドイ。
怒りにより、
周囲にいる罪なき人たちを
巻き込んでしまえば、
人間関係も悪化する。
「怒り」は下手すれば、
破壊的要素が大きい。
できれば、どうにか上手く
コントロールした方が賢明だ。
今回は、
「怒り」で自分が損しないために
心得ておくとよいことを
お話したい。
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まず初めに
知っていれば役立つことは、
最初の6秒間、
じっと耐えるとよいこと。
怒りは本能的に
突然、ガッと湧き上がる。
でも、6秒すれば、
少し落ち着いてくるものだ。
カッとなって、
相手を引っ叩きたくなっても、
意識して、ちょっと我慢しよう。
手が出そうになっても、
その手をグッと抑えて、
フリーズさせる。
すると、6秒後、
マックスに達した怒りも、
ちょっとずつ収まってゆく。
瞬間的に起こる怒りを
6秒間、何もせず耐えることは、
そんなに容易くない。
しかし、これができれば、
こちらの勝ち。
徐々に平静が取り戻され、
やってはいけないことを
防ぐことも可能だ。
カッとなった時、
意識してするといいことは
「深呼吸」。
ゆっくりと深く呼吸することで、
副交感神経が優位になり、
気持ちも徐々に
落ち着いてくる。
すると、冷静な気持ちで
怒りの原因を見つめて、
その後の対処方法を
考えられるようになる。
怒りに襲われた時には、
そのたびに、
意識して「深呼吸する」練習を
してみよう。
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大分落ち着きを
取り戻した後は、
いかに怒りと
上手に向き合うか?
にフォーカスを当ててみる。
他人との衝突により起きた
怒りの感情は、
「べき思考」
が原因であることが多い。
人間は誰でも自分の中に
堅く信じる「信念」がある。
自分にとっては、当然であり、
「それが正しい」
と思い込んでいることだ。
しかし、自分にとっては
当たり前でも、
自分の信念は
万人に通用するものではなく、
絶対的に
正しいことでもないのだ。
このことを
しっかり頭に入れよう。
自分にとって
正しいと信じることが、
他人から否定されたり、
守られなかった時に、
怒りの感情は湧いてくる。
自分の正しいが
侵されたからだ。
しかし、この世の中には、
自分と全く同じ考えをする人は、
誰もいない。
皆が違った考え方をして、
価値観も多種多様だ。
自分は「~するべきだ」
と信じていても、
他人も同じように
「~するべきだ」とは
必ずしも思わない。
相手が自分の「~するべき」
を尊重しなくても、
何も不思議はない。
普段から、このことを
心得ておけば、役に立つ。
「相手も相手で
別の考えがあるから、しょうがない」
と諦められる。
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自分は攻撃的になる癖が
ついていないだろうか?
子供の頃から、
親が怒鳴り散らしたり、
暴力を振るったりする姿を見て育てば、
自分もちょっとしたことで
攻撃的になり、暴力を振るうこと、
激しく怒り狂うことが習慣化してしまう。
これは爪を噛む癖と
よく似ていて、
自分で意識しないうちに、
自然とやってしまうことだ。
小さな刺激に対しても、
常に攻撃的になるようなら、
色々な場面で損をする。
自分が苦しいだけでなく、
他人から信頼を得ることも
少なくなり、
良好な人間関係を築けず、
素晴らしいチャンスを
逃すことも珍しくない。
しょっちゅう怒りの感情に
襲われる人がいたら、
自分は攻撃的になる癖がないか?
自問自答してみるとよい。
気づくことができれば、
癖を正すことも可能だ。
カッとなれば、
その時の一時的な感情に支配され、
やってはいけないことを
気がついたらやっていた、
なんてことは、
長期的視点では、
かなり愚かな行為だ。
気づくことにより、
意識して癖を捨てよう
と思う気持ちが大切。
もちろん、一旦身についた癖を
捨てることは難しい。
それでも、意識して、
「もう、こんなバカらしいことは
やめにしよう」と思えれば、
そのうち、
やめることもできる。
カッときた時、意識的に
呼吸にフォーカスを当て、
深い呼吸をするように
心がけるとよい。
これだけでも、
大分、怒りが軽減されて、
瞬間的に攻撃することも
避けられる。
攻撃的に動く癖を
深呼吸する癖に置き換えよう!
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客観的に物事を観察するスキルも
身につけておくと、便利だ。
怒りの感情に飲み込まれて、
感情もおもむくまま
破壊的行動を取れば、
後で取り返しのつかないことになり、
自分が損することもしばしば。
感情に飲み込まれている最中は、
主観的であり、視野も狭く
周りが見えない状態だ。
自分が怒りに支配されないよう、
「客観視」できることは、超重要。
怒りの対象になるものを
自分自身から少し離して、
遠くの位置から眺めるように
努めること。
これができれば、
冷静な判断も可能になる。
客観視するのに
役に立つのは、
自分の頭の中にあることを
すべて紙に書き出すこと。
頭の中だけで
同じ思考をグルグルさせても、
主観性が増してしまうだけ。
ネガティブな気持ちが
強くなるばかりだ。
しかし、書くことにより
外に出してしまえば、
客観的に眺めることも
簡単にできる。
ちょっと離れた位置から
怒りの対象物や
自分自身を見つめること。
冷静になれれば、
見える幅も広くなり、
何をすれば適切なのかが分かる。
一番理想的な対処方法を取り、
将来、似たようなことで
怒ることも大分減らせる。
怒りに限らず、
客観視できる能力は、
様々な場面で有効だ。
より広い視野を持ち、
より多くの物を見て、
より正しい判断ができるから、
今までよりも
ずっと望ましい結果が得れる。
何か事が起きるたびに、
自分の頭の中にあることを
紙に書き出す習慣をつけ、
客観視するスキルを
普段から磨いておこう。
きっと、
いざという時、役に立つ。
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怒りのエネルギーは
とてもパワフル。
この強力なエネルギーを
破壊的な方向に向けるのか?
それとも、
自分をより良くするための
方向に向けるのかで、
行き着く先も、
全然違ってくる。
短期的に感情に支配され
自己破壊的行動を取ったり、
周囲の罪なき人たちを巻き込み
他人に迷惑をかけるよりも、
もっと長期的視点で、
自分が得する方向へ進むほうが、賢い。
それにより、
後々には、自分も大きな恩恵を得れる。
もし、誰かから馬鹿にされて、
その相手に仕返ししてやりたい
と瞬発的に思っても、
ちょっと立ち止まり、
冷静になった方がいい。
そんなバカを相手に
破壊的行動を取るよりも、
自分をもっと磨いて、
よりできる人間になった方が、
自分にとっても得だし、
有利になる。
感情に任せて、短期的視点で、
愚かなことをするのではなく、
長期的視点に立ち、
その瞬間は少し辛くても、
自分の学びの方向へ
怒りのエネルギーを向けた方が、
より建設的、より生産的で、賢い。
同じだけエネルギーを消費するなら、
自分を有利に立たせるために
使った方が、ずっといい。
意識して怒りのエネルギーを
良い方向へ使うためには、
自分自身を意図的にそちらの方向へ
誘導する必要がある。
そのためには、
やはり、客観視できる能力を
鍛えておくことが必須だ。
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気持ちの切り替えを
上手にすることも、
怒りの感情を上手く
コントロールするのに効果的だ。
気持ちの切り替えが
上手くできないと、
怒りを長い間、
引きずりやすくなる。
切り替え下手は、
前頭葉機能の低下や、
脳内でセロトニンが
不足している場合が多い。
セロトニンレベルは、
日々の生活の中で、
向上させることも可能だ。
具体的には、
規則正しい健康的な生活習慣を
身につけること。
朝日を浴びながら
ウォーキングする習慣をつけたり、
質の高い睡眠を目指して、
毎晩、十分睡眠を取るよう
心がけること。
栄養バランスの取れた
健康的な食事をするのも大切だ。
自分の健康状態を
最重要課題として、
常に良好な健康状態を
目指すといい。
身体と心はつながっており、
身体の状態が良くなれば、
心の状態も改善される。
心身ともに健康なら、
セロトニンレベルも
高く維持することが可能だ。
そうなれれば、
一時的にイラっときて、
怒りの感情が湧いても、
直ぐに立ち直り、
気分を改めて
前に進むことができる。
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今回の話をまとめれば、
怒りにより、
自分が損しないために、
次のことを意識して実践するといい。
1)「6秒間待つ」練習をする。
深呼吸を意図的にやる習慣を
普段からつけておくと便利。
2)人と揉めた時には、
自分は「べき思考」をしていないか?
自問自答してみるといい。
3)攻撃的になることが
癖になっていないか?
気づくことも大切だ。
4)客観視する能力を
磨いておくと役に立つ。
頭の中にあることを、紙に書き出して
少し離れた場所から観察するといい。
5)怒りのエネルギーの矛先を
破壊的な方向へ向けず、
自分が得になるよう
建設的な方向に向けること。
6)健康的な生活習慣を身につけて、
身体と心の健康を気遣い、
脳内のセロトニンレベルを
上げるよう努めると効果的。
以上、参考になれば、幸いだ。