固定観念を打破!新しい「ものの見方」を発見する方法

今回の記事は
自分自身の思考癖に気づき、
思考の柔軟体操を試みて、
固執したものの見方から
脱却しようという内容です。

多くの人に共通して見られる
歪んだものの見方に焦点を当て、
思考をより柔軟にするための
エクササイズを紹介します。

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誰もが自分特有の物の見方をしている

私たちは、
何らかの出来事に遭遇したとき、
自分特有の「物の見方」で
その出来事を解釈しています。

そして、心の中には
その解釈に基づいた感情が
生じるのです。

出来事を体験したときに、
不安になったり、腹が立ったり、
自己嫌悪に陥ったり、
悲しくなったりするのも、
それらの感情を生み出すような
解釈をしているためです。

その解釈の仕方が、
私たちの「物の見方」だ
と言ってもよいでしょう。

「物の見方」が変わると、
出来事の解釈も変わります。

そして、解釈が変われば、
湧いてくる感情も
変わってくるものです。

しかし、問題は、
私たちはいつもの「物の見方」で
出来事を解釈し、
いつも同じような感情を
感じていることです。

自分特有の
物の見方の癖に気づくことなく、
それを当然のことと捉えているため、
「物の見方」を変えることも
難しいわけです。

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まずは自分の思考癖に気づこう!

物の見方を
思考癖とも呼ぶことができます。

自分自身の思考癖に
気づくためには、
多くの人に共通する
思考の歪みが参考になります。

なぜなら、自分自身も
そのような思考癖を
持っているかもしれないからです。

ここでは多くの人に共通する
代表的な思考癖を紹介しましょう。

1. 全か無かの思考(二分法的思考):
完全に成功か失敗、良いか悪いか
というように、物事を極端に
二分して考える思考の癖です。

この思考癖があると、
中間的な状況やグレーゾーンを
認めることが難しくなります。

2. 過剰な一般化:
一度や二度の同じような出来事や経験から、
一般的な結論を導き出す思考癖です。

たとえば、たった一度しか
同じ失敗をしていないのに、
いつも失敗する
と考えてしまうことがあります。

3. マイナスのフィルタリング:
ポジティブな情報を無視または過小評価し、
ネガティブな情報だけを
強調して考える傾向です。

良いことよりも悪いことに
焦点を当てやすい思考癖です。

4. 早まった結論:
他人の考えや感情を
根拠がないのに勝手に自分で推測し、
特にネガティブな意図や評価を
他人が持っていると結論付ける思考癖です。

5. 感情に基づく推論:
客観的な証拠よりも
自分の感情を根拠にして
現実を判断する思考癖です。

たとえば、「つまらないから、
これは価値あることではない」
と思い込むことがあります。

6. べき思考(義務化):
「こうあるべき」「ああするべき」
というように、
自分や他人の行動に対して、
厳しいルールや期待を持つ
思考の歪みです。

この思考癖が強いと、
失望や怒りを感じることも
多いです。

7. ラベリング:
一つの行動や出来事をもとに、
自分自身や他人に
ネガティブなラベルを貼る思考癖です。

たとえば、
ちょっと失敗しただけで
自分を「ダメな人間」
と決めつけることがあります。

8. 個人化:
自分とは無関係の出来事や
他人の行動に対して、
過剰に自己との関連性を見出し、
自分のせいだと責任を感じる
思考の歪みです。

これらは多くの人々に
共通する思考癖ですが、
実際にはこれ以外にも
思考癖はたくさん存在します。

歪んだ思考癖は、
事実を正しく見ることを妨げ、
歪んだ現実を作り出し、
自分自身や周囲の人々を
苦しめてしまう問題があるのです。

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思考癖に気づくために役立つこと

まずは、先に紹介した
8つの思考癖のそれぞれに対して、
自分自身がそのような思考を
持っていないかを
じっくりと考えてみるとよいでしょう。

この作業をする際には、
自分自身を
客観的に見る必要があります。

そのために有効なのが、
記録をつけることです。

毎日の出来事や
それに対する自分の感情、反応を
記録すると役立ちます。

特にネガティブな感情を
引き起こした出来事に焦点を当て、
そのときに
どのような思考があったかを考えて、
書き留めてみましょう。

そうすることで、
自分自身の思考パターンを
見つけやすくなります。

今、この瞬間に意識を集中し、
判断せずに自分の感情や思考を
観察するマインドフルネスの練習も
効果的です。

マインドフルネスの実践については
詳しいことはネットで
検索してみることをおすすめします。

マインドフルネスは
自分自身の自動思考に気づくのに
有効です。

また、信頼できる友人から
自分自身について
客観的な視点を求めてもよいでしょう。

自分が気づいていない
自分自身の思考パターンを
他人が教えてくれることも
少なくないからです。

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思考の柔軟体操 サイコロ思考のすすめ

自分の思考癖は、
自分にとって当たり前の
ものの見方であり、
それが正しいと
錯覚することも珍しくありません。

そのため、別の
ものの見方に気づくことが
できにくくなります。

問題は、自分の思考癖により、
自分自身を縛り付けてしまったり、
他者との人間関係を
悪化させてしまう恐れがある点です。

もし、思考を柔軟にして、
今までの固執した思考癖から
抜け出すことができれば、
自分自身も楽になり、
人間関係も改善されるでしょう。

思考を柔軟にするのに
役立つエクササイズとして、
サイコロ思考というものが
あります。

サイコロに6つの面があるように、
どんな出来事にも、6つくらいは
ものの見方がある
と考えるのがサイコロ思考です。

1つの出来事に対して、
6つくらいの「ものの見方」を
意識して考えてみれば、
自分特有の思考パターンも緩んできて、
柔軟な考え方が可能になるでしょう。

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上司の度々の助言にウンザリしている部下のケース

ではさっそくサイコロ思考で
職場の上司の度々の助言に
ウンザリしている部下のケースを
考えてみましょう。

Aさんは、
職場の上司に腹を立てています。

その上司は、
Aさんが書類を提出するたびに
その書類の書き方に関して
助言をしてくるからです。

「ここはこうしたほうがよい」
「あそこは別の書き方のほうがよい」
といったように、ちょっとしたことでも、
いちいちうるさく言ってきます。

書類を提出するたびに、
必ず上司からは
なんらかの助言があるため、
Aさんは上司の助言を
自分への嫌がらせではないか
とまで思っているのです。

この状況下で、
Aさんは上司に対して、
次のような「ものの見方」を
していました。

「あの上司は最低だ。
あの人は私を目の敵にしているのだ。
だからちょっとしたことでも
アドバイスの形で
ああだこうだと文句をつけてくる!
あの上司のせいで
私は仕事を楽しめない!」

Aさんは、上司に対して、
このような一つの「ものの見方」でしか
見ていないので、いつも腹が立ち、
恨みが積もり、被害者意識と無力感に
陥っていました。

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サイコロ思考をやってみよう!

助言ばかりしてくる上司に
「あの上司のせいで……」と考える以外に、
どのような「ものの見方」が
あり得るでしょうか?

いつもの「ものの見方」の他に、
あと5つほど考えてみると
よいでしょう。

1. 「上司は私に
期待してくれているのだ。
期待がなければ、助言をすることもないはず。
期待に応える力が
私にあると思ってくれているから、
私に助言をたびたびするのだろう。
それだけ私は見どころがあるということだ!」

2. 「上司は何かしら
意見を言わないと
気のすまないタイプなのだ。
だからちょっとしたことでも
ああだこうだと言ってくる。
私は上司よりも精神的に大人だから、
上司には言いたいだけ
言わせておけばいいのだろう」

3. 「不満ばかり募らせるのはやめて、
思い切って上司に言ってみよう。
『細かいことまでアドバイスが多すぎて、
ちょっと困っています』と。
それで上司が変わらないなら、
転職したっていいじゃないか」

4. 「本気で仕事して
実力をつけてやろう! 
あの上司を黙らせるくらいの
質の高い仕事をしてやろう!」

5. 「上司はなんだかんだ言って、
私と単に会話が
したいだけなのかもしれない」

6. 「仕事だけが人生じゃない。
仕事以外の趣味や楽しみを見つけて、
そっちで人生を楽しもう。
仕事はお金を稼ぐ手段だと割り切って、
仕事以外の世界に生きがいを見出そう!」

このように他の解釈を
考えているうちに、
自分自身の感情も
以前とは少しは違ってきた
と感じるかもしれません。

ネガティブな出来事が起きるたびに、
この作業を意識して
やってみるとよいでしょう。

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より柔軟な思考で豊かに生活するために

このタスクを行う際の注意点は、
ポジティブな「ものの見方」を見つけよう
とすることに、囚われないことです。

役に立たない
「ものの見方」でも構わないので、
とにかくいくつか
挙げてみることが大切です。

また、今まで自分が
自動的にしていた思考を
否定する必要もありません。

ただ、その思考のみに固執せず、
「ものの見方」のバリエーションを
増やすことが重要です。

ネガティブ感情に襲われたときには、
自分は今、
どのような思考をしているのか、
自分自身から一歩引いて、
自分を客観視してみるとよいでしょう。

そして、その思考に気づいたなら、
思考の柔軟体操として
サイコロ思考を試みて、
それ以外の思考の可能性を
考えてみるのが望ましいです。

この作業を意識して行うことにより、
自分自身の思考も
徐々に柔軟になるでしょう。

思考が柔軟になればなるほど、
人生の選択肢は増えていきます。

行き詰まっていると
思われていた状況にも、
突破口を見い出せる可能性もあるでしょう。

今までとは少し違う視点で
見ることができれば、
自分自身の感じ方も
大分変わってくるものです。

サイコロ思考を試みて、
思考の柔軟体操をすることは、
より豊かに生きるための
糧となるでしょう。