家庭でも職場でも、
怒りの感情は
多くの人が経験するものでしょう。
しかし、怒りを
うまくコントロールできずにいると、
心身の健康を損ねたり、
大切な人との関係を
壊してしまうことも
あるかもしれません。
この記事では、
怒りという感情にどう向き合い、
どうコントロールしていけばよいのか
について、具体的な方法を
いくつか紹介します。
怒りの感情を
否定するのではなく、
上手に付き合うことで、
より穏やかで豊かな日々を
送りましょう!
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怒りの感情にも意味がある!
「怒ってはいけない」
「イライラするのは良くない」と、
怒りの感情やイライラを
抑え込もうとしていませんか?
でも、怒りは必ずしも
悪い感情とは限りません。
怒りは人間の自然な感情の一つであり、
私たちにとって
重要なサインを
送ってくれることもあるからです。
たとえば、
誰かに不当な扱いを受けたとき、
怒りの感情が湧くことで
「これは受け入れられない」という
自分の境界線を教えてくれます。
また、大切にしている価値観が
脅かされたとき、怒りは
「守るべきものがある」という
メッセージを伝えてくれます。
子どもが危険なことをしたときに
親が怒るのも、
子どもの安全を守りたい
という愛情の現れでしょう。
このように、怒りは、私たちに
大切なことを教えてくれる感情であり、
否定する必要はないのです。
怒りの感情を良くないものと捉え
抑え込もうとすると、
怒りが教えてくれるメッセージを
受け取れなくなるでしょう。
それだけでなく
我慢しすぎて
突然爆発してしまったり
することもあるかもしれません。
重要なのは、
怒りという感情を認めた上で、
それにどう向き合うかを
学ぶことなのです。
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怒りすぎることの代償:心身と人間関係への影響
怒りの感情そのものには
意味があるとはいえ、
その感情が過剰になりすぎると、
さまざまな弊害が生じるでしょう。
特に注意すべきは、
心身への悪影響と
人間関係の悪化
という2つの側面です。
まず、心身への影響について
考えてみましょう。
怒りを感じているとき、
私たちの体は緊張状態にあります。
心拍数が上がり、血圧が上昇し、
筋肉が硬直します。
このような状態が頻繁に、
あるいは長時間続くと、
頭痛や肩こり、胃痛、不眠といった
身体症状として現れることも
少なくありません。
さらに、慢性的なストレスは
免疫力の低下にもつながり、
病気にかかりやすくなることも
あるのです。
精神面でも、
常にイライラしている状態は
疲労感や無力感を生み、
やがてはうつ状態へと
発展する危険もあるでしょう。
もう一つの大きな弊害が、
人間関係の悪化です。
怒りを相手にぶつけてしまうと、
たとえそれが
正当な理由からであったとしても、
相手は攻撃されたと感じて
心を閉ざしてしまうでしょう。
家族や友人、
同僚との関係に亀裂が入り、
修復に長い時間がかかることも
あるかもしれません。
特に子どもに対して
怒りをぶつけ続けると、
子どもは萎縮し、
親子の信頼関係が
損なわれてしまうでしょう。
職場でも、感情的な言動は
周囲からの信頼を失う原因となり、
キャリアにも影響を及ぼしかねません。
そのため、
怒りのコントロールは、
自分自身のためだけでなく、
周りの人たちとの
良好な関係を保つためにも
欠かせないスキルといえるでしょう。
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「べき思考」は怒りを生みやすい
では、そもそも怒りは
なぜ生まれるのでしょうか?
その大きな原因の一つが、
私たちの思考や価値観、
特に「〜するべき思考」にあります。
「べき思考」とは、
「こうあるべきだ」「こうすべきだ」という
自分なりの基準や期待のことです。
たとえば、「電車では静かにすべきだ」
「みんなと仲良くするべきだ」
「家族なら助け合うべきだ」
といったものが挙げられます。
こういった基準は、
自分にとっては当然であり、
疑いようがないように
思えるかもしれません。
けれども、実際には、
すべての人にとって同じように
当たり前とは限らないのです。
人はそれぞれ
独自の価値観や考え方を
持つものだからです。
自分の当然が、
相手の当然と異なるとき、
自分が期待することが満たされず、
強い怒りが発生しやすくなるでしょう。
たとえば、朝の通勤電車で、
隣の人が大声で
電話をしていたとします。
「公共の場では静かにすべき」
という価値観を強く持っている人は、
その行動に対して
強い怒りを感じるでしょう。
また、「子どもは
親の言うことを聞くべきだ」
という思考が強いと、
子どもが言うことを聞かないたびに
イライラが募るでしょう。
職場でも、
「仕事は完璧にこなすべき」
という基準を持つ人は、
ミスをした同僚に対して
厳しい態度を取ってしまうでしょう。
でも、冷静に考えてみると、
自分が「べき」と考えることが
必ずしも正しいとは限りません。
育った環境や文化、
個人の経験によって、
人それぞれ「当たり前」の基準は
異なるものです。
電車での電話を問題視するどころか、
時間を有効に活用したほうがよい
と考える人もいるでしょう。
また、親が子どもに指示するよりも、
子どもの自主性を尊重すべき
と考える親もいます。
同じ事柄についても、
人それぞれ考え方が違うのです。
そのため、
自分の「べき」を絶対視せず、
「これは自分の価値観であって、
他にも考え方がある」
と認識することが必要です。
そうすることで、
怒りを覚えることも
少なくなるでしょう。
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自分の怒りのパターンを知る
怒りのコントロールで大切なのは、
「自分はどんな怒り方をしやすいのか」
に気づくことです。
私たち一人ひとりには、
独特の怒りのパターンや
感情の癖があります。
それを知ることで、
適切な対処法を
見つけることができるでしょう。
たとえば、
子どもが言うことを聞かないと、
つい声を荒げてしまう
という人がいたとします。
この場合、
自分が疲れているときや
時間に余裕がないときに
特に反応しやすいことに
気づけるかもしれません。
また、職場で
上司から注意を受けたとき、
その場では黙り込んでしまい、
後になってから
ずっとイライラし続ける
という人もいるでしょう。
これは怒りを
表に出せないタイプで、
内側にため込みやすい傾向があります。
さらに、家族に不満があっても
うまく言葉にできず、
そのストレスが頭痛や胃痛といった
体調不良として現れる人もいます。
こうした場面を
振り返ってみることで、
自分の「怒りの癖」が
浮かび上がってくるでしょう。
自分は
どんな状況で怒りを感じやすいか?
怒りをどう表現する傾向があるか?
怒った後にどんな気持ちになるか?
自分自身に向き合って、
考えてみてください。
自分のパターンを知れば、
そのパターンに対して、
どう対処しようか考えることも
できるはずです。
たとえば、
「深呼吸してから話そう」
「気持ちを言葉にして伝えよう」
「疲れているときは休憩を取ろう」
といった具体的な工夫が
可能になるのです。
反対に、
自分の癖に気づかないままでは、
毎回同じパターンを繰り返し、
後悔や罪悪感を
抱きやすくなるでしょう。
自分の怒りのパターンを知り、
どう対処すればいいか考えることは、
怒りと向き合う上で
とても大切です。
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怒りに振り回されないための実践テクニック
次は具体的な対処法を
身につけましょう。
ここでは、日常生活で
すぐに実践できる
いくつかの方法をご紹介します。
まず効果的なのが
「6秒ルール」です。
怒りのピークは
6秒程度と言われており、
この最初の6秒を
やり過ごすことができれば、
衝動的な言動を防ぎやすくなります。
感情を司る大脳辺縁系から、
論理的な判断を行う前頭葉へ情報が伝わり、
理性が働き始めるまでに
約6秒かかると考えられているからです。
怒りを感じたら、
心の中で6秒数えてみましょう。
その間に深呼吸をしたり、
窓の外を見たりして、
意識を少しだけ別のところに向けます。
この短い時間が、感情的な反応と
冷静な対応の分かれ道になるでしょう。
次に有効なのが
「タイムアウト」という方法です。
怒りが強すぎて
冷静になれないと感じたら、
その場を一時的に離れましょう。
「少し落ち着きたいので、
30分後に話せますか」
と伝えて別の部屋に行く、散歩に出る、
トイレへ行く、水を飲みに行くなど、
物理的に距離を取ることで、
感情を落ち着かせる時間を作るのです。
その場を離れることで、
怒りの感情は少し緩和されるでしょう。
「呼吸法」も
怒りのコントロールに効果的です。
怒っているとき、私たちの呼吸は
浅く速くなりがちです。
意識的に
ゆっくりと深い呼吸をすることで、
自律神経が整い、
心身がリラックスしていきます。
4秒かけて鼻から息を吸い、7秒止めて、
8秒かけて口から吐き出す
「4-7-8呼吸法」などを
試してみるとよいでしょう。
その他にも、
怒りを感じたときの思考を
書き出してみる
「アンガーログ」をつける方法や、
信頼できる人に気持ちを聞いてもらう方法、
運動やストレッチで身体を動かして
怒りのエネルギーを発散する方法などがあります。
自分に合った方法を見つけて、
日常的に実践することが大切です。
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子育てにおける「怒りの感情」の注意点
子育ての場面では、
怒りのコントロールが
特に重要になります。
子どもに対して
怒りに任せて叱った後、
「言いすぎてしまった」と後悔した経験は、
多くの保護者にあるでしょう。
怒りそのものは自然な感情ですが、
その表現方法によっては、
子どもの心に深い傷を
残すこともあるからです。
特に避けるべきことは、
子どもの人格を
否定するような叱り方です。
「あなたはダメな子」
「どうしてそんな子に育ったの」
「本当に困った子ね」といった言葉は、
子どもの存在そのものを
否定するメッセージとして
伝わりやすいです。
こうした言葉を
繰り返し耳にした子どもは、
自己肯定感を大きく損ない、
「自分は価値のない人間だ」
と思い込んでしまうこともあるでしょう。
そして、それが原因で
のちの人生でも無価値観に苦しみ、
生きづらさを抱えながら
生きている人も少なくありません。
大切なのは、子どもの人格ではなく
行動を指摘することです。
たとえば、
部屋が散らかっているときに
「どうして片づけができないの!
だらしない子ね」と責めるのではなく、
「おもちゃを出したままだと
転んで危ないよ。箱に戻してね」と伝えます。
宿題をしていないときも、
「本当にダメな子ね」ではなく、
「宿題は今日中にやる約束だったよね。
今から始めよう」と具体的な行動を
促すとよいでしょう。
このように伝えると、子どもは
「自分が悪い存在」ではなく
「行動を直せばよい」と理解できます。
人格は否定されず、
何をすればよいかが明確になるため、
子どもは安心して
行動を改善していけるでしょう。
「望ましくない行動は正すよう諭すが、
子どもの存在そのものは否定しない」
という姿勢が、
子どもを傷つけることなく、
子どもの自己肯定感を支えてゆくためには
不可欠です。
また、怒りを感じたときこそ、
先ほど紹介した6秒ルールや
タイムアウトを活用しましょう。
感情的になりそうなときは、
「お母さん、ちょっと落ち着くね」
と正直に伝えて
深呼吸する姿を見せることも、
子どもにとって
良い学びの機会になるでしょう。
完璧な親である必要はありません。
怒りと上手に
付き合おうとする姿勢そのものが、
子どもへの大切な教育になるはずです。
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おわりに
この記事では、
怒りという感情とどう向き合い、
どうコントロールしていけばよいのか
について、具体的な方法を
いくつか紹介しました。
怒りとうまく向き合うスキルは、
一朝一夕に身につくものではありません。
長年の習慣や思考パターンを
変えていくには、
時間や練習が必要だからです。
うまくいかない日もあるでしょう。
でも、そんなときも
自分を責めないでください。
「今日はうまくいかなかったけれど、
次はこうしてみよう」
と前向きに捉えることが大切です。
怒りという感情は、
私たちに大切なことを教えてくれる
サインであることも多いです。
この感情は
自分に何を教えてくれているのか
自問自答してもよいでしょう。
また、強い怒りが生じたとき
「~するべき」という思考が
隠れていないかどうか、
心の中を探ってみてもよいでしょう。
人はそれぞれ自分独自の
価値観や考え方を持つものです。
自分の「~するべき」が
相手にとっても
当てはまるものではないことも
念頭に置いておくとよいでしょう。
怒りへの対処法を身につけることで、
自分自身の心身の健康を守り、
周りの人たちとの関係を豊かにし、
より穏やかで充実した日々を送る
助けになるでしょう。
今日から、
小さなことから始めてみませんか?
深呼吸をする、
自分の気持ちを言葉にしてみる、
怒りのパターンを記録してみる。
そうした小さな実践の積み重ねが、
やがて大きな変化を
もたらしてくれるでしょう。