昨年末の出来事。
私は日本のオンラインショップで買い物した。
海外在住の私は、自宅へ商品を直接送って貰えない。
日本に住む弟宅へ商品送付を依頼して、
弟が商品受領後、ニュージーランドの私の自宅へ
買ったものを郵送するという段取りでお願いした。
多忙な弟に、このようなお願いを頻繁にはしたくない。
そのため、私は複数のオンラインショップから
まとめ買いをして、大箱で品物を送って貰った。
今回買ったものは、下着類、食品類、
それから、日本の湯たんぽを8つほど。
12月末、弟からの大箱が私の元に届いた。
楽しみにしていたので、
ワクワクした気持ちで箱を受け取ると
なんか様子が変。
大箱は既に開封されており
ニュージーランド税関庁と書かれたガムテープで
しっかりと留められていた。
大箱なのに、あまりにも重量が軽い。
「また、食品類を没収されたな」と一瞬思ったが、
箱を開けて見れば、食品類はすべて無事だった。
抜き取られたのは8つの湯たんぽ。
箱の底には税関庁からの手紙があった。
「危険物輸入のため、没収しました」と書かれていた。
湯たんぽがなぜ、危険物なのか?
正直、私には理解できなかった。
早速、手紙の中に記載された
税関庁の問い合わせメールアドレスに
質問のメールを送った。
そして、割と早くに回答が得られた。
「この湯たんぽは、安全性に問題がある」
ということだった。
8つも購入したので、商用と間違えられたのか?
自分と家族が使用するため、買ったものだ。
ニュージーランドの貧弱な湯たんぽは
全然温かくないし、何度もお湯を入れ替える必要がある。
日本のものは湯が入る容量も大きく、
温かさはニュージーランドのものと比べ物にならない。
途中でお湯を入れなおさなくても
一晩中、温かさを保ってくれる。
冷え性の私にとって、日本の湯たんぽは必需品だ。
そんなわけで、どうしても湯たんぽを
取り戻したいと思った。
没収物をもう一度考慮して貰うための
申請用紙に次の2点を強調して記入した。
1)商用目的ではなく、個人が使用するもの
2)冷え性のため、健康上の理由で日本製湯たんぽが必要。
そして、申請用紙を税関庁に提出した。
それから暫く税関庁から連絡はなかった。
新型コロナウィルスが世界中で蔓延して
多くの国や地域がロックダウンをしていた頃だ。
私も湯たんぽのことを忘れていた。
ある日、再び税関庁より手紙が届いて、
「個人使用の目的でも、安全性が疑われるので、
輸入は許可できない」と書かれてあった。
手紙と一緒に同封されていたのは
英国規格協会で定めた「湯たんぽ輸入」
に関するルールの写し。
こういう法律文書って、
読むのが苦手な私にとっては、けっこうシンドイ。
でも、頑張って読んでみた。
それによれば、英国規格協会で禁止されているのは
素材がゴム、または、塩化ビニル樹脂のものだ。
私が購入したのは、ポリエチレン製。
ここで諦めたら、確実に湯たんぽを取り戻せない。
面倒だが、ダメ元でチャレンジしてみようと思った。
この湯たんぽは、ゴム製でも、塩化ビニル樹脂でもなく
ポリエチレン製である証拠を用意した。
具体的にはオンラインショップの商品ページに行き
湯たんぽの素材が説明されてた部分を
グーグル翻訳にかけた。
また、日本の安全規格であるSGマークが
ついていることも強調。
SGマークのウェブサイトに行き、SGマーク
についての説明ページもグーグル翻訳で英語にした。
グーグル翻訳になったものを、コピペして
MSワードに張り付けてドキュメントを作成。
そして、これらを税関庁に送り付け
湯たんぽを返して貰えるようお願いしてみた。
その後、数カ月間は音沙汰なしだった。
おそらく、湯たんぽは返して貰えないだろう
と諦めていた。
新型コロナのニュースばかりが目に入って、
湯たんぽのことはすっかり忘れていた。
そんなある日、再び、税関庁から手紙が来た。
手紙を開封すると予想外なことが。
「問題の湯たんぽは、輸入禁止の対象では
ありませんでした。お詫びを申し上げます」
という内容で、即、没収物を返して貰える
ということだ。
ただし、没収物にダメージがあった場合
税関庁では責任を負えないとあり、
それに同意するため、
書類にサインするよう指示があった。
その書類を提出してから2日後、
税関庁からエクスプレスのお届け便で
日本の湯たんぽ8つが無事に我が家に到着した。
ダメージがあるかどうか即確認したが、
すべて大丈夫だった。
あ~、本当にラッキー!
弟に郵送して貰ってから、半年後になったが、
やっと日本の湯たんぽを手に取ることができた。
ちょっと面倒ではあったが、
税関庁に掛け合ってみて良かったと思う。
お陰様で、冬の寒い夜を日本の温かい湯たんぽで
体を温めて貰い、快適に床につくことができている
良かった! 本当に有難う!