今日はニュージーランドの医療についてお話したい。
福祉国家(?)のニュージーランドでは
国民や永住権保持者は、国立病院での
受診、治療、入院費用は基本的には無料。
妊娠中のお世話や出産費用も国が負担してくれる。
でも、ちょっと理解しがたいことがある。
GP(General practitionerの略で、一般開業医のこと)
に診て貰う場合は、1回15分程度の診察で、
50ドル前後の診察料がかかる。
(最近の為替レートで計算すれば、3500円程度)
この国では、個人が直接病院へ行き、診察を受けれない。
(事故や緊急の場合は除く)
まずは、自分のかかりつけのGPに診断して貰い
必要があれば、GPが病院の専門医に紹介状を書く
という形だ。
日本に居た頃は、風邪をひいただけで
お医者さんへ行き、薬を貰って飲んでいた。
でも、この国では、単なる風邪くらいで
GPにかかる人は滅多にいない。
あまりにも症状が酷い場合や、
風邪をこじらせて、中耳炎などの
二次感染を起こした時のみ、ドクターに行く。
日本では、けっこう簡単に抗生剤が処方されるが
ニュージーランドの医者は、必要最低限の抗生剤
しか処方しない方針だ。
さもないと、細菌の薬への耐性が強くなり
将来、抗生剤が効かなくなることが懸念されるから。
そんなわけで、単なる風邪でGPに行っても
薬が処方されることはまずない。
パナドールなど市販の鎮痛剤を服用して
あとは、ゆっくり休養して治すのだ。
もし、それでも回復しなかったり、
もしかしたら、別の病気かもしれない
と疑う時に、初めてGPにお世話になるのが一般的。
GPは浅く広く病気の知識を持つ医者なので、
GPの手におえない場合もある。
そんなとき、初めて専門医に行くように指示される。
国立病院で専門医に診て貰う場合、
料金は基本的にはかからないが、
待ち時間はかなり長いのが一般的。
GPの紹介状の中で、患者の病気の程度が説明されており
重度の患者がウェイティングリストの上の方に入れて貰える。
でも、命にかかわらない軽度の病気の場合は、
専門医に会えるまで、何カ月も待つ場合もしばしば。
国立病院の専門医に診て貰い
手術が必要になった場合、手術日を予約する。
でも、もしその日に緊急の患者が入れば、
自分の手術が突然キャンセルになり
延期されるのも、よく聞く話だ。
こういう状況を避けたければ、
私立の病院に行くこともできる。
ただ、私立の病院に行く場合は、
医療費が半端なく高額だ。
経済的にかなり余裕がある人か、または、
民間の医療保険をかけている人だけが
私立の病院で治療を受けれることになる。
私立の病院に行く場合には
国立病院に比べれば、待ち時間は非常に短い。
また、どのドクターに診て貰いたいのか
自分の希望に沿って貰えることも多い。
入院した場合、病室は贅沢な個室で、
かなり豪華な食事やお茶(モーニングティー
アフタヌーンティー)が出てくる。
ただし、医療設備の点では
国立病院の方が優れているので、
大きな手術を受ける場合は、
国立病院の方が安心だろう。
ドクターについては、国立病院と
私立病院と両方の病院で勤務する医者が多い。
腕が良いと評判のお医者さんに
運よく国立病院で診て貰えることはあるが、
保証はされない。
特定のドクターに診て貰いたいなら
そのドクターが勤務する私立病院へ行く必要がある。
ニュージーランドでは、よっぽどのことがなければ
入院することはない。
入院しなければ、治療が困難という場合のみだ。
大抵の場合は、入院すること、イコール、手術を受けること。
簡単な手術であれば、日帰りのことが多い。
私は昔、子宮筋腫のため、子宮全摘出の開腹手術を受けた。
この場合も、入院期間は2泊3日だった。
出産時の入院期間も短く、
私の場合は、第一子では2泊。2番目の子供は、
朝、病院へ行き、昼頃出産。そして、夕方には帰宅した。
日本の人にこの話をしたら、驚かれたが、
こちらでは、日帰り出産はけっこう普通だ。