頑張っているのに、
なぜかうまくいかない!
周りの人は
ちゃんとできているのに、
自分だけができない!
そんな経験はないでしょうか?
「まだ努力が足りないのだろうか?」
「自分が劣っているからなのだろうか?」
そうやって自分を責め続けた結果、
ますます消耗してしまった人も
いるかもしれません。
しかし、うまくいかないのは、
努力や能力の問題ではなく、
自分の特性と今いる環境が
合っていない可能性があります。
この記事では、
「特性因子理論」という
心理学の考え方をもとに、
自分らしく力を発揮するための
ヒントをお伝えします。
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頑張っているのに、なぜうまくいかない?
一生懸命取り組んでいるのに
うまくいかないとき、
「自分に問題があるからだ」
と考えてしまうことがあります。
しかし、うまくいかない原因が、
必ずしも努力や能力の不足に
あるとは限りません。
むしろ、
自分の特性と今いる環境の相性が
よくないのかもしれません。
たとえば、静かな環境で
集中して作業することが得意な人が、
常に大勢の人と連携しながら動く
チームに配置されたとします。
一生懸命頑張っても
思うような結果が出ず、
消耗するばかりで、
自信を失ってしまうでしょう。
これは、
努力や能力に問題があるというよりも、
環境との相性が合っていないためだ
と考えられます。
また、
几帳面で丁寧に仕事を進める人が、
スピードと大胆さを最優先する職場に
身を置いたとき、
「思うように力を発揮できない」
と感じても不思議ではありません。
これも能力の問題ではなく、
その人の特性と職場環境との
相性の問題だといえるでしょう。
このような「相性」という視点を
持てるかどうかによって、
その後の選択や成長は
大きく変わります。
自分を責めるのではなく、
自分の特性を理解し、
それに合った環境を考えること。
その大切さを教えてくれるのが、
「特性因子理論」なのです。
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「特性因子理論」とは何か?
特性因子理論は、
20世紀初頭にアメリカで活躍した
職業指導の先駆者、
フランク・パーソンズの考え方を基礎として
発展した理論です。
パーソンズが示した職業選択の考え方は、
その後のキャリアカウンセリングや
就職支援にも大きな影響を与えました。
その基本的な考え方は、
とてもシンプルです。
人には、
それぞれ固有の特性があります。
そして、仕事や職場環境にも、
それぞれ異なる特徴があります。
自分と仕事の両方をよく理解し、
できるだけ相性のよい組み合わせを
見つけることが、
仕事を選ぶうえで大切だ
と考えるのです。
パーソンズは、
職業を選ぶための過程を
3つの段階に分けて説明しました。
一つ目は、自分自身の能力や興味、
適性などをよく理解することです。
二つ目は、
仕事の内容や求められる能力、
働く条件・環境などを
よく理解することです。
三つ目は、
その二つを照らし合わせ、
合理的に判断することです。
この流れは、
現在のキャリアカウンセリングや
就職支援にも受け継がれている、
基本的な考え方の一つです。
ここでいう「特性」とは、
能力や知識だけを
指すものではありません。
興味や関心、価値観、性格、
得意なことや苦手なこと、
疲れやすい状況、
反対にエネルギーが湧いてくる場面なども
含まれます。
一方、仕事や職場環境にも、
さまざまな特徴があるでしょう。
求められるスキル、
人間関係のあり方、
意思決定の速さ、チームの規模、
組織の文化などです。
特性因子理論では、
自分の特性と仕事や環境の特徴を
丁寧に照らし合わせていきます。
難しい理論のように
聞こえるかもしれませんが、
その本質はシンプルです。
「自分はどのような人なのか」
「どのような仕事や環境であれば、
自分の力を発揮しやすいのか」
この2つをよく理解し、
自分に合った選択を考えることが、
特性因子理論の基本なのです。
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なぜ自分の特性を知る必要があるのか?
「自分のことは、
自分が一番よく知っている」
そう思いたいところですが、
実際には、必ずしもそうとは限りません。
自分を知るということは、
思っている以上に奥が深いからです。
特に見落とされやすいのが、
「好きなこと」と「得意なこと」は、
必ずしも同じではないという点です。
たとえば、音楽が大好きな人が、
必ずしも音楽の分野で
才能を発揮できるとは限りません。
反対に、自分では
それほど好きではないと思っていた作業を、
気づけば人よりも速く、
正確にこなしていたということもあります。
「好きなのだから、得意なはずだ」
「得意なのだから、
きっと好きなはずだ」
そう思い込んでしまうと、
自分の特性を
見誤ってしまうかもしれません。
また、「得意なこと」も、
置かれた状況によって
発揮され方が変わります。
人前で話すことが得意だと思っていても、
大人数を前にして発表するとなると、
極度に緊張してしまう人もいます。
反対に、自分には
リーダーシップがないと思っていても、
小さなチームの中では
自然と周りの人をまとめ、
力を発揮できる人もいます。
つまり、
「得意かどうか」を考えるときには、
何をするかだけでなく、
どのような環境で
それをするのかも大切なのです。
自分の特性を深く知るためには、
次のような問いが役に立つでしょう。
どのような場面であれば、
自然と集中できるのか?
どのような人間関係の中であれば、
無理なく行動できるのか?
どのような失敗なら、
気持ちを切り替えやすいのか?
反対に、どのような失敗に
深く傷つきやすいのか?
何を成し遂げたときに、
本当の満足感を覚えるのか?
こうした問いは、
表面的な自己分析にとどまらず、
自分の特性の奥にあるものを
見つめるための問いです。
このように、
色々な角度から自分を見つめていくと、
見えてくるものがあるでしょう。
「自分には、このような環境が
合っているのかもしれない」
「このような状況では、
力を発揮しやすいのかもしれない」
そのような仮説を立てやすくなるのです。
自分の特性を知ることは、
仕事を選ぶときだけに
役立つものではありません。
人間関係の築き方や日常の過ごし方、
学び方にも応用できるでしょう。
自分の特性を知ることは、
自分を型に
はめることではありません。
むしろ、自分が
無理なく力を発揮できる場所や
方法を見つけるための、
大切な手がかりになるでしょう。
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合わない環境では力を発揮しにくい!
同じ人でも、置かれる場所によって、
まったく違う姿を
見せることがあります。
ある職場ではあまり発言せず
目立たなかった人が、
別のチームに移ったとたん、
生き生きと意見を述べるようになり、
周りからも頼られるようになる。
そうした話は、
決して珍しくありません。
これは、その人が急に
別人になったからではありません。
環境との組み合わせが変わったことが、
大きく関係しています。
人の行動や感情は、
その人の性格や能力だけで
決まるものではありません。
どのような場所にいるのか、
どのような人たちに囲まれているのか、
どのような役割を
求められているのかによって、
力の発揮され方は大きく変わるでしょう。
社会心理学者のクルト・レヴィンは、
「行動は人と環境の関数である」
という考え方を示しました。
難しく聞こえるかもしれませんが、
簡単にいえば、
人の行動は「その人自身」と
「その人が置かれている環境」との関係によって
生まれるということです。
この考え方は、個人の特性と
仕事や環境との相性を重視する、
特性因子理論にも
通じるところがあるでしょう。
「この人は、もともとこういう人だから」
「自分は、こういう性格だから」
そのように決めつけてしまうと、
見えなくなるものがあります。
本当は、その環境が、
その人のよさを
引き出していないだけかもしれません。
あるいは、
その人の特性を生かせる役割や機会が、
与えられていない可能性もあります。
自信についても、
同じようなことがいえます。
自信を持てるかどうかには、
環境との相性も深く関係しています。
自分の強みを発揮できる場所にいれば、
成功体験を積み重ねやすくなり、
しだいに自信も育っていくでしょう。
反対に、自分の強みを
ほとんど発揮できない場所にいると、
失敗や否定的な評価が重なり、
萎縮してしまうかもしれません。
しかし、それは
本人が弱いからとは限りません。
努力が足りないからとも限りません。
自分の特性と環境が
うまくかみ合っていないときに起こり得る
自然な反応の一つでしょう。
そのため、
今の環境で自信を持てないとしても、
それだけで「自分はできない人間だ」
と思う必要はありません。
今いる場所が、たまたま
自分の特性に合っていない可能性も
あるからです。
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検査やテストの結果は、あくまで参考の一つ
自分の特性を知るために、
適性検査や性格検査、
自己分析ツールを
利用することがあるかもしれません。
MBTIやクリフトンストレングス、
職業適性検査など、
現在は色々なツールがあります。
こうしたツールは、
自分を知る入り口として
役に立つでしょう。
自分では気づいていなかった傾向に
目を向けたり、
なんとなく感じていたことを
言葉にしたりするヒントになるからです。
ただし、その結果だけで
自分や他人を決めつけてしまうのは
避けたほうがよいでしょう。
「あなたはINFJです」
「あなたの強みは共感力です」
そのような結果が出たとしても、
それがすべての場面に
当てはまるとは限りません。
人の特性の表れ方は、
置かれた状況や
相手との関係によっても変わるからです。
仲のよい友人といるときにはよく話すのに、
知らない人が多い場所では静かになる。
プレッシャーの少ない環境では
自然とリーダーシップを発揮できるのに、
対立の多い職場では萎縮してしまう。
こうしたことは、
決して珍しくありません。
適性検査や性格検査だけでは、
このような状況や人間関係による違いまで、
十分に捉えきれないこともあるのです。
また、テストの結果を
「自分はこういう人間だ」という
固定的なラベルとして受け止めてしまうと、
本来なら広がっていくはずの可能性を、
自分で狭めてしまうことになるでしょう。
「私は内向型だから、人前では話せない」
「私は計画的に進めるタイプだから、
自由度の高い仕事には向いていない」
そのように思い込んでしまうと、
本当はできることまで、
最初から避けてしまうかもしれません。
検査やテストの結果は、
絶対的なものではない
と思ったほうがよいでしょう。
今いる場所や、これから進む方向を
考える助けにはなりますが、
それだけで人生の行き先が
決まるわけではないのです。
大切なのは、結果を
参考情報の一つとして扱うことです。
特性因子理論も、検査の結果だけで
人を固定的に
分類するためのものではありません。
自分の特性と仕事や環境の特徴を
照らし合わせ、
より自分に合った選択を考えるための
手がかりとなるものです。
したがって、検査やテストの結果に
縛られすぎる必要はありません。
日々の経験の中で、
「自分はこういうときに力を発揮しやすい」
「こういう状況では消耗しやすい」
「こういう人間関係の中では自然に動ける」
といった気づきを、
少しずつ積み重ねていくことが大切です。
その積み重ねこそが、
長い目で見れば、
より確かな自己理解に
つながっていくはずです。
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日常生活にも生かせるかも?
特性因子理論は、もともと
職業選択や職業指導のために
生まれた理論ですが、
その考え方は日常生活にも応用できます。
たとえば、人間関係においても、
この考え方は役立つでしょう。
「あの人とは、どうもうまくいかない」
と感じるとき、
それは相手が悪いのでも、
自分が悪いのでもなく、
お互いの特性や価値観が合っていないだけ
ということがあります。
特性の違いを
「相性」として捉えることで、
人間関係の摩擦を
相手への非難や自己否定に
結びつけずに済むでしょう。
相手を変えようとするよりも、
相性を冷静に見極め、
距離感を調整するほうが、
お互いにとって
建設的な場合もあるのです。
この考え方は、
子育てにも応用できるでしょう。
子どもにも、
それぞれ固有の特性があります。
大勢の中にいたほうが
集中しやすくなる子もいれば、
静かな環境でじっくり考えることを
好む子もいます。
みんなと一緒に行動することが
得意な子もいれば、
一人で取り組む時間があるほうが、
力を発揮しやすい子もいます。
「うちの子は、なぜできないのか」
と悩む前に、
「この子の特性に合った環境や学び方は、
どのようなものだろうか」
と問い直してみる。
そのような視点を持つことが、
子どもの力を引き出す鍵に
なるでしょう。
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おわりに
この記事では、「特性因子理論」という
心理学の考え方をもとに、
自分らしく力を発揮するための
ヒントをお伝えしました。
うまくいかないとき、私たちはつい、
「自分に問題がある」
「もっと努力しなければならない」
と考えてしまいがちです。
もちろん、自分を見つめ直したり、
努力を重ねたりすることは大切です。
けれども、そんなときこそ、
少し違う問いを投げかけてみても
よいのではないでしょうか?
「今の環境は、本当に
自分の特性に合っているだろうか?」
自分の特性を知り、
それに合う環境を探すことは、
逃げでも諦めでもありません。
自分の力をよりよく生かすための、
現実的な知恵です。
人は、どこにいても同じように
力を発揮できるわけではありません。
自分に合う場所に身を置くことで、
それまで発揮できなかった力が、
少しずつ表に出てくることも
あるのです。
「自分はダメな人間だ」
と思い込んでいた人が、
環境を変えたことをきっかけに、
自分らしく力を発揮できるようになり、
少しずつ自信を取り戻していく。
そうした変化は、
決して珍しいものではありません。
それは、その人の特性と環境が
うまくかみ合ったときに起こり得る
変化なのです。
自分を知ること。
自分に合う場所を探すこと。
そして、「合わない」と感じる状況を、
すぐに自己否定へ結びつけないこと。
これらは、自分を必要以上に責めず、
自分らしく生きていくための
大切な視点です。
特性因子理論は、
100年以上前に生まれた考え方です。
しかし、「自分を責める前に、
自分と環境との相性を見直す」という視点は、
今の私たちにとっても
大切な意味を持っていると思います。
自分を責める前に、
まずは問いかけてみてください。
「自分は、どのような環境で
力を発揮しやすいのだろうか?」
その問いが、
より自分らしい幸せな生き方へ
踏み出すための、
最初の一歩になるかもしれません。