子どもの困った言動に、
ついイライラしてしまい、
どう接すればいいのか
悩むことはありませんか?
そんなとき、
「力ずくで親の指示に従わせる」
あるいは
「つい子どもの言いなりになってしまう」――
こうした極端な対応では、
根本的な解決には至らず、
同じ問題が繰り返されるでしょう。
では、どうすれば
よいのでしょうか?
この記事では、
そんな状況を打破するための
ヒントをお伝えします。
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3つの対応パターン、あなたはどれを選んでいますか?
子どもと意見が食い違ったとき、
私たち大人は
どう対応しているでしょうか?
その対応は大きく
3つのパターンに分かれます。
一つ目は、
親の意見を押し通す対応です。
「とにかく言われた通りにしなさい」と、
子どもの言い分に耳を傾けず、
こちらの要求を一方的に突きつけます。
短期的には、従わせることが
できるかもしれませんが、
子どもは納得していないため、
同じ問題が再び起こるでしょう。
二つ目は、
親が折れてしまう対応です。
子どもの主張をそのまま受け入れ、
本来守るべきルールや
約束を守らなくても
よいことにしてしまいます。
一時的には争いを避けられますが、
子どもは自分の行動を
振り返る機会を失い、
社会性を育てる大切な経験も
逃してしまうでしょう。
そして三つ目は、
親子で話し合いながら
一緒に解決策を探る対応です。
これこそが、
真の意味で子どもの成長を促し、
親子関係を深める対応だ
といえるでしょう。
感情に流されず、
建設的な対話を重ねることで、
問題解決へと
導きやすくなるからです。
ここからは、このアプローチを
詳しく見ていきましょう。
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子どもの本音を引き出す――共感の力
このアプローチの出発点は、
子どもの内側を
理解しようとする姿勢です。
親の価値観や考えは
いったん脇に置き、まっさらな気持ちで
子どもの世界を覗いてみましょう。
声をかけるときは、詰問ではなく、
穏やかな問いかけから始めます。
たとえば「最近、勉強が思うように
進んでいないみたいだけれど、
何かあった?」といった一言です。
子どもがすぐに言葉にできなくても、
焦らないでください。
「今まで、こうして
話し合うことがなかったよね。
ゆっくり考えていいよ」と伝えて、
子どものペースを尊重します。
ここで気をつけたいのは、
子どもが「問題だ」と感じられることを
話してきたときでも、
否定したり、解決策を示したり
しないことです。
「じゃあ、こうすればいいじゃない」
と先回りすると、子どもは
「どうせ分かってもらえない」
と感じて心を閉ざしやすくなります。
「そんなことで悩んでいたの?」と
軽く受け止めるような言葉も
避けたほうがよいでしょう。
子どもにとっては、今まさに
切実な問題かもしれないからです。
この段階で親に求められるのは、
良いか悪いかを判断しようとせず、
ただ話を聞くことに徹する姿勢です。
中立の立場で話を受け止め、
たとえ心の中に
「それは違うのでは?」
という思いが浮かんでも、
いったん飲み込みます。
親の考えや感想を混ぜず、
子どもの言葉をそのまま受け取る。
それが、信頼を育てる
いちばんの近道になるでしょう。
話の流れがつかみにくいときには、
「もう少し詳しく聞かせてくれる?」
「どうしてそう感じたの?」と、
やさしく声をかけてみてください。
ただし、無理に
言葉を引き出そうとしないことが
大切です。
基本的には共感的に耳を傾け、
「そう感じたんだね」と
気持ちに寄り添う姿勢を保つことで、
子どもは少しずつ本音を
話してくれるようになるでしょう。
時間はかかりますが、
ここを丁寧に進めるかどうかで、
そのあとの展開は
大きく変わっていきます。
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一緒に問題の本質を見つめる
子どもの気持ちが
十分に理解できたら、
次は問題の核心に迫ります。
ここで親がすべきなのは、
子ども自身が気づいていない視点を
優しく示してあげることです。
たとえば、ゲームばかりして
宿題をしない子どもがいたとします。
子どもの言い分を聞いた後で、
「ゲームが楽しいのは分かるよ。
でもね、宿題を後回しにし続けると、
授業についていけなくなって、
もっと勉強が嫌になっちゃうかもしれない。
お母さんはそれが心配なんだ」
と伝えてみるのです。
大切なのは、
長期的な視点を提示すること。
今この瞬間は楽しくても、
先々どんな影響があるのか。
親として心配している具体的な点は
何なのか?
それを押し付けではなく、
情報として共有するのです。
ここでも焦りは禁物です。
「だからダメって言ってるでしょ」
と結論を急ぐのではなく、
子どもが自分の行動を
客観的に見つめる時間を持てるよう、
じっくりと対話を続けましょう。
お互いの心配事や考えが
完全に理解し合えるまで、
次のステップには進みません。
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子どもに考えさせる解決策づくり
いよいよ、具体的な解決策を
一緒に考える段階です。
ここで主役になるのは、
子ども自身です。
「じゃあ、どうしたら
この問題を解決できると思う?」と、
まずは子どもにアイデアを出させましょう。
最初に出てくる案は、
現実的でないかもしれません。
「ゲームは夜中までやって、
朝早く起きて宿題する」といった
無理のある提案や、
「宿題を減らしてもらう」といった
逃げの姿勢かもしれません。
それでも頭ごなしに否定せず、
「その方法だと、睡眠時間が足りなくて
学校で眠くならないかな?」と、
問題点を一緒に考えていきます。
子どものアイデアをベースに、
親が現実的な修正を加えていく。
この往復の中で、
「夕食後に宿題をしてから、
ゲームは2時間まで」といった、
双方が納得できる着地点が
見えてくるかもしれません。
重要なのは、
実現可能性を確認することです。
「この計画、できそう?
自信は何パーセントくらい?」
と聞いてみましょう。
6割以下の自信しかないなら、
計画を見直す必要があります。
自分で決めたことは、
行動の強い動機になるものです。
だからこそ、
子どもが納得するまで、
丁寧に案を練り上げましょう。
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対話を壊さないための6つの心得
子どもと対話をするとき、
私たち大人には
意識しておきたい点があります。
これから挙げる6つの点を意識することで、
子どもとの信頼関係を損ねてしまったり、
せっかくの話し合いが
台無しになったりすることを
防げるでしょう。
まず一つ目は、
大げさな表現を使わないことです。
「全然」「いつも」「絶対」といった言葉は、
子どもの心を閉ざしやすいものです。
たとえば
「どうして宿題を全然やらないの?」
と聞けば、「昨日はちゃんとやった」
と反発したくなるでしょう。
話の焦点が問題そのものから、
言い返すことへとずれてしまいます。
二つ目は、
完璧を求めすぎないことです。
「こうあるべきだ」という
親の理想が強くなりすぎると、
子どもの小さな努力や変化に
目が向かなくなります。
現実的に続けられることを大切にし、
今できている点にも
目を向けたいものです。
三つ目は、子どもが黙り込んだときに
待つ姿勢を持つことです。
沈黙は、
何も考えていない時間ではなく、
気持ちや考えを整理している
途中かもしれません。
親が先回りして話し始めてしまうと、
子どもが自分の言葉で
考えを表す機会を
失ってしまうでしょう。
四つ目は、
他の人と比べないことです。
「あの子はできているのに」という言葉は、
子どもの自尊心を傷つけるだけでなく、
親に対する反発心を生みやすくなります。
五つ目は、子どもの気持ちを
決めつけないことです。
「わざと困らせているんでしょう」
といった憶測は、
子どもを深く傷つけるからです。
親は子どものことを
分かっているつもりでも、
実際には理解できていないことが
多いものです。
そして六つ目は、
レッテルを貼らないことです。
「怠け者」「どうしてできないの」
といった言葉を繰り返し向けられると、
子どもはそのイメージで
自分を捉えるようになります。
その結果、自尊感情が傷つき、
「変わろう」とする意欲まで
失われてしまうでしょう。
これら 6つ の心得を意識するだけで、
対話はスムーズに進みやすくなります。
子どもが安心して言葉を選び、
自分の気持ちを伝えられる場を
整えることが、
建設的な親子の対話を支える
大切な土台になるでしょう。
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おわりに
この記事では、対話を通じて
子どもと一緒に
問題を乗り越えていく考え方と、
その進め方をお伝えしました。
この対話方法は、
時間も手間もかかります。
「それはダメ!」と声を荒げたほうが、
その場は早く収まるかもしれません。
ただ、そのやり方では
問題の本質に触れることはできず、
何も解決されないでしょう。
一方で、
時間をかけて対話を重ねながら、
子どもと一緒に解決策を見つけていくと、
子どもは少しずつ、自分の頭で考え、
自分の足で動く力を育てていきます。
この力は、人生を通して
役立つ大切な土台になります。
やがて親の手を離れたあとも、
自分なりに悩み、選び、
乗り越えていける力へと
つながっていくでしょう。
完璧を目指す必要はありません。
思うように進まない日もありますし、
途中で感情が
揺れることもあるでしょう。
それでも、「対話を大切にしよう」
とする姿勢を
手放さないことが何より大切です。
一方的に叱ったり、こちらの意見を
押し付けるのではなく、まずは共感する。
そして、そのあとで、
親としての考えを伝える。
最後に一緒に話し合い、解決策を探る。
簡単な方法では
ないかもしれませんが、
それが親子の関係を深め、
子どもの成長を内側から
支えてくれるでしょう。