部分的焦点付けを見逃すな!認知の歪みへの対処法

今回は、
私たちの多くが陥りやすい
認知の歪みの一つ、
「部分的焦点付け」について
お話ししたいと思います。

認知の歪みとは、
物事を見る際に
実際とは異なる見方を
してしまうことを指します。

たとえば、
物事をネガティブに考え過ぎたり、
事実よりも大きな問題だ
と思い込んでしまうことです。

この歪みが強いと、
不必要に不快感を覚えたり、
望ましくない行動を
取ってしまうこともあります。

多くの人が陥りやすい
共通の認知の歪みは
いくつかありますが、
この記事ではその中でも
「部分的焦点付け」という現象に
焦点を当ててみたいと思います。

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部分的焦点付けとは?

部分的焦点付けとは、
自分にとって不快な出来事や
ネガティブな情報に注意が集中し、
他の肯定的な情報が見えなくなる
認知の歪みのことです。

たとえば、
自分のプレゼンに対して、
聴衆の8割から
「素晴らしいプレゼンだった」
と高評価を受けましたが、
2割からは改善点が指摘されたとします。

この状況で、
多くの肯定的な評価を無視し、
少数の否定的な意見に
囚われて落ち込むのは、
部分的焦点付けの典型例です。

別のケースとして、
新しい髪型をした人が
多くの友人から「よく似合っている」
と褒められたにもかかわらず、
たった1人から「前の方が良かった」と言われ、
その言葉だけが頭に残り、
「この髪型は失敗だった」と後悔する場合も、
部分的焦点付けが働いています。

このような思考パターンは、
ストレスを増大させ、
心理的な問題を
引き起こす可能性があります。

そのため、辛いと感じたときには
自分の思考に
このような歪みがないかチェックして、
バランスの取れた視点に
戻すことが大切です。

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私自身の体験談

実は、私もかつて
「部分的焦点付け」に
陥ったことがあります。

小学校高学年のとき、
私は学校でいじめに遭いました。

当時、私は心の問題を抱えており、
普通に振る舞うことが
難しい場面も多かったからだ
と思います。

おそらく、クラスメイトにとって、
私は少し変わった存在に
見えたのでしょう。

クラスの何人かの子が
私の行動を笑ったり、馬鹿にしたり、
ときには暴力を振るうこともありました。

さらに、担任の教師も
私のことを理解する努力をせず、
むしろ冷たく扱いました。

それにより、
私は学校でとても辛い時間を
過ごしていました。

やがて、私は
学校へ行くこと自体が嫌になり、
登校拒否をする時期もありました。

私の両親は
この状況を受け入れられず、
ときには力ずくで
学校へ行かせようとしました。

このような状況下で、
私は周囲から受け入れられずに
絶望感にさいなまれました。

まるで真っ暗なトンネルに
迷い込んだかのような、
どうすることもできない時期を
過ごしたのです。

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歪んだ現実

極度のストレス下では、
周囲の現実を正しく認識することが
困難になります。

その結果、実際とは異なる現実が
見えることも少なくありません。

当時の私は、自分がすべての人から
嫌われていると感じました。

そして、
絶望的な気持ちになりました。

しかし、今振り返ると、
私は極端に偏った見方を
していたことがわかります。

担任の先生が私のことを
嫌っていた可能性はありますが、
30人以上いるクラスの同級生全員が
私を嫌っていたとは
今では思えません。

実際、何人かの同級生は
私に優しい言葉を
かけてくれました。

少数の生徒による酷いいじめが、
私の意識を常に占めていたため、
他の人々の優しさは
見えていなかったのです。

おそらく、一番現実的な見方は、
クラスの中には
私を嫌う人もいれば、
好意を持ってくれた人もいた、
ということでしょう。

そして、その他の多くの生徒は、
私のことに
それほど関心がなかったということです。

人は自分のことに最も興味を持ち、
他人のことには
あまり関心を寄せないものです。

しかし、当時の私は
精神的に追い詰められていたため、
客観的に物事を見ることができず、
非常に歪んだ主観で
現実を捉えていました。

そのため、すべての人から
嫌われてしまい、
自分は生きる価値がないとまで
感じていたのです。

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部分的焦点付けを克服するには

このように
部分的焦点付けは、
特定のネガティブな出来事や
詳細にばかり注意を向けて、
他の大切な情報を
見落としてしまう現象のことです。

この認知の歪みを克服するためには、
まず自分の自動思考に
気づくことが必要です。

私たちは日常的に
多くのことを考え、
無意識のうちに判断を下しています。

通常、思考や判断は
意識されることなく
行われている場合が多いのですが、
問題なく生活できているのであれば、
そのままでよいでしょう。

ただし、強いストレス下では、
自分の判断が狂い、物事の見え方が
現実からずれてしまうことも
少なくありません。

そうなれば、
さらなるストレスを生み、
もっと歪んだ現実が見えてきて、
悪循環に陥いる危険もあります。

そのため、
精神的な落ち込みや、強い不安、
睡眠や食欲などの体調の変化を
経験しているときには、
今起きていることに意識を向け、
自分の内にどんな思考が出てきたのか
見つけることが重要です。

そして、自動思考に気づけたなら、
その思考を一旦停止して、
客観的に見れるように
意識して努めることです。

たとえば、仕事でミスをして、
同僚に迷惑をかけてしまったとき、
「自分は無能なダメ社員だ」と感じて、
極端に落ち込むことがあれば、
その考えを一時停止し、
「本当にそうだろうか?」と
その思考を反証するような証拠を
探すようにしてみます。

すると、「先週は
うまく行ったことも
あったじゃないか」
と気づけるかもしれません。

また、そのミスは
自分が思うほど大きなものではなく、
あまり影響がないということも
あり得ます。

そのミスをしたことで
学べることや、改善点が
見えることも考えられます。

このように
ネガティブに感じる出来事に対して
意識して多角的な評価をしてみると、
気が楽になることでしょう。

プレゼンテーションで
少し失敗したと感じた場合も、
その失敗だけに注目するのではなく、
うまくいった部分や
得られた肯定的なフィードバックにも
目を向けることが重要です。

そうすることで、
自動的にしていた思考は、
正しい部分もあるかもしれませんが、
それがすべてではないと
分かるでしょう。

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ネガティブばかりに目が向きやすい人がやるとよいこと

ネガティブなことばかりに
目が向きがちな人におすすめの習慣は、
その日の終わりに
3つのポジティブな出来事を
書き出すことです。

日々の小さな幸せや成功を
メモに書き留めるとよいでしょう。

たとえば、
「散歩中に感じた風が心地良かった」とか、
「お昼に美味しいラーメンを食べた」とか、
「夜に面白いドラマを見た」など、
些細なことでもかまいません。

この習慣を
毎日意識して続けることで、
日々の小さな成功や幸せな瞬間を
より感じやすくなります。

すると、ポジティブなことにも
気づきやすくなり、
部分的焦点付けの認知の歪みに
陥りにくくなるでしょう。

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まとめ: 部分的焦点付けを乗り越える

今回は「部分的焦点付け」
という認知の歪みに
焦点を当ててお話ししました。

部分的焦点付けは、
自分にとって不快な出来事や
ネガティブな情報に注意が集中し、
他の肯定的な情報が
見えなくなる現象です。

人は強いストレス状態に陥ると、
思考が極端になりやすく、
判断に狂いが生じることもあり、
物事の見え方も
現実と大きく異なる場合があります。

これは誰もが
経験しうることです。

精神的な落ち込みや不安が強いとき、
食欲や睡眠などの体調の変化が
見られたとき、
今起きていることに目を向け、
自分の自動思考を
探してみるとよいでしょう。

どのような思考をしていたのか
気づくことができれば、
その思考を一時停止して
調整を試みることです。

部分的焦点付けを克服するためには、
ネガティブに感じる出来事に対して
一つの視点だけでなく、
多角的な評価を心がけることが
役立ちます。

また、ネガティブな出来事から学び、
将来に活かす方法を考えることも
有効です。

この記事が、過去の私のように
苦しんでいる人の
参考になれば、幸いです。