心をつなぐIメッセージ:伝え方の技術と注意すべきポイント

以前の投稿で、
相手に行動を変えてもらう
最も効果的なアプローチ方法
として、
Iメッセージを用いること
についてご紹介しました。

Iメッセージとは、
「私は」と始めて、
自分の感情や考え、
ニーズを伝える方法です。

一方で、Youメッセージ
という表現方法も存在します。

「Youメッセージ」は、
「あなたがいつも遅く帰ることで
問題が生じる」というように、
「あなたは~」で始める
表現の仕方を指します。

Youメッセージを用いると、
相手は「責められている」と感じて、
防御的、あるいは反撃的な態度を
取りがちです。

そのため、
Youメッセージではなく、
Iメッセージを用いて
自分の感情を伝えることが
望ましいです。

さらに、
Iメッセージを使用する際には、
怒りやイライラ、嫉妬、恨み、憎しみ
といった第二感情を述べるのではなく、
これらの感情の背後にある
第一感情を伝えることの重要性も
お伝えしました。

今回は、Iメッセージの際の
注意点に焦点を当てて
お話ししようと思います。

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即座のモード切替が大切!

Iメッセージは、
相手に伝わりやすい
とされていますが、
Iメッセージを用いたからといって、
必ずしも相手がすぐに
理解を示すわけではありません。

Iメッセージを
効果的に伝えるためのコツは、
一つのIメッセージを伝えた後、
伝えるモードから聞くモードへと
素早く切り替えることです。

そして、次は
相手の話をしっかり聞く姿勢を
取ることが求められます。

伝えるモードから聞くモードへ、
迅速にモードを
切り替えることが不可欠なのです。

その後、しばらく相手の話を聞いて、
相手の気持ちに十分共感を示した上で、
適切なタイミングで
二度目のIメッセージを伝えます。

二度目のIメッセージを伝えた後も、
再び聞くモードに切り替え、
相手の話に耳を傾けます。

このように、
伝えるモードと聞くモードを
何度か繰り返すことで、
相手との相互理解が深まり、
自分の要望も
受け入れてもらいやすくなるわけです。

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なぜモードチェンジが必要なのか?

なぜモードチェンジが必要かというと、
自分の意見だけでなく、
相手の意見も真摯に聞くことが
大切だからです。

これは、
二人の子どもが一緒に遊ぶ際
おもちゃを共有することに
似ています。

一人の子どもが
ずっとおもちゃを独占して遊んでいたら、
もう一人の子どもは
楽しめません。

交互におもちゃを使い、
共有することで、
二人とも楽しい時間を
過ごすことができるのです。

会話をする際にも、
この「話のおもちゃ」をお互いに
渡し合うことが必要です。

自分の気持ちを伝えることは、
おもちゃで遊ぶことに似ていますが、
それだけでは不十分でしょう。

相手にも「話のおもちゃ」を渡し、
相手の話を聞くことが
大切なのです。

それにより、
双方の間に信頼と理解が
築かれやすくなるからです。

もし、一方がずっとおもちゃを独占し、
もう一方に触らせなければ、
相手は退屈して不満を持つでしょう。

同様に、
自分の意見ばかりを一方的に伝え、
相手の話を聞かなければ、
相手は面白くないと感じるものです。

相手の気持ちを真摯に聞くことで、
相手も自分を理解してくれている
と感じやすく、
より心を開く可能性が高まるわけです。

その結果、自分の願いも
受け入れてもらいやすく
なるでしょう。

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自己受容ができないとIメッセージはしにくい!

効果的にIメッセージで伝えるには、
怒り・イライラ・嫉妬・恨み・憎しみ
といった攻撃的な第二感情ではなく、
その背後にある第一感情を
伝えることが重要です。

ネガティブな第一感情とは、
悲しみ、不安、孤独感、がっかり感、
残念感、無力感、絶望感、みじめな気持ち、
劣等感、後悔、焦り、羞恥心、落ち込み、
喪失感、虚しさなどの感情を指します。

これらの第一感情を伝えるためには、
自己受容が必要不可欠です。

自己受容が不十分だと、
自分の第一感情を伝えることに
ブレーキがかかり、どうしても
怒り・イライラ・嫉妬・恨み・憎しみ
といった攻撃的な第二感情にすり替えて
相手に伝えてしまいがちです。

そうなれば、Iメッセージではなく、
Youメッセージに
なってしまうでしょう。

第一感情を伝えることは、
自分の弱さをさらけ出し、
支援を求めることと同じです。

自己受容ができていない場合、
自分の弱さを受け入れたり、
助けを求めたりすることは
なかなかできないでしょう。

助けを求めて拒否された場合、
そんな惨めな自分を
受け入れることも困難だからです。

そのような理由から、
第一感情を伝えることに
ためらいを感じてしまうのです。

「自分が悪いわけではないのに、
なぜ自分から謙虚になって、
自分の弱点を露呈したり、
相手に助けを求めなければ
ならないのだろう?
まるで負けを認めるようで嫌だ」
という心境に陥りやすく、

結果として、自分の第一感情を
Iメッセージで伝える代わりに、
相手に対する改善点を
Youメッセージで
指摘してしまうことになるでしょう。

自己受容ができるとは、
自分のありのままの感情を否定せず、
受け入れることを意味します。

自己受容が深まれば深まるほど、
自分の第一感情を
素直に伝えやすくなり、
また相手の話を受容的に
聞けるようになるものです。

したがって、日頃から
自己受容を深めるための練習に
取り組むことが大切です。

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例外があることもお忘れなく

Iメッセージの使用時には、
怒りやイライラ、嫉妬、恨み、憎しみなどの
攻撃的な第二感情を避け、
その背後にある第一感情で
伝えることの大切さについて
説明しました。

しかし、すべての状況で
この方法が適切とは限りません。

たとえば、相手が自分の境界を
無視するような言動をとる場合や、
無神経に心の中に
侵入してくるような場合、
単に「私は悲しい」とIメッセージで伝えても、
相手がその言動をやめないかもしれません。

このような状況では、真顔で
毅然とした態度を持って、
強めの口調で
「私はあなたの態度に怒っています」
と伝えることが必要です。

ここで大切なのは、
相手の不適切な行為を断固として
拒否する姿勢を見せることです。

この場合、相手にはっきりと
自分の感情を伝えるには、
真剣な態度で臨むことが重要で、
笑顔ではその重みは伝わりません。

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まとめ:Iメッセージを上手に使おう!

この記事では、相手にお願いを
受け入れてもらうために、
Iメッセージを活用する際の
ポイントに焦点を当てました。

Iメッセージを効果的に使うには、
まず一つのお願いを伝えた後、
すぐに相手の立場を聞くモードに
切り替えることが重要です。

そして、相手の気持ちに共感し、
適切なタイミングで
再び伝えるモードへと移行します。

このように、
伝えるモードと聞くモードを
適切に交互に行うことで、
Iメッセージを使った
コミュニケーションの成功率は
向上するでしょう。

Iメッセージで大切なのは、
怒りやイライラ、嫉妬、恨み、憎しみ
といった攻撃的な第二感情ではなく、
その背後にある第一感情を
伝える点です。

第一感情を素直に表現するには、
自己受容がしっかりと
できていることが必要です。

どのような感情であれ、
自分のありのままの感情を
受け入れる練習をすることで、
自己受容が深まり、
これにより、Iメッセージで
第一感情を用いて
相手に伝えやすくなるでしょう。

また、自己受容が進むほど、
相手を受け入れる力も高まり、
その効果はさらに倍増します。

ただし、相手が自分の境界を
無視する言動を取る場合など、
Iメッセージで第一感情を伝えるだけでは
不十分な場合もあります。

そのような例外的な状況では、
第二感情を毅然とした態度で
伝える必要があるかもしれません。

一つの方法がすべての状況に
適用できるわけではないため、
柔軟に対応し、ケースバイケースで
適切に行動することが求められるでしょう。