日本のオンラインストアA社のカスタマーサービスに電話をした。ダイヤル後、呼び出し音もなく、すぐに自動電話応答サービスに繋がった。「A社カスタマーサービスにお電話頂き、有難うございます。商品に関するお問い合わせは『1』、ご注文についてのお問い合わせは『2』…..」 アナウンスの指示通り、私は適切なボタンを押した。
最近は、カスタマーサービスに自動電話応答を使う企業も多い。この点は、日本もニュージーランドも変わりない。しかし、ボタンを押した後の違いは大きかった。呼び出し音が3回ほど鳴ってから、すぐに人間が応答してくれた。日本に住む人なら、これが普通だと思うだろう。しかし、ニュージーランドでは、そうではない。今回、私はあまりの早さに驚いたと同時に、とても感激した。
我が家は、電話、電気等のユーティリティー関係の問い合わせをすることが多い。自動電話応答サービスで適切な番号のボタンを押した後、あまりにも待ち時間が長いので、ウンザリしたことも多い。人間が応答するまでに、なんと1時間以上も待たされることもしばしばあるからだ。
ある時は、最初に人間が出てくるまで、70分間待った。やっと繋がり、やれやれと思い、用件を伝えたら、「少々、お待ちください」とのこと。それから5分くらい待たされた後、突然、電話は切れてしまった。未だ何も問題解決していないのに。
仕方ないので、再びカスタマーサービスにダイヤルし直した。インターネットが繋がらないという不便な状態だったので、早急に対処して貰いたかったからだ。かけ直しの電話も、人間が応答するまで1時間ほど待つはめになった。結局その日は、この問い合わせのために、半日近く時間を費やしてしまい、悔しい思いをした。
ニュージーランドでは、こういう場合でも、お客さんに対して謝罪がないのが普通だ。また、「我が社のサービスをご利用頂き、有難うございます」という姿勢も全くない。それよりも、サービスを受ける側のお客さんが「有難う」とお礼を言う場合が多い。
スーパーマーケットで買い物をする時も同様だ。会計を済ませた後、お客さんがレジの人に「有難う」と言い、レジ担当の従業員は「どういたしまして」と言うだけ。「当社をご利用いただき、有難うございます」なんていう言葉は一切ない。
日本では、お客さんが我が社のサービスを利用してくれたり、商品を購入してくれたりするから、商売繁盛して、お陰で会社経営が成り立っている、と考える。だから、お客さんに対しても、感謝の気持ちを見せる。その一方、ニュージーランドでは、こんなに素晴らしいサービスを提供してあげたのだから、客は我が社に感謝しろ、という姿勢だ。まあ、どちらが良い悪いということではないのだろう。単なる、文化や考え方の違いなのだと思う。
ニュージーランドのやり方にすっかり慣れた私にとっては、昨日の日本のカスタマーサービスには、本当に驚いた。人間が電話に応答するまでの時間が短いだけでなく、繋がってから、的を得た対応や、丁寧で親切なサービスにも感激した。
用事が済んで、電話を切る前には、「当社をご利用頂きまして、誠に有難うございます。今回はご迷惑をおかけしまして、申し訳ありませんでした」とお礼とお詫びの言葉もあった。親切に対応して頂き、こちらの方がお礼を言いたいほどだった。
やはり、日本の顧客サービスは素晴らしい! 昨日、私に応対して下さったカスタマーサービスの方、本当に有難う! 電話を切った後は、大満足して、清々しい気分になれた!