今回は、
ゼロ・ヒャク思考をやめれば、
人間関係の悩みは激減する
という話。
人間関係であれこれ悩む原因が、
ゼロ・ヒャク思考から
くることが多いからだ。
さっそく詳しく解説したい。
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まず最初に
ゼロ・ヒャク思考とは
どんなものか?
それは、
物事を評価したり、判断する際、
ゼロ(0)か? ヒャク(100)か?
のどちらかでしか考えないこと。
物事の白黒をはっきりさせる
「白黒思考」と似たようなもの。
ゼロ・ヒャク思考の場合は、
0と100の間にある
74とか、38とか、88とか
中間値がつくことはない。
白黒思考のケースも、
白と黒の間にある
幅広いグレイのグラデーション部分は
全く無視される。
これらの考え方は、
2分割思考とも呼ばれ、
「正義」でなければ「悪」。
「味方」でなければ「敵」。
というように、物事に中間を認めず、
すべてのことを2つに
スパッと分けるもの。
今まで「味方」だと思っていた人が、
自分のことを少し批判しただけでも、
すぐに「敵」に変ってしまう。
100パーセント味方でなければ、
味方ではないからだ。
2分割思考では、
90パーセント味方だ
という中途半端な物の考え方は
一切しないのだ。
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人間関係において
ゼロ・ヒャク思考をすれば、
具体的にどんな関係になるか?
ゼロの場合は、
「私はこの人が嫌いだから、
この人とは全然関わらない」
というふうに一切関係を持たないこと。
それに対して、ヒャクの場合は、
ものすごく仲良しで、
お互いを理解し合い、
互いの期待に常に応えるような
親密度のかなり高い関係。
ゼロ・ヒャク思考をすれば、
人間関係は極端になりやすい。
しかし、
ゼロの人間関係も、
ヒャクの人間関係も
実際には非現実的だ。
たいていの人間関係は
その中間にあるのが
適切だからだ。
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私たちの多くが一日のうちでも
大半の時間を過ごす職場での
人間関係を考えてみよう。
職場の人たちと仲良くするのは
望ましいことだが、
ここでヒャクの人間関係を
求めてしまえば、どうなるだろうか?
同僚と仲良しグループを作ったり、
職場で親友を得ようと頑張る。
仲良くなりたいがために
自分は相手に気遣いして、
必死になって親密な関係を目指す。
でもその割には、相手は
自分に振り向いてくれない。
自分の期待は裏切られて、
イライラを感じたり、
相手に敵意を抱いたりすることも
しばしばだ。
親しい仲になれないことに
がっかりして、
そのことを嘆き、悩み始めてしまう。
そうなれば、
自分も精神的に疲労する。
仲良くなるのが当然だ
と思い込んでいれば、
そうならない事実が問題を生み、
そのせいで苦しんでしまうことも
頻繁に起きる。
最初のうちはヒャクの関係を
目指して精一杯頑張っていたのに、
自分の期待が裏切られた
と分かった時点で、ゼロの関係に
落ちてしまう。
思い通りに動いてくれない人に
悪意を感じるようになり、
嫌悪感を抱き始める。
そして、同僚に対して、
よそよそしい態度を取ったり、
嫌味を言ったり、意地悪したりすることも
珍しくない。
相手の立場でも、
そのように接しられれば、
嫌な気分になるから、
お互いの人間関係は
徐々に崩れてゆくことになる。
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なぜ、こんなことが
起きるのだろうか?
その理由は次の通りだ。
本来、職場での人間関係は
ゼロでもなく、ヒャクでもなく、
その中間の50くらいが適切だ。
会社という組織の中では、
協力して業務をこなすのに必要な
人間関係を維持できれば、十分。
それなのに、
人間関係で悩む人の多くは、
ヒャクの関係を獲得したく、
無理な努力をしてしまう。
でも、頑張った割には、
良い結果を得ることはできず、
失望することになる。
それと同時に
相手に対して敵対心を抱き始め、
今度はゼロの関係に落ちる。
しかし、ゼロの関係では、
チームで協力し合いながら
仕事するのも困難なので、
ここで再び問題が起きるのだ。
最初から、職場の人間関係は
必要最低限の50くらいを
意識していれば、
こんなことは起きないだろう。
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ではなぜ、
職場でヒャクの関係を
目指してしまうのか?
その理由の一つに
その人の育ちがある。
小さな子供の頃から、
なんらかの事情により、
親からの愛情を
十分受け取れなかった。
そのため、大人になっても、
精神的に未熟で満たされておらず、
愛情飢餓状態にある。
人間関係は、
時と場所、場合に合わせて
全く異なる関係性が
期待されているのに、
愛情飢餓状態にある人は、
正しい人間関係の距離を
理解できない。
適切ではない場所でも、
不必要なほど親密な関係を求めて、
自分の欲求を満たして貰おう
と頑張ってしまうのだ。
それにより、無理が生じて、
上手く行かず、
がっかりすることもしばしば。
また、愛情に飢えている人は、
人間不信の側面も
同時に持ち合わせている。
その背景には、
機能不全家庭に育ち、
幼少期より親から酷い目に
遭わされてきた事実も
隠れている場合が多い。
自分の努力が裏切られれば、
「この人は大嫌いだ!」と思い、
その後は、もう絶対に
その人とは関りを持ちたくない
という姿勢に変る。
ある時点で、ゼロの関係性に
いきなり落ちてしまうのだ。
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もし、
人間関係で悩むことが多ければ、
「自分は人間関係において
ゼロ・ヒャク思考をしていないか?」
自問自答するとよいだろう。
もしかしたら、職場のような場所で、
必要以上の人間関係を
自分は求めていないだろうか?
それが原因で上手く行かず、
失望により
嘆き悲しんでいないだろうか?
もしそうであれば、
ヒャクの関係を求めるのはやめて、
「中間値でいいや」と妥協すれば
気持ちもラクになる。
職場で仲良しの友達ができれば、
それはかなりラッキーなこと。
できなくても当然なので、
がっかりする必要はない。
職場という場所であれば、
業務を一緒にこなすために
必要最低限の50でよし
と割り切ってしまった方が賢明だ。
そういう気持ちになれれば、
相手に過度な期待を
することもない分、
裏切られることもない。
同時に
自分も相手に対する心遣いで
無理しすぎることもないから、
不必要に心的エネルギーを
すり減らすこともなくなる。
要は、近すぎもなく、
遠すぎもない関係性を
保ってゆくのが理想的だ。
このことが分かれば、
人間関係の悩みも
激減するに違いない。