今回の話は、
良好な人間関係を保ちたければ、
避けたほうがよいこと
について。
このことは、特に
上下の関係に
当てはまる場合が多い。
結論を最初に話せば、
上の立場にいる人が、
下の立場の人に対して、
自分のアドバイスに従うよう
強要すること。
上の人は善意で
良かれと思ってやっているが、
結果的には、良いどころか、
望ましくない方向へ
進んでしまうこともしばしばだ。
その結果、
せっかくの人間関係が
苦しいものになったり、
壊れてしまうこともある。
かわいい後輩に
「これを教えてあげたい」
と思う優しい気持ちは分かるが、
「参考程度に聞いてね」
という以外は、
自分のアドバイスは
押し付けないほうが無難だ。
なぜ、そうなのか?
詳しく解説してゆきたい。
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自分はこういう方法で
成功できた。
こうやったら、
上手く行った。
そんな経験があれば、
「自分のやり方が一番だ」
と確信するようになるだろう。
そして、近くにいる
自分よりも目下の人にも
そのことを教えてあげたくなる。
アドバイスされた側は、
その勧めを聞いて、
しっくりくると感じられて、
自分も試してみたい!
と心底思えれば、問題ない。
しかし、先輩の親切心が
後輩にとっては、欲しくもない
お節介になることもよくある。
特に、上の人が
自分が良かれと信じることを
強引に押し付けるようなら、
下の人はかなり迷惑を被る。
親切心でやっている
正しいと思われるアドバイスは、
やっている本人は
あまり自覚することなく
無意識でしている場合が多い。
しかし、自分では気づいてないが、
大切だと思う人に
不当なプレッシャーを与え、
苦しめてしまうことも珍しくない。
上下関係のみならず、
どんな人間関係でも、
アドバイスは、する側も、される側も
「参考程度」にしておく姿勢が
大切だ。
誰かに何か良いことを
教えてあげたいのなら、
「これは私には役立ったから、
参考にしてみてね」と
軽く教えてあげてもいい。
でも、それ以上は、
勧めないことだ。
聞く側は、役立つ話を
そのまま鵜呑みにすることなく、
「自分にとっては、
どうなのか?」を
しっかり考えたほうが賢明だ。
「とてもしっくりくる!」
と感じるのなら、
積極的に取り入れてもよいが、
そうでない場合には、
単なる一意見として
聞いておこう。
何をやるにしても、
最終的にはやる本人が
決断するべき。
自分で選んで、自分で決めて、
自分で行動して、
その行動の結果は、
自分で責任を取る。
これが自立した人の心構えだ。
アドバイスは
単なる参考意見にすぎず、
他人から一方的に
押し付けられるものではない。
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有益なアドバイスなのに、
なぜ、押し付けては
いけないのか?
その理由は、
そのやり方で成功した人には、
その方法が当たり前で、
一番良いと思われるが、
自分以外の
すべての人にも
それが通用するかと言えば、
必ずしもそうとも限らないから。
自分は、このやり方で
上手く行っても、
他の人にも同じことが
当てはまるわけではない。
なぜなら、
人間は千差万別だから。
一人一人が全く違う
ユニークな存在だからだ。
性別も、年齢も、
生まれ育った環境も、
考え方、価値観、受けた教育も違う。
更に言えば、
能力、性格、資質も、
得意不得意、向き不向きも、
同じではない。
自分にとっては
これが絶対的に正しいと
思われることでも、
隣にいる人にとっては、
正しくないことも
沢山あるのだ。
自分は常識だと思っても、
その常識は万人に
通用するものではない。
こうやったら、
自分は成功できたのなら、
それは自分にとっては、
確実に正解なのだろう。
ここで重要なのは、
「自分にとっては」の部分。
自分にとっては
正しくても、
他人にとっては
必ずしも正しくない。
このことを認識することは、
非常に重要だ。
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自分にとっての正解を
大切な人に強要した場合、
どんなことが起こり得るか?
後輩は「このようにやろう」
と既に決めているのに、
先輩にとっては、
後輩の考えることは、
間違っていると感じられる。
後輩の考えることと
自分がやったこととが
異なるからだ。
先輩は、
これで上手く行ったから、
「これが正解だ」と
心の中で確信している。
だから、先輩は後輩に対して、
「そうやったらダメだよ。
こうやった方がいい」
と後輩のやり方を否定して、
自分のやり方を押し付ける。
先輩の立場では、
全くの親切心で
後輩を指導しているつもりだ。
悪気など
これっぽっちもない。
しかし、この先輩の行為は、
後輩にとっては
将来的に悪い結果につながり、
望ましくない方向へ進んでしまう
リスクも高い。
なぜなら、
他人からアドバイスを強要されて、
後輩は自分のやり方を試せずに、
自らの可能性を潰されてしまうから。
そうなれば、
後輩は自立の機会を奪われる。
先輩が後輩を助けるつもりで
やったことでも、
長期的視点に立てば、
後輩の役に立つどころか、
後輩の依存心を強めて、
自立を妨げてしまうだけだ。
先輩が後輩に手取足取り
親切に教えてあげることで、
後輩は自ら考えなくなり、
自分で決断する機会もなく、
先輩に依存する方向へ動く。
その結果、後輩の
自立する力は養われず、
誰かに依存しないと
生きて行けなくなる。
自分一人では何もできず
他人に依存するようになれば、
依存された側も負担を負い、
人間関係は不健全になる。
依存の関係は、
お互いをツラくして、
最終的にはせっかくの人間関係を
壊してしまうこともある。
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下の人が自立できるよう
先輩は後輩の意向を尊重して、
後輩の自立を促す姿勢のほうが
望ましい。
そのためには、
自分にとっての正解や常識を
相手に強要するのはやめて、
単なる参考意見として
聞いて貰うだけに留めることだ。
実際にどうやるのかは、
やる本人に決めさせる。
やる本人が
自分で選んで、自分で決めて、
自分で行動して、
その決断と行動の結果は、
自らが責任を持つ。
このプロセス中に、
先輩は後輩に参考になる話を
提供するのはあり。
しかし、
相手に有無を言わせずに、
一方的に押し付けるのはNGだ。
たとえ、自分にとって
それが絶対的に正しい
と思われることでも、
相手に強く勧めるのは
感心できない。
もしかしたら、後輩は
先輩のアドバイスを聞かずに、
自分のやり方でやって、
失敗するかもしれない。
そんな後輩の姿を見て、
「だから言っただろ!
俺のやり方のほうが
正しかったではないか!」
と言いたくなるだろう。
しかし、この態度も
よろしくない。
たとえ失敗しても、
それは後輩にとっては
貴重な学びのチャンスだからだ。
「こうやったら
上手く行かないんだ」
と学習することができて、
この学びをその後の人生で
活かすことが可能だ。
「失敗させないほうがいい」
と考える人も多いが、
実際には、決してそんなことはない。
人は失敗により学び、
それを糧にして、
その後の人生をより豊かに生きられる。
大切な人に失敗や間違いを
させないように
と思うことは、親切なことではない。
その人から貴重な学びの機会を奪い、
成長や自立を
妨げる行為に他ならない。
自立する機会を奪われた人は、
誰かに依存しなければ、
生きていくのが困難だ。
そうなれば、最終的には、
不健全な依存の関係を
作り出してしまうだけだ。
良かれと信じるアドバイスを
一方的に押し付けたのがきっかけで、
相手を不幸にしてしまうことも
あり得るのだ。
アドバイスは、
する側も、される側も
「参考程度にすること」が一番!
自分にとって正しいことでも、
他人にとっては必ずしも
正しくないこともあるからだ。
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もう一度、私が強調したいことを
繰り返せば、次の通り。
人間は本当に
色々な人がいる。
皆、それぞれ全然違う
ユニークな存在だ。
自分にとって
これが正解であり、
当たり前の常識でも、
他の人にとっては、
必ずしもそうではないと
心得ておくといい。
だから、どんなことでも、
良かれと思うことを
他人に押し付けるのはよくない。
他人の役に立ちそうだ
と思ったら、
「これ、参考程度に聞いて」
と軽く教えてあげるだけで十分だ。
それ以上、押し付けることは
やめよう!
アドバイスを受け取る側も、
自分にしっくりくれば
それに従ってもいい。
しかし、そうでなければ、
単なる一意見として
聞くだけにする。
そして、
自分でしっかり考えること。
最終的には自分で選び、
決断して、行動することだ。
そうすることで
自分は自立できるようになる。
依存による不健全な人間関係で
苦しむのではなく、
お互い自立する個々が
健全に協力する関係のほうが、
より幸せで素晴らしいものだ。
良好な人間関係を維持したければ、
独りよがりのアドバイスは
絶対に避けよう!