今回の話は、
メンタルを病むことなく、
良好な精神状態を保つために、
身につけると
役立つマインドセットについて。
健全なメンタルヘルスのために
実践するとよいことは沢山ある。
睡眠、運動、食事面で
気遣いしたり、
仕事の仕方を工夫したり、
考え方に注意を払ったり…
今回は、その中でも
一つの大切な考え方
についてお話したい。
この考え方で生活できれば、
ストレスも軽減され、
自分も
ラクになるだけでなく、
他者との人間関係も
改善されて、
より幸せに
生きられるようになる。
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早速、その大切な考え方とは、
「過剰な期待をしない」
ということだ。
自分に対しても、
他人に対しても、
過度な期待はやめること。
この根底にある考えは、
「人間はそもそも
不完璧な存在である」
ということだ。
不完璧な生き物である私たちが、
完璧を求めれば、
頑張りすぎて無理が出る。
そして、この無理が度を越せば、
メンタルを病む原因となる。
「できて当たり前」
のマインドセットを持てば、
多くのことに満足できない。
なぜなら、「完璧な状態」は、
滅多にないことだから。
時々見る
「すべてがパーフェクト」
という状態は、
たまたま偶然起きる
稀なことだ。
それ以外の多くのことは、
どこかが足りていなくて、
「不完璧な状態」だ。
「不完璧なこと」を
悪く捉える人もいるが、
実は、この世の中では
「不完璧なこと」は
当たり前であり、普通のことだ。
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不完璧を受け入れられず、
完璧を常に追い求めれば、
不幸感が増すだけだ。
完璧でないからと言い、
不満に思う気持ちが強ければ、
心の状態は
いつもイライラしている。
フラストレーションが溜まり、
欲求不満も増大する。
心の平穏からは
ほど遠い状態になってしまう。
「自分は完璧にできないから」
と嘆いていれば、
自己肯定感も下がる。
できない自分を責めれば、
惨めな気持ちになり、
自分で自分を
苦しめることになる。
他人に完璧を求めて、
自分の期待に応えてくれない
相手を責め立てれば、
その相手も不愉快になり、
ツラくなるのと同時に、
お互いの人間関係も
悪化させて、
両者が不幸になる。
不完璧は当たり前、
できないのが当たり前なのに、
無理に完璧に固執すれば、
裏切られることもしばしばで、
苦しくなり、
そのうちに、
精神を病んでしまう。
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健全に、幸せに、
生きるためには、
「できて当たり前」
のマインドセットから、
「できなくて当たり前」
のマインドセットに
切り替えることが効果的だ。
「できなくて当たり前」
と心底受け入れられれば、
自分に対しても、他人に対しても、
過度の期待がなくなる。
人間は不完璧な生き物。
できなくて当然。
欠点があって当然。
ミスをして当然。
弱さがあって当然。
いけないことだと
分かりながら、
時には、そのいけないことを
やってしまう愚かさもある。
自分で「~しよう」
と決めたのに、
それができないこともある。
そんなのは、
すべて当たり前のこと。
普通に起きることだ。
自分に対しても、
他人に対しても、
不完璧さを
許してあげることが、
私たちに心の平穏を
与えてくれる。
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こういう話をすれば、
「どうせ完璧にできないのだから、
頑張る必要はないんだね」
と言う人がいる。
しかし、そういうことを
言いたいわけではない。
頑張ることも素晴らしい。
頑張ること自体が
悪いのではなく、
良くないのは、
完璧を目指すばかりに、
過度に
頑張りすぎてしまうこと。
その過度な頑張りの背景には、
「完璧な状態」への
強い執着があることだ。
強さの程度が、
病的に感じられるほど
酷く固執していること。
これが
人を病ませる原因になる。
それよりも、
大きな心の負担にならないほど、
自分のペースで頑張って、
昨日の自分よりも、
今日の自分の方が
少しだけでも良くなることを、
狙った方が健全だ。
小さな進化や成長に
満足すること。
決して
完璧ではなくても、
完璧な状態に
一歩でも近づければ、
それで十分だと喜べることが
大切だ。
常に小さな向上を目指し、
無茶することもなく、
過度なプレッシャーもなく、
ちょっとずつ
成長してゆければ
それで十分なのだ。
これなら、自分もラクだし、
長期間継続させるのも
簡単にできる。
心の状態もより穏やかで、
より前向きになれるはず。
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過去の私を含めて、
メンタルを病みやすい
人たちの多くは、
「完璧であること」に
執着しすぎて、
そうできない自分を責め、
不必要に
心を疲弊させてしまう。
自分で自分の首を
絞めるようなものだ。
他人に対しても、
高い基準を期待するので、
裏切られることも多く、
がっかりするばかりだ。
それにより、相手を責めれば、
相手も迷惑に感じて、
自分と相手との
人間関係も壊れる。
人間関係のストレスで
お互いが嫌な思いをして、
不必要に
心的エネルギーをすり減らし、
非協力的、非建設的な
結果となってしまう。
とても残念なことだ。
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こういう残念な状況を
防ぐためにも、
今まで自分の中にあった
「できて当たり前」
を捨ててしまった方がいい。
その代わりに、
「できなくて当たり前」
を前提にすることだ。
一生懸命頑張っていても、
人生思い通りにならないことも
しばしば起きる。
失敗が続いてしまうことも
普通にある。
そんな時でも、
「できなくて当たり前」
が心の中にあれば、
「まあ、しょうがない」
とできない自分を
許してあげれる。
他人のやることが
イマイチ良くないと思えても、
「まあ、そんなものか」
と軽くスルーできる。
「できなくて当たり前」
を前提にしていれば、
心に余裕が出るので、
相手に対しても
優しい気持ちになれる。
「自分の期待には
沿えてなくても、
彼は頑張ってくれているな~」と
感謝の気持ちまでが
湧いてくることすらある。
過剰な期待をすることで
「できないこと」を責めるのは、
大きな精神エネルギーを
無駄にすり減らすだけで、
建設的、生産的からは
ほど遠い。
「できなくて当然だ」
と過度な期待がなければ、
その分、不必要に
心的エネルギーを
浪費することもない。
その分のエネルギーで
今よりも少しだけ
より良い方向へ行くために、
意義ある活動をした方が
賢明ではないだろうか?
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そもそも人間は
不完璧な生き物だ。
完璧にできなくても
それが普通なのだ。
このことをしっかり
頭に入れて、
自分に対しても、他人に対しても、
過度な期待はやめる。
これが
健全なメンタルヘルスには
とても大切なことだ。
「何やってるんだ!
ダメじゃないか!」と
足りない部分を責めるのではなく、
できている部分を見て、
「よく頑張っているよね」と
自分にも、周囲の人たちにも
言ってあげよう。
そうすれば、自分も喜ぶし、
相手も喜ぶ。
お互いの人間関係も
今までよりも良くなる。
幸せな気持ちでいる時間も
増えてくるはずだ。