不安や心配は
人間の自然な感情。
湧き上がってきた不安や心配を
ムリに抑えつけようとしても、
なかなか上手くいかない。
不安や心配は
人間が危機から逃れるための
自然な反応であり、
私たちが今まで生き残れたのも、
不安や心配があったお陰。
一概に悪者扱いしなくてもよい。
しかし、
しょっちゅう不安や心配に
襲われていれば、
自分もツライし、損してしまう。
不安や心配により
多大な精神エネルギーが奪われ、
それだけで疲れ果ててしまう。
不安や心配により、
生産的、建設的な活動も
できなくなってしまう。
不安や心配がなければ、
その分、エネルギー量も増える。
そして、そのエネルギーで
自分にとって有意義なことをして
楽しく、
幸せに生きることも可能だ。
今回の話は、
不安や心配が多い人が
習慣的にすると役立つこと
について。
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具体的に何をすれば
不安や心配を軽減できるか?
それは、
「記録を取る習慣をつけること」。
記録を取ることで
自分が心配していたことと、
実際に起きたことを比較できる。
比べてみると
過去に自分が心配したことと、
実際、将来起きたこととでは、
大きな違いがあると気づける。
このギャップを認識すれば、
「自分が心配していたことは、
単なる取り越し苦労だった」
と分かるのだ。
常に記録をつけていて、
何度も大きな違いを確認すれば、
「ああ、またか。
あんなに心配したことでも、
自分が思っていたほど
事態は悪くなかった。
自分は非現実的なほど
勝手に不安を膨らませて、
不必要に心配していた」
と理解できる。
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具体的には
何月何日に
どういう状態で不安になったのか?
どんな心配を思いついたのか?
自分が感じるまま
メモのように書き残しておく。
そして、その不安記録を
数か月後に開いて、
全部読み直してみることだ。
自分が心配していた不安は、
予想通りに起きたのか?
自分が思っていた不安は
現実になったのか?
自分の書いたものと
実際の状態を比べてみて、
自分で検証してみることだ。
たいていの場合は、
心配していたことは
実際には起きなかった
と分かるだろう。
たとえ起きたとしても、
自分が心配していたほどは
事態は酷いものではなかっただろう。
この作業をすることで、
「自分がした不安や心配の大部分は
実現していないこと」が分かる。
統計的に見ても、
不安の90%近くは
実現しない不安だそうだ。
つまり、
取り越し苦労をしているだけ。
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記録を取ることの
もう一つのメリットは、
自分で自分の行動や考えを
客観視できるようになることだ。
記録して、
後から客観的に見直せば、
本当の事実がよく分かる。
自己洞察を深めるにも
とても有益な方法だ。
記録を取らなければ、
自分の主観に頼ることになる。
しかし、残念ながら、
主観というのは、
あまり頼りにならず、
信用できないものだ。
なぜなら、
不安のネガティブは
インパクトが強すぎるから。
強いインパクトがあれば、
ネガティブな物のサイズは
実際の大きさよりも、
ずっとずっと大きく感じられる。
実際のサイズが40だとしても、
主観に頼れば、
それが80とか、90まで
膨れ上がって感じられてしまう。
事実は半分以下なのに、
感じ方は倍以上。
人間は
ネガティブバイアスが強いから、
ネガティブな物には
必要以上に大きく反応して、
勝手に大きな不安や心配を
作り上げて、
自分自身を苦しめてしまうのだ。
実際に自分で記録を取り、
一定の期間が経過した後、
集計を出して確かめれば、
「自分が感じていたほど
酷くはなかった」
と本当のことを知れる。
自分が感じたよりも
ずっと小さなものだった
と分かるのだ。
大きなギャップに
驚かされることも珍しくない。
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強い不安に陥る人は、
想像力が豊かな場合が多い。
不安の内容を事細かに
ありありと現実味を持って、
頭の中に思い描く。
すると、余計
不安は増大してゆくものだ。
自分の想像力の豊かさで
あまりにもリアルに
不安な状態を描写してしまう。
しかし、実際に起きることは、
自分の想像したものとは
かなりかけ離れている。
これも記録により
明らかになることだ。
一般的に
想像力が豊かなのは、
非常に素晴らしいこと。
でも、豊かな想像力を
心配の方向に使ってしまうと、
本人はかなりツラく
苦しんでしまう。
とても勿体ない話だ。
記録によるメリットは、
実際に起きた事実と
自分の頭の中の想像が
大きく違う
と認識させてくれること。
今まで自分が思っていたことは、
事実とはかけ離れており、
かなり歪んだものだった
と理解させて貰えることだ。
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記録のために
立派な文章を書く必要はない。
単に自分の感じる不安について、
その内容をメモっておくだけで十分だ。
百均ショップへ行けば、
安価で日記帳も手に入る。
いちいち書くのは
面倒だと思うだろうが、
その都度、
記録を取っておけば、
後でとても役に立つ。
不安や心配に
押しつぶされそうになるのなら、
ちょっと面倒でも、
メモ書きにして残しておけば、
後で、自分の心配と
現実に起きたことの比較も、
簡単にできる。
「な~んだ。そんなに心配して
損したな」と馬鹿らしく思うだろう。
不安や心配が多い人は、
幾度か大きなギャップを確認すれば、
自ら取り越し苦労していただけ
と理解するようになる。
とても有効な方法だ。
もし、あなたが
心配や不安に襲われることが
しばしばあるのなら、
是非、試して欲しい。
こまめに記録を取り、
後で自分で検証してみよう!