気づいていない場合が多いけれど、
子供は知らず知らずのうちに
親の考え方や価値観に洗脳されて、
自分の中に信念を作り上げ、
その信念に従って生きてゆくことになる。
一旦、信念が根付いてしまえば、
「それが正しいことだ」と確信して
疑うことすらしなくなる。
でも、それって本当なのだろうか?
自分の中にある「正しいと信じていること」を
時には疑う姿勢も大切だ。
今回は、これがテーマだ。
特に、自分の中にある信念が
自分を苦しめていたり、
人生を生き辛くしているならば、
信じていることが本当に正しいのか?
冷静になって考え直したほうが賢明だ。
子供は知らず知らずのうちに、
親や自分を育ててくれた人から
洗脳されてゆくものだ。
「洗脳」という言葉は
あまり響きはよくないが、
実際に洗脳は頻繁に起きている。
幼少期には、誰でも
親や育ての親と過ごす時間が多い。
自分一人ではできないことも沢山あり、
親を頼りにしているので、
親は子供にとっては絶対的な存在だ。
親が言うことは「正しいに違いない」
と信じ切っている時期も長い。
日々の生活の中で、
子供は親の言うことやすることを
よく観察している。
親が口に出して言うこと、
言葉で言い表さなくても、
態度や行動による非言語メッセージを
子供しばしば受け取っている。
繰り返し繰り返し同じことを聞いたり、
頻繁に似たようなことを
親がするのを見れば、
子供は「親の言うことやすることは正しい」と思い、
子供の中では信念が形成されてゆく。
もし、その子供が
親以外の大人と接する機会が沢山あり、
色々な大人から、親とは違う意見を聞けば、
色々な考え方があることも知れる。
しかし、そうではない場合には、
親が言うことがどんなに歪んでいても、
本当のこととして受け入れることになる。
洗脳が起きる条件の一つは、
「繰り返し同じことを何度も聞くこと」
また、「そのこと以外の情報や意見には
一切触れないこと」。
他の情報はすっかり遮断されて、
ある特定のことだけを
何度も何度も聞かせるようにすれば、
洗脳される側は
「それがすべてであり、正しいことだ」
と徐々に認識するようになる。
子供の頃は、
親と過ごす時間が圧倒的に多く、
あまり社交的でない家庭なら、
子供が親の考え方や価値観に
洗脳されてしまうことも多々起きる。
もちろん、ある時、子供も気づく。
「あれ、親の言っていることは
違うんじゃないかな?」と疑い始める。
他の情報筋から
親とは相反する情報を取り入れて、
親に反抗するようになる。
ただし、すべての点で
親の言ったことを反対するというよりも、
親の言った一部のことを強く否定して、
反抗する態度を見せる場合がほとんどだ。
他の点では親から受け継いだことを
そのままの状態で
自分の中に持ち続けることが多い。
海外で長い間暮らし、
人種的マイノリティーとして生活していて、
時々、感じることがある。
見ず知らずの小さな子供が
私のことをじーっと見つめていることがある。
好意的な視線を感じるよりも、
少し不快な目線を受けている気がする。
人種が違うから
髪の毛の色や肌の色も自分たちとは違い、
子供にとっては「この人、不思議な人だ」
と思うのかもしれない。
でも、私からしてみれば、
その子供が私には「近寄りたくないオーラ」を
出しているように感じられる。
私はこの国で大人から
あからさまに人種差別を受けたことはない。
日本人だと分かれば、
それでけで好意的に接してくれる人もいた。
でも、見ず知らずの小さな子供からは、
「じー」っと嫌な目つきで見られることがある。
そんな時には、
「もしかして、これ人種差別?」
と思ってしまうのだ。
でも、よく考えれば、
子供自身が悪いわけではない。
この子供の親がアジア人に対して、
良い印象を抱かないのかもしれない。
そんな場合は、親は子供の前で
アジア人に対してネガティブコメントを
言っているだろう。
言葉で言い表さなくても、
嫌いオーラを出しまくって、
アジア人を避けるように行動するかもしれない。
そんな親の姿を子供が見ていれば、
自然と子供もアジア人に対して
嫌悪感を抱くようになる。
文化や生活習慣の違いにより、
親がアジア人と揉め事を起こすこともある。
それによりアジア人に対して、
間違った思い込みをしてしまう。
たった一人のアジア人とトラブって、
サンプル数は少ないのに、
すべてのアジア人に対して、
嫌悪感を抱き、アンチの姿勢を取る人もいる。
そんな親のもとで育てば、
子供も親と同様に
アジア人を忌み嫌っても不思議でない。
親のまたその親が
中国人に対して人種差別が強かった時代に
生きてきたのかもしれない。
子供の立場で親を観察していて、
「中国人は良くない人間だ」
と思い込んでしまうこともある。
その子供が親の立場になったとき、
自分も同じように振る舞って、
自分の子供に「アジア人は信頼できない」
という非言語メッセージを
伝えてしまうこともある。
人種差別の件は、ほんの一例だ。
どんなことでも、
親がある特定のことに対して、
どんな姿勢を持ち、どのように考えているのか?
が子供に自然と伝わり、
子供も親と同じように感じたり、
考えたりすることも多い。
つまり、どんなことでも
「親は子供に大きな影響力を持つ」
と言い切れる。
親は意識的に、
子供を洗脳しようとして
洗脳しているわけではない。
普通に生活している中で、
自分が発する言葉や
非言語コミュニケーションにより、
子供に自分の考え方や価値観を
簡単に刷り込んでしまえる。
しかし、そのことに気づいている人は
そんなに多くはない。
人間誰でも、自分の中に
「これは正しい」と確信するものがある。
自分の心の中に信念として
深く根付いているものがある。
その正しいことを当然のこととして受け入れ、
疑うことすらしない。
しかし、時には、
自分の信念を疑ってみる姿勢も大切だ。
「今まで、これが正しいと
ずっと信じ切ってきたけれど、
本当にそれは正しいのだろうか?」
冷静になって考えるのは
とても意義あることだ。
特に、その信念が
自分を苦しめていたり、
人生を生き辛くしているのなら、
一度、疑ってみる価値はある。
よく考えてみれば、
今までは当然のことだと思っても、
「ちょっと変なことだ。
これをしなくても、普通に生きて行ける」
と分かることもある。
今までずっと信じてきたことでも、
冷静になれば、不当なことであり、
その不当なことのせいで、
自分が苦しくなっている場合もある。
それなら、
その信念はサッサと捨てたほうがよい。
おそらく、その信念は
自分が子供の頃、
親から刷り込まれたことだろう。
親がそう言っても、
親の言うことがすべて正しいわけではない。
親が意図的に悪気があって
子供を洗脳したわけではなくても、
親から不当に信じ込まされたことは、
かなりあるはずだ。
その間違った思い込みに気づいて、
それを手放すことは、そんなに簡単ではない。
長い間、ずっと信じ込んできたなら、
なかなか捨てることも難しい。
しかし、それとオサラバできれば、
自分はより自由になれて、
もっと幸せに生きることができるだろう。
一生、親からの洗脳で生きる必要はない。
不当で正しくないことは、サッサと手放し、
自分をもっとラクにしてあげよう!